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念願の軍艦島クルーズ(23.08.20)

もう6年も前になる。
長崎を訪れる用事の流れで、軍艦島(端島)へのクルーズを申し込んでいた。ちょうど自分の中に”廃墟ブーム”がやってきた時期で、クルーズはそのときのメインイベント的位置づけになっていた。

ところが…
長崎に着いたときから雲行きが怪しかった。平和公園では空も泣き始めた。ホテルから見える長崎の夜景はピンボケして、どこで何が光っているのかわからなかった。

そして、翌日の天候を待たずして、早々に予約便の欠航が決まった。

『雨ニモ負ケナイ オオキナ船ヲ出セ』

宮沢賢治は詳しくないが、私はあの詩のような者にはなれそうにない。

『長崎は今日も雨だった』はホントだった。
この悔しさ、いつか必ず晴らしてみせよう。

今回、長崎への家族旅行を決めたときから、軍艦島クルーズはマスト案件且つ取扱注意案件だった。
出発数日前ギリギリまでウェザーニュースでの情報収集を怠らず、天候を見極めながら、晴天確実の赤いバラを付けてもらえるまで予約を入れなかった。「早割」期間を過ぎても確実に上陸したかったのだ。


長崎訪問2日目。8月20日の朝。

朝日が眩しかった。


ホテルの朝食バイキングで初めて食べた「ハトシ」に感動した。
ラタトゥイユが甘かった。昨日食べた皿うどんと味のベクトルが似ている。

身支度をして、隣のコンビニでカチンカチンに凍った麦茶のペットボトルを買い、長崎港ターミナルへ向かった。

■路面電車  長崎駅前→大波止

今日も移動は路面電車だ。


ターミナルには軍艦島上陸を企む人たちがわんさかいた。

窓口手続きの際に幾つかのグループに分けられた。
こちらの知り得ない選別をされると、すぐネガティブに考えがちになる。「上流階級vs一般市民」「予約時期の早い人vs遅い人」平和なところで「団体客vs個人客」。でもその心配は杞憂に終わった。これは軍艦島に上陸する順番を整理するためのもので、早く上陸したから得だ損だは関係ないようだ。

運行5日前に予約したので「早割5」が適用されて、大人4,000円、中・高校生3,600円。上陸料が1人310円。
窓口でこれを支払い、それと一緒に”真面目にクルーズに参加いたします”という旨の「誓約書」を参加者全員ぶん提出する。

以上の手続きを終えてようやく、パンフレット、上陸券、シールを貰って乗り場へ並ぶ。船には200名以上乗ることができる。予約した回はほぼ満員だった。

9:00出航、約120分のクルーズへ。

あとは写真で上陸した気分になっていただければ。

初めてのナマ軍艦島、興奮して思わず声を上げてしまった。
いよいよ上陸。トイレなし。サンダル不可。日除け必須。

エネルギー資源を獲得するための国家プロジェクト、その凄まじさは尋常ではなかった。その成れの果てを目の当たりにして震えがきた。圧倒された。

最大5000人もの人がこの狭い島に生活していた驚きよりも、ここまでやるんだ…という恐ろしさのほうが心に残った。そして水の確保を含め国が本気出せばここまでやれるんだということも。


上陸を終え、また船に乗り、軍艦島のまわりを一周しながらガイドさんの話に耳を傾けた。

このアングルからのシルエットが軍艦「土佐」に見えるので
「軍艦島」と言われるようになったという。

離岸〜周遊航行の様子を360度カメラで撮影してみた。


長崎港へ帰ってきた。

三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーン。明治42年に設置。
現役で稼働するものでは世界最古、国際的にも価値あるものだそう。

船を降りる際にひとりずつ「軍艦島上陸証明書」を受け取った。他人任せの達成感でもキラキラ光っている。

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