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*ḱr̥d- [Hearty/Cordial/हार्दिक/दिली]

Hearty Welcome と Cordial Reception。どんなイメージが思い浮かぶだろうか。初めて古英語や英語の歴史に触れた動画でそんな問いがあった。

https://youtu.be/kIzFz9T5rhI?si=nCA0L5kctCxw5jJF

り~みんさんの「英語の語源で身につく技術用語」のNote記事に、興味深くためになる解説がある。

https://note.com/liming_0/n/n004ca7f09cf2

credentialの語源が印欧祖語の*kerd- (heart) + *dhē-, * dhə- (to place, do) に遡ることができ、Sktのśrad-dhā-も同語源とのこと。なるほど!英語でもgive creditで誰かを称賛すると言う意味があるが、現代ヒンディー語でもश्रद्धा (śraddhā́)は崇敬の念のことを指し、全てがコアの意味でつながって腑に落ちた。

日本語で「こころ」は専ら抽象的な意味で使い、物理的・医学的な意味での「心臓」を指すことはないが、英語 [heart] やヒンディー語 [हृदय (hr̥daya)/ दिल (dil)] ではどちらのことも指す。

印欧祖語で heart は *ḱr̥d- と再建されていて、cordial も hearty もともに同語源だが、cordial は 古代ギリシャ語の καρδία を経由している。heart, καρδία が *kerd- に遡ると聞いて真っ先に Skt हृदय (hr̥daya) もそうなのではと連想されたが、確かにそうだった。hearty に相当する形は हार्दिक (hārdik)。ということで Hearty Welcome と हार्दिक स्वागत (hārdik svāgat) は同じ意味で、同語源。

Hearty Welcome と Cordial Reception で浮かぶイメージが変わるが、それはヒンディー語においても似ていて、サンスクリット系語彙の हृदय (hr̥daya) と聞くと堅苦しく重厚なイメージを伴いがちだが、ペルシャ系語彙の दिल (dil) と聞くとたっぷりの心からの愛情を感じる。なお、 दिल (dil) もインド・イラン祖語 *ȷ́ʰŕ̥dayam を通って、印欧祖語の *ḱr̥d- に遡る。

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