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【雑記】中世欧州料理における特殊な小麦について

中世ヨーロッパアレンジ料理の試作を行う際、自然と覚える(覚えざるを得ないともいう)のが小麦粉の種類。いっさいがっさい一番手に入りやすい薄力粉を使えばまるーく収まるのですが、さすがに合う合わない料理が出てくるので、作る料理ごとに配合をびみょーに変えています。
自分がアレンジレシピを構築する際、主に使う小麦の種類は以下の通りとなります。

・薄力粉→近所のスーパーでゲットできるものでOK
・強力粉→同上。ただし他の小麦が混ざっているミックス粉は除外
・全粒粉→小麦をまるごと挽いたもの。製菓店に置いていることが多いです
・米粉→当時の料理指南集にたまに記載。主に肉料理の食材として使用

概ね上記4種類の粉をうまーく組み合わせていることが多いです。
一方で、いわゆる大昔からあるといわれる以下の少し特殊な小麦は、中世ヨーロッパのアレンジ料理ではあえてあまり使わないようにしています。

スペルト小麦。ドイツ方面を中心に栽培されています

スペルト粉:
数千年前からあったといわれる小麦のひとつ。栄養価が比較的高いことから、昨今では健康志向の一環としてスペルト小麦を使ったパンやパスタなどに注目が集まっているとされる。ドイツ薬草学の祖とされる11~12世紀の修道女、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen)がすすんで摂取すべき食材のひとつとしてスペルト粉を挙げている。

セモリナ粉:
穀物の製粉で得られる粗い穀粉。主にパスタ生地の材料として用いられることが多い。弾力性の高いグルテンを多く含み、黄色味を帯びた色が特徴。

ライ麦粉:
別名「黒麦」。劣悪な環境下でもよく育ち、栄養価も高いことから最近では健康志向食としてライ麦を使ったパンなどが人気を博している。中世欧州でも広く使われたとされるパンの原材料のひとつ。

「あまり手をかけていない+栄養豊富な種類の方がなんとなく昔っぽい」というご意見もたまーに頂くんですが、歴史のアレンジ料理となるとちょっと違う事情がございます。
研究家によって意見はかなり異なるので、あくまでも参考意見程度にみて頂ければと思いますが、自分がアレンジレシピ食材としてあまり採用しない理由としては以下が挙げられます。

・日本にあまり馴染みがない
粉自体は製菓材料店やネット通販では見かけるので入手困難というわけでもないんですが、製パンや焼き菓子などの特定料理以外の使い道があまりないので食材的にはちょっともったいないかなー?と思っています。もちろん使いきれればそれにこしたことはないんですが、他の一般的な小麦に比べて消費量は少ない方になります(自分調べ)。
また、それぞれの粉の特性がちょっと特殊なので、取扱い自体も少し難儀なのかなー?とも考えています。グルテンの含有率なども違いますしね。

輸入食品屋さんなどに置いてあるライ麦パンは、サンドしやすいように最初から薄ーくスライスした状態にしたものを取り扱うことも最近多くなりました。個人的にはこちらの方が食べきれる量なのでパーティー料理などの時によく購入しています。

西洋ファンタジー好きの方なんかは、黒パン(ライ麦を使ったパンなど)に憧れをもつ方が比較的多いんですが、実際ライ麦粉やスペルト粉の含有率が高いでかめのパンをお出しすると、菓子パンのように即完食される方はなかなかおりません。うすーく切って上にいろいろトッピングを乗せて食べる分にはウマウマなんですが、意外と難儀な味ですし(少なくとも自分は数切れでおなかいっぱいです)。

・中世欧州の料理指南書の記録との解釈
当時の料理指南書には食材のリストは書かれていることが多いんですが、いわゆる指定された粉の記載はほぼありません。「wheat(小麦)」とか「Brede(中英語のパン)」としか書いてないものが圧倒的に多いもんでして、いや、どんな小麦とかパンよ?ってそこから分析しないといけないわけでしてコレ(滝汗)。

アレンジレシピとして構築する際は「できるだけ近所のスーパーでも買える食材で」というのを念頭においておりますので、その理由もひっくるめるとあまり使う機会はないかなー、と思っています。
もちろん、使っちゃダメ!ってわけではないので、ご興味があればぜひ積極的に採用しても何ら問題はないですし、むしろ使った感想教えて欲しいです(人任せ(*ノωノ))。


現在はいろいろなアレルギー体質の方も多いですし、昔とはまた食事情が異なるので臨機応変に対応できるような感じに変えざるを得ないというのが現実ですが、食感や味なども使う粉によって変わってきますので、お好みに応じた使い分けも当然アリかなー、とも思っております。時間があれば同じ中世アレンジレシピでも、粉の種類を変えて検証してみたいっすね。

ここまでご一読頂きありがとうございました(^-^)。

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