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ホロコーストから生き残る秘策とは…『ペルシャン・レッスン/戦場の教室』

皆さんこんにちは!
映画チア部の(えま)と(ユーキ)です!

今年も残すところ僅かになってきました。今年の年間ベスト映画を決め始めているという方も多いと思いますが、本日ご紹介する映画『ペルシャンレッスン戦場の教室』を観るまで、ベストを決定するのは待ってください!

撮影場所 : シネ・リーブル神戸

『ペルシャン・レッスン/戦場の教室』の主人公は、ペルシャ人だと装ったユダヤ人のジル。彼が架空のペルシャ語をナチスの将校コッホ大尉に教えることと引き換えに、ホロコーストを逃れようとしたという事実がベースになった映画です。

ホロコーストが題材なだけあって、少し重たい内容にはなっていますが、大変見応えありの力作です。今回は私たちが考える見どころをネタバレなしでご紹介します。

■驚くべき実話

HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 ©


あらすじを読んだ時、「面白そう!」と同時に「え?これノンフィクションなの?」という驚きがありました。お金や地位などは簡単に奪われるけど、「知性」だけは絶対に奪われない。ユダヤ人には有識者が存在し、あまたの偉業を成し遂げてきました。今作の主人公ジルもその1人。

■張り詰める緊迫感

HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 ©


主人公ジルはユダヤ人だがペルシャ人を装い、架空のペルシャ語を教えることを引き換えにホロコーストを逃れます。ナチスの将校からは好かれるが、もちろんバレたら処刑されてしまうのは明らか。しかも架空のペルシャ語を教えると、コッホ大尉はそれらすべてを記憶していきます。「架空のペルシャ語だとバレてはならない」「自分がユダヤ人だとバレてはならない」「教えた架空のペルシャ語を記憶しなければならない」…と、クリアしなければならない壁が多く存在します。そのずっと張り詰めた緊迫感、ぜひ映画に没入できる空間である劇場で体験してください。

■偽りの信頼関係


ナチス政権下の強制収容所で囚人とドイツ人が親密になるホロコースト作品は見たことがなかったので、二人の関係性がどのようにして変化していくのかが気になっていました。

HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 ©

主人公のジルは生き延びるために必死で偽のペルシャ語を覚え、そんなことも知らないナチスのコッホ大尉は真面目にペルシャ語レッスンを受け次第にジルに対して心を開いていきます。

HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 ©

みなさんは"リマ症候群"という言葉を知っていますか?恐らくみなさんが聞いたことのある"ストックホルム症候群"とは真逆のもので、誘拐事件などで長時間一緒にいるうちに犯人が人質に対して親近感や信頼感などの特別な感情を抱く現象のことを"リマ症候群"といいます。

HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 ©

この作品における二人の関係はまさにこの"リマ症候群"であり、絶対的に重なることのない互いの思いを第三者として見ることで、シュールで笑いそうになったり(でも笑っていいのかわからない)、時に同情しそうになったりもしました。

残酷かつ冷酷なナチスの将校も血の通ったひとりの人間であることを実感すると同時に、非人道的なホロコーストの残虐性や恐ろしさがより一層伝わってくるのです。

この二人の偽りの信頼関係はどのような結末を迎えるのか…。

12月2日(金)からシネリーブル神戸などで公開されています。気になった方はぜひ劇場でご覧ください。

執筆 : 映画チア部(えま)&(ユーキ)

■公式サイト

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