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2024.J1.#10 アルビレックス新潟×FC東京 『振り返りと最近の新潟と』

スタメン

・ちょうどリーグ戦が10試合を経過したという事で久々のnote更新。
・こうして好きな事を考えながらPCに向かい合う時間を作れるように、社会人生活にもようやく慣れてきた筆者である。成長。
・さて、今節はFC東京戦。松木や荒木が代表活動で不在の上に、今季から加入したWGの遠藤が負傷?でお休み。それでもスタートやベンチの顔ぶれを見ると、例年通り本当に選手層の分厚さを感じさせるチームである。
・新潟的な視点で彼らを語るなら、何といっても高宇洋の存在は無視できないはず。正直アルベルトが居た時に揃えてやれよと思ってない訳ではないが、ボールを持つ事を苦にしがちだった東京において新潟の中心を担っていた彼は大きな役割を果たしているそうで。
・それにCBが森重-木本からエンリケ-土肥のコンビに刷新されており、今節も後方からの球出しが大分安定している様子だった。
・昨季から若干のバージョンアップを見せるピーター東京。新潟は保持志向の本家として完成度の違いを示したい一戦となる。しかし、結局自分達の強みを示す事はできなかった

前半

※ホーム戦の中継班(Tenyテレビ新潟?)によるカメラワークがちょっと酷い。あれだけ画面を左右に揺さぶられたら視聴者は酔ってしまう。左右に揺さぶるのはホームチームが押し込んだ時だけで十分。最初から引きの画を映せばいいのでは!?

東京プレッシング×新潟ビルドアップ。東京は前節の京都サンガのように人を当て嵌めるハイプレスを敢行するのではなく、新潟をリスペクトするような態勢をとってきた。
・寺山がジャンプして仲川とプレスの1stラインを形成。まず2人のうち片方が背中で新潟のドブレピボーテ(秋山-宮本)を消しながら、ホルダーとなるCB(千葉-舞行龍)に方向を限定するように寄せてくる。
・そして次のパスの出所である新潟SBにはWGが寄せるなどして一気に圧をかけてくる。図は省略
・少し他のチームと違うかなと思ったのが、東京のドブレ(小泉-高)の位置が大分高めだった事。仲川や寺山の背中側を漂って受ける場所を探す秋山-宮本に対しては、小泉-高がマンツ―気味に牽制をかけにいくシーンが多数見受けられた。
・そうなると東京のMF-DF間には高木や谷口が受け手として苦にせずプレーできる程のスペースが生まれてしまう。東京からすればライン間を閉じるために最終ラインを押し上げて、スペース自体を消す/直ぐに高木や谷口を迎撃できる態勢をとっておきたいが…
・新潟は両WGが深さをとる事でその目論見を破壊。小島やCBの間に落ちた宮本など砲台となる選手からのフィードを呼び込むように、主に松田が斜めに抜けてエンリケの背後をとるようなランニングを見せ続けた。

9:36~/27:30~

・図にも示した通り、ここで新潟は背後だけでなく手前となるライン間を使う選択肢も備えておくと、尚スムーズに前進する機会が増えたと思う。小島ならスペースに落とすような球種も蹴れるはず。
・常に複数の択を用意して相手に判断を迷わせるようになると、それだけ対応も遅れるし新潟の選手達には時間的な余裕が生まれてくる。
・それに小泉-高は顕著に前に出てきたり、エンリケ-土肥は背後に落とされるボールへの対応に若干の不安定さを抱えているなど、新潟が最終ラインの手前と背後をそれぞれ活用しやすい状況はそれなりに再現性を感じさせるものだった。
・ならばライン間を使うチームとしての狙いがあっても良かったはず。新潟のスカウティングが足りていなかった?今節の東京がたまたまそんな感じだったのか?空いてたけどピッチ視点では難しかったのか?ここはどうなんだろうと少し疑問に感じている。

・東京はGK-CB-ドブレの関係性で比較的安定したボール保持を見せていた。時折ドブレの一角が高木-谷口の脇に降りる事で新潟のプレスの基準を乱してくる。後方でフリーマンを作ったら、(東京の)では大外に張っている俵積田に渡して藤原松田を押し下げるように陣地を進めてもらう。では潔く新潟SBの裏側に蹴り込むシーンが目立っていた。
・特に東京の右側で後手に回るシーンが多かった新潟。
・33:40~では早川の裏側に蹴り込まれる事で千葉が韋駄天,白井とのスピード勝負に繰り出されてファール→黄紙が提示されてしまう。
・そのように千葉がペナルティエリア幅の外側に釣りだされたら宮本が最終ラインに落ちてクロス対応の構えを見せていた。しかし2失点目の伏線となるように、本来バイタルエリアを守りたい選手が最終ラインに吸収されると被ミドルシュートへの対応が手薄になってしまう。

・WGが内側に絞るなり状況に応じて対応したいが、2失点目では明らかに最終ラインが低すぎた。押し込まれる中でも最終ラインの高さを維持してゴール前に吸収されない(=相手FWをゴール前から遠ざける+中盤が適切な位置に居るのでバイタルエリアも守れる)のが昨季の新潟の強み。
・マリノスに渡邊泰基が移籍したり、新i..(ここで通信は途絶えている)など、特にバックラインにおける人選の変化がありつつも昨季の良かった要素は是非とも継続して取り組んで欲しいなと思う。
・チーム松橋の守備局面を担当するのは入江徹アシスタントコーチ。彼がS級ライセンス取得に向けた講習で暫定的にチームを離れている(最近帰って来た?)事も影響しているのだろうか。

・東京はビルドアップだけでなく、守→攻に転じる際にも新潟のSBが空けたスペースを滑走路として利用する事で好機に繋げていた。その結果が仲川による電光石火の先制弾。

・俵積田/白井に大外のスペースを蹂躙される印象が強い試合だったが、それ以前に新潟によるボール保持では中途半端なボールロストが目立っており、攻撃をやり切る/相手を押し込みながら崩していく側面が足りていなかった。

・お馴染み小見によるフリーロール。定位置の左サイドから中央や逆側の右サイドに顔を出す事で+1を作ったり味方とのポジションチェンジを行っている。ただ、このタスクで新潟に何かメリットを生み出せているかと言われると正直疑問符がつく。
・例えば6:13~のシーンでは小見の存在を秋山が匂わせて少し溜めていれば、斜めに位置する宮本なり、恐らく敢えてSB-CB間で浮いていた藤原への東京のケアを遅らせる事が可能になったはず。しかしここで真っ正直に小見につけてしまう(それに小見はゴールに背を向けた状態=周囲の認知ができていない)事で、皮肉にも高によるボール奪取を許してしまう。

6:13~

・結果的に小見が空けた左側のエリアにボールを逃がされて攻撃のターンをぶつ切りにされてしまった。
・フリーロールによるメリットをデメリットが上回っているのが現状であり、もし小見の自由奔放な移動をチーム内で許容するのであれば上記のようなシーンは要修正だろう。結局必要以上に片側に集約すると相手の狙いも絞りやすくなり、もう片方のサイドから人が居なくなる以上、サイドチェンジを伺っても功を奏す事は無い。
・キャンプ中は「相手を片側に寄せる→内側に絞ったSB/CH→逆サイドで張っていたWGに渡して相手が手薄なエリアで優位性を創る」事に取り組んでいただけに、現状ではそれと真逆の現象が起こってしまっている。ポジティブな軌道修正と捉えて良いのかどうかと言われると…。

・最近の新潟はライン間で前向きの選手を中々作れない。12:54~のように折角CBからの縦パスを谷口が収めても、相手MF~FWの間に秋山も宮本も居ない事で落としのパスを受けられなかったり
・43:59~では相手MF~FWの間で宮本がホルダーとなって少し運ぶ構えを見せるも、前方の選手達の動きが衝突してしまいライン間で受け手を作れなかった。

43:59~

・小見のフリーロールにも通ずる話だが、新潟は特に押し込んだ際に、先に起こるプレーを想像しながら「スペースを創る人」「そのスペースを利用する人」と複数人の関係性を構築するのが苦手のように見える。
・各々のプレーに対する主語が一人称になってしまい、結果的に自分も周りも活きてこない。
・上記のシーンでは例えば高木/谷口のどちらかが東京の2CBを押し下げるように牽制して、最終ラインの手前に生まれるであろうスペースに受け手とボールを送り込めば、高木/谷口に前向きに持たせる事が出来る。
・受け手の選手はシュートもラストパスも選べるし、例え正面を塞がれていても早川が相手SBを固定している事で大外の小見という選択肢も選ぶ事が可能になる。

・東京は試合を通じてコンパクトなブロックを保っていたが、ブロックの中では結構人に食いついてくる傾向にある。その原理を利用して、相手を固定する選手/固定する事で生まれるスペースに現れる選手という関係性をもっと構築できれば、外側からも内側からも付け入る隙はあったように思う。


後半

・46:20~のように、秋山が最終ライン付近に降りる+宮本がライン間に進出する事で相手MF~FW間に人を割けない新潟。前後分断。ボールの落ち着き所が無いので、その少し後(46:30~位)に舞行龍→宮本と不利な状況下での縦パスが発生してしまう。
・相手のドブレは比較的動かしやすい。このシーンも高はマークマン(宮本)を周囲に受け渡さず自らが宮本へのケアに向かうなど、人に向かう傾向がかなり強かった。
・なので宮本秋山コンビにはもっと彼らを揺さぶるように駆け引きして欲しかった。

46:20~

・サイド周りの崩しも中々改善が見られない。
・51:00~サイド深くで持って、対面のSBを押し下げるように仕掛ける小見。ここで重要なのは相手がダブルチーム(2枚の壁)を組んでおり、早川がペナルティーエリアの角でフリーとなっている事。
・新潟のWGには自分でクロスやシュートまで持っていく事が求められているが、そろそろWGが相手を固定する事で味方にフィニッシュ/クロスの機会を提供する形も見せて欲しい。
・51:00~のシーンなら小見が相手2枚を引き付けた状態で早川に落とす事で、左サイドバックはプレッシャーが殆ど無い中であれこれ出来る訳だし。
・理想像はこれ⇩。ここまでやれとは言えないし現状では当然机上の空論に終始する話だが、両利きのLB森璃太がリーグにも絡む程の存在感を示して来たら個人戦術に長けたWGとセットで再現性のある関係を構築するのも面白いだろう。
・長崎の松澤海斗を補強して!!@寺川

・58:40~せっかく松田が背後を抜けてクロスまで繋げたのに中の動き方が整理されておらず、そもそもBox内の人数が足りていなかった事とか
・59:10~大外の小見に対する高木の単発なサポートとか
・WG周りの未整備を感じるシーンは多々あった。
・中途半端なロストから自軍SBが空けたエリアを起点として東京に陣地を進められた結果、新潟は後半の早い時間帯に3失点目を喫してしまう。その直後に分岐点となる出来事が

後半(稲村投入後)

・3-0というスコアを手にした以上、東京からすると無理をする必要がなく各々の意思統一を図るには十分な状況である。新潟にボールを持たれる事を一層許容しながら時計の針を進めるプランに迷いなく切り替えていた。
・そのため東京のプレスラインは若干下がり、新潟のGK-CBには余裕を持ちながら次の選択肢を伺える状況が提供されていた。そこで出てきたのが25年加入内定済みの東洋大学4年稲村隼翔左利きのCBである。
左サイドに左利きを置けた事で後方からのビルドアップが詰まる事なくスムーズに回るようになり、かつ現代型CBとして後方からゲームを動かせる稲村自身の特性もあり、終わったと思われたゲーム展開に一寸の光が刺す。

・64:20~では次の味方に時間を与えるよう意識している事が伺えるパススピードで大外の早川に展開。早川は相手WGを超えた位置取りを確保するまでは良かったが、稲村がキックモーションに入ったと同時にバックステップを踏みながら余裕を持った状態で受け手となって欲しかった。
・安斎を超えて、より深い位置で受けられれば一気に白井との勝負に持っていける。白井は周囲の高木/太田も注視する必要があるので、早川は優位な状態でその後の選択肢を選べる状況ができるはずだった。
・こうした状況を考えて意図的に持っていけるのが堀米キャプテン。そう遠くない内に稲村とセットで見られる日がやってくるのだろうか。

64:20~

・71:10~では押し込んだ際に稲村の存在から秋山-宮本が必要以上に降りずに相手MF-FWの間に留まる事で、ライン間へ差し込む過程を作り始める。
・秋山宮本が適切な位置でボールを持つ事が出来れば相手ドブレを縦に食いつかせて中央に差し込んだり、中央に人を集めて大外に展開して次なる崩しに向かう事が出来る。
・段差を作ってワンタッチパスが繋がるようにしたり、大外に渡った後のBox内の動き方&人数の整理などやるべき事はまだまだ残されているが、まずはライン間や大外深くなど可能性を高めるエリアに球が入らないと話は始まらない。
・悔やむべきは前半からドブレ(秋山宮本)の関係性を相手MF-FWの間で構築しておきたかった。

71:09~

・その後、長谷川元希の投入によって、稲村による目線で相手を動かしてから空けたパスコースに差し込む技術とそれを感じ取れる安定した受け手が確保された事で、ライン間で前を向ける選手(長谷川元希)→時間とボールを渡された大外の選手(長谷川巧)という、W長谷川の関係性からゴールに迫るシーンが増えていく。
・巧の所はどうしてもダニーロの存在がちらついてしまうが、スタートのSBに万一の事態が起きるケースを想定するとSB/WGを兼用できる巧は決して外す事のできない存在だろう。
・でも単純にJリーグがベンチ枠を「7」から拡大すれば解決しそうな話だけど…。ルヴァンでやってるならリーグでも解禁しません?

・そんなこんなで終盤に早川弾が飛び出すもファイナルスコアは1-3。GW初戦はこれまでの課題とこれからの希望が入り混じる淡い結果に終わった。


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