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【社会福祉法人】保育園会計で使う収益費用科目のまとめ

こんにちは。社会福祉法人の会計サイト「もう仕訳ない」と申します。

==更新履歴==
2019.04.03 初版
2019.05.11 第二版 状況別科目索引を追加
2023.09.02 表紙画像を設定
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はじめに

社会福祉法人の保育園会計においては、社会福祉法人会計基準に定められた方法で処理を行わなければなりません。


一般の企業であれば売上は「売上」でいいところを、保育園では「委託費収益」「補助金事業収益」「受託金事業収益」「受入研修費収益」「利用者等外給食収益」など、細かく分けて計上が求められています。


費用においても園児の給食費と職員の給食費を分けたり、灯油代は「燃料費」、ガソリン代は「車輌費(旅費交通費)」、ガソリン代でも研修参加目的なら「研修研究費」など、覚えなければならないことは多いです。


著者は会計事務所職員であり社会福祉法人の保育園の担当です。日頃からこつこつ書きためた科目についての覚書をnoteで公開することにしました。


少しでも保育園会計に携わるあなたの一助となれば幸いです。


(参考資料)
■「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」の一部改正について(平成28年11月11日付け)
■子ども・子育て支援法附則第6条の規定による私立保育所に対する委託費の経理等について(平成27年9月3日付け)


事業活動計算書の上の方から解説していきます。


1.保育園会計で使用する収益科目


■委託費収益
<内容・解説>
 保育所等における保育の実施等に関する委託費収益をいいます。
 市町村等からの委託費を計上します。


<注意点・間違えやすい科目>
 基本的にその月に収入した金額をその月の収益として計上します(4月に入ってきた金額は4月の収益として計上)。
 将来月分が前もって入金された場合は「委託費収益」ではなく「前受金」などで処理します。


<消費税>
 非課税売上


■私的契約利用料収益
<内容・解説>
 幼稚園における保護者からの私的契約利用料をいいます。
 幼稚園が保育園的な機能を備えていることを認可された場合に使用します。


<注意点・間違えやすい科目>
 幼稚園以外では使用しない科目となります。


<消費税>
 非課税売上


■私立認定保育所利用料収益
<内容・解説>
 認定こども園における保育園部分の利用料を計上します。
 保護者が市町村に支払い、市町村から認定こども園へ受け渡しが行われます。


<注意点・間違えやすい科目>
 認定こども園以外では使用しない科目となります。


<消費税>
 非課税売上


■補助金事業収益(公費)
<内容・解説>
 地方公共団体から受けた補助金(法外援護費ともいいます)を計上します。
 具体例については「受託事業収益(公費)」の科目に記しました。


<注意点・間違えやすい科目>
 行っている延長保育や休日保育が補助金事業にあたるのか受託事業にあたるのかは、市町村からの書類等で確認してください。


<消費税>
 使途不特定の特定収入


■補助金事業収益(一般)
<内容・解説>
 補助金を受けて行っている事業(延長保育、休日保育など)において、保護者から頂いたお金を計上します。
 具体例については「受託事業収益(公費)」の科目に記しました。


<注意点・間違えやすい科目>
 行っている延長保育や休日保育が補助金事業にあたるのか受託事業にあたるのかは、市町村からの書類等で確認してください。


<消費税>
 非課税:使途不特定の特定収入


■受託事業収益(公費)
<内容・解説>
 国や地方公共団体の受託事業に関して、公的機関から受け取った金額を計上します。


 【例】
  □学童保育の委託料
  □学童保育の保護者からの利用料
  □乳児家庭全戸訪問事業
  □養育支援訪問事業
  □ファミリー・サポート・センター事業
  □子育て短期支援事業
  □地域子育て支援拠点事業
  □一時(預かり)保育
  □特定保育
  □乳児保育
  □休日保育
  □夜間保育
  □延長保育
  □病児・病後児保育
  □待機児童解消促進等事業
  □保育環境改善等事業
  □延長保育促進事業


<注意点・間違えやすい科目>
 企業の委託受託事業にかかわる保育サービス委託料は「その他の事業収益」に計上します。


消費税
 非課税:使途不特定の特定収入
 不課税
 課税売上


■受託事業収益(一般)
<内容・解説>
 国や地方公共団体の受託事業に関して、園児の保護者から頂いた金額を計上します。


<注意点・間違えやすい科目>
 行っている延長保育や休日保育が補助金事業にあたるのか受託事業にあたるのかは、市町村からの書類等で確認してください。


<消費税>
 使途不特定の特定収入
 不課税
 課税売上


■その他の事業収益
<内容・解説>
 保育園で行う事業のうち、上記のいずれにもあてはまらないものを計上します。


 【例】
  □実費弁償金(教材費、絵本代など)
  □登園バスの利用料
  □園外保育の保護者負担金
  □主食費負担金
  □企業からの保育サービス委託料


<注意点・間違えやすい科目>
 後述する「雑収益」と違う点は、保育事業から発生した収益であるかどうかです。
 「その他の事業収益」には、保育事業に関するものを計上します。


<消費税>
 非課税売上
 課税売上:企業からの保育サービス委託料


■受入研修費収益
<内容・解説>
 保育園で実習生を受入れたさいに謝礼として受け取った金額を計上します。
 例としては、専門学校・短大・大学からの「実習生受入謝礼金」が挙げられます。


<注意点・間違えやすい科目>
 職員が園外で行った研修に関する謝礼金などは、「雑収益」に計上します。


<消費税>
 課税売上


■利用者等外給食収益
<内容・解説>
 園児以外に食事(給食や誕生日会ケーキ、おやつなど)を提供した際、その人から受け取った金額を計上します。


 【例】
  □職員給食費
  □園児の家族の食事代
  □受け入れた実習生の給食費


<注意点・間違えやすい科目>
 職員から天引きで給食費を集める場合、「職員預り金」として残さないよう注意が必要です。


<消費税>
 課税売上


■雑収益
<内容・解説>
 保育園とは直接の関係がない収入で、上記のいずれにも当てはまらないものを計上します。


 【例】
  □電力・電柱敷地料
  □職員による実費弁償(駐車代など)
  □事故による保険金の入金
  □イベントの参加収益
  □職員が講師を務めた場合の謝礼金


<注意点・間違えやすい科目>
 あまりに多額の場合指導監査での指摘事項になるため、使用には注意が必要です。


<消費税>
 課税売上
 不課税
 非課税売上

2.保育園会計で使用する費用科目(人件費)


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