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出会ってきた点群の中間値。

これまで、どれだけの人と会って話してきただろうか。
どれだけの人に尊敬や憧れの眼差しを向け、かく在りたい。と感じてきただろうか。いや、その反対に、軽蔑的な視点や自分ではやらないな。と心に決めた行動はいくつあるだろうか。

そういうことを考えながら雨雲の下で車を走らせていると、僕の輪郭というものは、良くも悪くも“これまで出会ってきた点群の中間値“で形作られているのではないか。ということを考えついた。

ともすれば、そのサンプル数は多いに越したことはないし、その質もまたよりよい方がいいだろう。

ところが、ここでいうサンプルというのは、人だ。
産まれて初めて接した人は、母親で次に父親、そして兄弟、、、親戚と広がり、歳を重ねるごとにそのサンプルは増えていく。

人の質を判断するというと語弊があるのだけれど、そうではない。
その人の素質と僕の素質が合うかどうか。というのは、出会って話して離れるを繰り返さないとわからない。と思っている。
そして、その出会い方というのはそのどれもが偶然だとも思う。

つい最近、カフェholmのオーナーである上嶋さんとメキシコ料理を食べに行った。閉店後のお店に入り、彼の締め作業を待つ。


予約を取ろうとしても電話が繋がらなかったらしく、結局直接お店に伺った。あたりはずっと雨が続いている。平日の夜、狭い店内の座席がほぼ埋まっていたが、カウンターで相席でもいいならということでお店に入ることができた。セビーチェや数種類のタコスを食べてメキシコ料理に舌鼓を打っている。セビーチェという語感が気に入って使っているけれど、これまでメキシコ料理にはこれといった縁はなかった。食べてみるとどれもとても美味しい。


これがセビーチェ。
口にするだけで通になった気分になれる。

美味しい料理と話すことに夢中で気づけば店での滞在時間は4時間を越そうとしていた。男性と2人きりで4時間も話し続ける。というのは、これまでの僕にはなかったから、自分で驚いている。どんな話をしていたかというと、その大半がholmのことだったように思う。上嶋さんはどうしたらholmがより良くなるか。あの空間を活かすにはどうしたらいいのか。というのを必死に考えていた。見えないところで努力する姿にいつも見習うところがある。

お店から出る時、顎髭を生やしたスキンヘッドのメキシコ料理店のマスターから、いい話はできましたか?と見送られた。今年の7月で2年目を迎えるholmがより良くなる話ができたはずだから、いい話ができた。

カウンターで隣に座っていた人と話すと、近くでワインバーをしているらしい。そこにも、行ってみようと思う。

世界は広いけれど、半径5m以内くらいの人と適切に接することで、世界が見えて来るはずだ。

折に触れて何度でもいうけれど、holmには僕が撮った写真が3枚飾ってある。今年はその3枚を定期的に入れ変えようという話をしている。店を何度も訪れてくれる人が、そういえば写真が変わったよな。次はどんな写真になるのかな。と想像しながらコーヒーを飲みにきてくれると嬉しい。



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