失恋ソングのノンキさについて

失恋の歌は本当にたくさんある。
あるのだが、ここ20年くらい(? 感覚的ですみません)でよく見かける失恋の歌について気になっていることがある。

別れた恋人(片思いの場合もあるのか?)の幸せを祈る、今までありがとう、というやつについて以下書くが、一言で言って「なんてノンキなんだ」と感じている。
ほんと?ほんとに?本当にそんな気持ちなのか。
そんな穏やかな気持ちになれるものなのか。
不幸になっちまえとまでは思わなくとも、そんな境地には到底いけないのではないか。
場合によったら、不幸になっちまえと思うケースすらあるのではないか。

別れた経緯ははっきりしていない歌が多いけれども、
振られたのか、振ったのか、自然消滅か、いずれかだとしよう。
(死別だと失恋云々とは全く別のものになると思うので含めない)

自然消滅するくらいの関係性ならその時点で幸せになって欲しいだのなんだの思うことすらないのではないかと思うし、振った場合ならそれこそおためごかしというものだろう。
振ったのだからせめて悪役を引き受ける気概くらい見せて欲しいものである。
この2パターンならもはや失恋とすら呼ばないのかもしれない。

というわけで(?)振られた人の歌なのかなと(自分で勝手に)判断するわけだが、振られた場合、こんなにすぐにすっきりできるものなのかという疑問がある。驚きや戸惑いや自分の気持ちの持って行きどころのなさもあるだろうし、自分を説得する時間も必要だ。
相手にもう一度だけ話をしてみようか、いやいやでも…とか。
それともとりあえず強がっているのか。
もうあまり気持ちが残っていなかったのかな。

別パターンで、お互いまだ好きなのに何らかの事情で別れることになってしまった二人、というのも想定したのだが、それならなおのこといっそう心の整理に時間がかかるはずである。

などとあれこれ思うのだが、この手の歌は曲調もさわやかでノリのよいものも多く、本当に失恋したのか?と疑いたくなるような雰囲気である。
いや、私は失恋の歌だから暗く重いものであるべき、と言いたいのではない。
明るい曲の悲しい恋の歌によい曲はたくさんある。
そうではなくてなんかもう、大掃除をした後のような後腐れのなさというか細かい心情のヒダのなさが現実と離れすぎているよなと思って、まてまてまてと言いたくなるのである。

(もっと言ってしまえば、失恋の歌というテーマを決めて、あとは無難な内容で文字を埋めてしまえという安易さが気になるということ。「別れた相手の幸せを祈る」って誰も文句言わないもんね)

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