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Barbourを探す旅

Barbour、いいですよね。
今日はBarbourが欲しくて仕方がないという話を物欲全開でお送りします。


Barbourとは

まずはWikipedia先生にご説明してもらいましょう。

1894年[1][注釈 1][注釈 2]、ジョン・バブアー[1][2]によりイングランド北東部のサウス・シールズ[1][2]で創業した。当初は北海の不順な天候下で働く水夫、漁師、港湾労働者のために鱈の肝油を塗ったオイルドクロスを提供したのが最初であった[1]が、それで製作した防水ジャケットの耐久性の高さから定評を得[1]、100年以上イギリス王室やハンティングを楽しむ貴族、アウトドア愛好家にその製品が愛用され続けている[3]。防水に用いるオイルは様々な変遷をたどっており、悪臭を発するものや着心地が悪いもの、環境に悪いものなども採用されていたが、現在はそれらの問題を解決した最高級のエジプト綿[3][2][1]とビーコンオイル[3]を使用し完全な防水性と通気性を両立した[3][2]「ソーンプルーフ[2]」と呼ばれる素材を使っており、エイアンドエフの赤津孝夫は「草木に触れても音がしないほどソフトで着心地がよく、どんな天候の急変にもこれさえあれば安心」と絶賛している[2]。

ありがとうwiki先生

食べ物の件は置いておいて、着るものや身に付けるものにおいて、イギリス製であることの安心感は何者にも変え難いと私は感じている。『Made in England』の文字の並びで気持ちが上がると言ってもいいかもしれない。私はそれくらいイギリス贔屓なのである。

Barbourはワックスドジャケットの老舗と言っていいだろう。この記事のトップ画もまさにBarbourである。

多分街中で何度か見かけたことがあるのではないだろうか。20代前半の頃はこのコーデュロイ地の襟のアンバランス感が全く理解出来ず、どこか凡庸で『おじさん臭い』デザインに何も心動かされなかったのだが、年を経るほどに妙な中毒性を帯びて、いつしか私を熱狂させるほどになっている。
昔は公式ブランドか、古着屋の奥の方でボロボロに着古されたものくらいしか見れなかったが、近年「別注」という形でさまざまなブランドがBarbourを売り出しており、明らかに昔よりBarbourを目にすることが多くなった。そして私は店先でそれらを見かける度に、まるで熱に浮かされたかのように吸い寄せられ、取り出し、眺め、うっとりするのだ。そして「良ければ着てみますか?」という店員の声掛けで目を覚ますまでがセットなのである。

あれだけ好きになれなかった襟もデザインも堪らないし、シンプルなブランドマークも、三つ並んだ英国王室御用達(ロイヤルワラント)マーク(ただ近年のロイヤルワラントは2つらしい。こういう年代による変化も憎いではないか)も、チェックの裏地も…枚挙にいとまがないのでこれくらいにするが、とにかく愛しているのである。

そんなに好きなくせに何で持ってないのか

池上彰さんも破顔するほど大変に良い質問なので、お答えします。

私は持っているのです。Barbourを。

◆◆◆

あれは、そう、私がBarbourに熱を持ち出した頃。何でもそうだが熱の持ち始めは温度が高い。特に私は最初イマイチ評価から入ったので尚のことである。

それは『耳をすませば』で小憎たらしかった天沢聖司にどんどん惹かれていく月島雫と言ったらわかるだろうか。あれだけ興味のなかったBarbourにグイグイ惹かれてしまい、いつしか自転車の後ろに乗せて朝日の見える丘に連れてって「Barbour、大好きだっ!」ってなる感覚だ。全日本人が理解してくれたのではないか。

ところがだ。
Barbourは高い。
気軽には買えないくらい高いのである。

当日社会人駆け出しのペーぺーの私には恨めしい程良いお値段なのである。

そんな恨めしい気持ちで(旧)公式HPを眺めていた時、神の思し召しかたまたまセールをしており、赤文字の30%を見て条件反射で買ってしまったのだ。それがこちら。

Barbour SL NAYLON

私はこの服のことを「ニセBarbour」と呼んでいる。
ご覧の通り形はBarbourのそれなのだが、素材はナイロンであり、ワックスドジャケットではない。ナイロンの中でもかなりペラペラのテロテロな部類なのであって、本家Barbourの分厚い訳ではないがワックスを含んだ何とも言えない重厚感からは対極に位置すると言っても過言ではない。

しかし、ニセくんにも良いところがたくさんあり、私はむしろ愛着を持ってニセくんと呼んでいる。

まず、デザインがBarbourであることは変わらないのだ。生地も違うし裏地もないが、腐ってもBarbourなのであり、着ると何だかサマになる。
特にBarbourが良いのはかなり守備範囲が広いのだ。休日のカジュアルな出立ちはもちろんのこと、実は意外とフォーマルな格好にバチバチに合う。なのでオンオフ問わず着れて汎用性が高いのだ。さすが紳士淑女の国英国と言ったところか。

それからノンワックスの気楽さは大きい。
ワックス入りになると、あれこれ気を使う必要がある。まず、椅子には座れない。いや、座れないことはないのだけど、ワックスがシートに移るリスクがあるので、きちんと脱ぎ着しなければならない。当然持ち物にも影響があり、服に触れやすい鞄などは少し気をつける必要があるだろう。(この辺りも英国の気高さを感じさせるとは思わない?)
そういうわけで、ワックスがないのでその辺りは全くストレスフリーで、本当に気軽に着れてしまう。生地の薄さも、インナーで調整すればいいわけだから、春秋には大活躍なのである。

それでも新しいのが欲しいわけ

Barbourの良い点の一つに、ラインナップの豊富さがある。

一つにはカラーがあり、定番のカーキの他に、ブラックやネイビー、ものによってはベージュやホワイトなどまで展開されている。この辺りはこの年のこの商品限定、みたいなところがある。

また、丈の長さもいくつかあり、それぞれに名前が異なる。
定番のビデイル、ロング丈のニューバーレイやボーダー(ニセくんはこの長さ)、そして今回私が欲しいのはショート丈である。中でも一番丈の短いスペイに焦点を絞っている。

そして色々悩んだ結果やっぱりノンワックスがいいのではと考えた。ここにはやはりニセくんの働きが大きく、気軽にヘビーユースするにはワックスは少し重いのではないかと。

そう、あのこだわった茶色のローファーとともに、ショート丈で軽い春を迎えたい。そんな気持ちを乗せて有休まで取った私は、Barbour店舗へ向かったのだった。

試着試着ーぅ!

ということでウキウキの試着タイムである。

お目当ての商品はこちら。

ユニセックスでいけちゃうのもいいところ

さっきも書きましたがスペイというショート丈モデル。
フライフィッシング用に作られたようで、川に入るときに裾が濡れないように短い丈になっている。さりげなく左胸に付いているD環は釣り具を装備させるもの。現代のファッションにおいては無駄なのだが、とてもオシャレに見えてしまうから不思議だ。そもそもこうした本来の機能を失いながらも付いているものって無駄にカッコよくない?デニムの懐中時計用の小さいポケットとかね。

で、結論から言うとめちゃくちゃ良かったわけなんですが、サイズがなくて一回り大きいものしか残っておらず…まぁそれでもよかったんだけど、このデザインがビックシルエットなので若干大きく感じてしまい、まぁそれでもよかったんだけど、やっぱり体に合うモノを着てみたいなという気持ちに駆られてしまったんですね。

そして私はやってしまうわけですね。

「あの、ワックスの奴でサイズってあります?参考までに」


あぁワックス ワックスだよね Barbourは

違うんだ、違うんだよ。
ノンワックスが欲しかったんだよ。

なのにワックスときたらさ、めちゃくちゃしっくりきちゃうじゃんかよ…(恍惚)

このマットな質感も良いし、ショート丈であることでワックスの重たい質感が少し軽くなる感じもあり、全体のまとまりがとてもいい。襟も、D環も、ポケットも、チンフラップも、何もかも、必要なものが必要なところに必要な分だけ付いているだけなのに、どうしてこんなに美しいのだろうか。形式美とはこのことを指すのではないか。

店員さん「春物のも良いですけど、ワックスはやっぱりいいですよね。手入れは少し気を使いますけど、やっぱり経年変化を楽しめるのはこっち(ワックス)。ワックスが抜けてきた感じになると、色が明るくなってくるんですよ」



経 年 変 化




店員さんの経年変化という言葉は私の脳内でリフレインし、とうとう私の理性を見事に吹き飛ばした。次の瞬間、私は5年先のワックスの抜けたBarbourとともに生きていた。垢抜けたという言葉があるように、ワックスが抜けたBarbourは鮮やかな、しかし決して安っぽくない、年数を経た艶のある緑をたたえているのだ。そして私はこの5年を思いながら、またこの先の5年に思いを巡らすのだった…。

この瞬間、私の脳内は

ノンワックス → ワックス

に見事置き換わったのだった。
ワックス狂信者の誕生である。

そんなワックス中毒症状が出ていた私なのですが、ふと気になったのが裏地と手首周り。
先のノンワックスは春用に作られているため、裏地は薄くほとんどない。そのためBarbour特有のチェックの裏地があまり楽しめない。一方で、ワックスは「夏以外はいける」という店員さんが言うように、少し厚手に作られているため、裏地がしっかりしているのだ。

服の裏地ってたまらなく好き

そして袖口なのですが、ノンワックスは何も付いておらず、ワックスの方には防風用の内袖が付いているんですね。


ちょび!

まぁこれも悪くはないんだけど、個人的にはこの袖裏にも裏地のチェックが付いているタイプがあることを知っており、それだけ裏地マニアな自分に辟易しながらも店員さんに尋ねてみると。

店員さん「あぁ…袖の裏地は基本的にビックシルエットのタイプなんですよね。袖が太くて、折り返せるから」

なるほどね。なるほど。
でもビックシルエットよりは普通のサイズ感の方がいいのよねぇ…。

店員さん「正規品はないんですけど、別注だったりすると、裏地あるのもたまに見ますね」

ほ~ん…なるほどね…
これは大変なことになった…。

私はこの瞬間、Barbourにおける真理にたどり着いた。

Barbourとは、自分のお気に入りを見つけるための、一つの旅である。

はやぶさ(2024)

先ほども言ったようにBarbourは様々な種類があり、自分のお気に入りを見つけるためには、以下を検討して自分の一着を探す必要があるのだ。

①カラー
②丈の長さ
③ワックスの有無
④ディティールへのこだわり

つまり、旅なのだ。
無限の宇宙から、自分の一着を見つけ出す旅なのだ。

私はそう気付いて店舗を出た。
それは船出のようだった。

手にBarbourはないが、大きな収穫があった。
私はBarbourを探す地図を手に入れたのだった。

待ってろよ、Barbour。

はやぶさのBarbourの地図

①カラーはグリーン系
②丈はスペイ、次点でトランスポート(とにかく短め)
③ワックスは必要、絶対
④裏地絶対至上主義
⑤ビックシルエットではない方が良い
⑥胸元のD環は欲しい
⑦袖裏の裏地も欲しいけど…(できれば)

【あとがき】
そんなわけでBarbour狂騒曲第一章なのでした。
これは続きます。私が私のBarbourに出会うまで。それは明日のことかもしれないし、遠い未来かもしれないけど、私は追い求めます。でもいつになるかわからないので、気長に待っていてください。
そして私のnoterさんの中にBarbourスキの方がいらっしゃいましたら、静かにコメント欄に偏愛ポイントを書き込んでください。私もまた静かに嫉妬に狂います。

それはもう狂います。春ですから。










【次回予告】
Barbour探しの旅に出たはやぶさくんだったんだけど、一般的に考えるとBarbourはシーズンオフ。新作が出る予兆なんてほとんどないことを知って、何もせずに冬を過ごしたことに臍を嚙んだみたいです。
それでもはやぶさくんの物欲は留まることを知らなくって。あぁ、はやぶさくん、そっちは帰り道じゃ…えぇ?!、何か買うまでおうちには帰らないのかい??


次回
止まらない はやぶさくん
英国贔屓、米国に浮気
試着室にて ひと悶着

の3本です。
次回もまた見てくださいね。
じゃんけん、ポン、うふふふふふ。





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