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読書の記録(40)『ミライの武器「夢中になれる」を見つける授業』吉藤オリィ サンクチュアリ出版

手にしたきっかけ

昨年、中3の長男と学校見学などにいくうちにロボコンやロボットに興味を持つようになった。いままでは気にもとめずにいた本や記事が目に留まるようになった。

吉藤オリィさんのことも、何かのおりにTVで見て知ってはいた。若くて才能あふれる人がいるんだなあ、ぐらいの認識だった。幼いころから自分の好きなことを探求し、自分の夢を叶えたすごい人なんだろうなあ、ぐらいの認識だった。ところが本を読んでみたら、想像していた人と全然違っていた。

心に残ったところ

読んでいくと、一見風変りというか、普通の学校になじめなかったであろうなあと思われるエピソードがたくさん出てくる。『黒い白衣』荷まつわるエピソードもおもしろかった。

友達づきあいが苦手だからロボットを作るという発想もおもしろかった。けれど、いろいろな人と出会ううちに、人間の孤独を解消するロボットを作りたいという思いに変わっていく。人間の孤独はAIでは解消されないという気づきが大きな転換点になったのだと思う。本当に求められているものを探るところから、オリヒメが生み出された。オリヒメに手をつけるという発想は1人では生まれなかっただろう。

2024年5月15日の読売新聞に、吉藤オリィさんの記事を見つけた。筋委縮性側策硬化症(ALS)患者の武藤昌胤さんがオリィさんとロボットアームで握手をする写真が掲載されている。

吉藤オリィさんのロボットはこうなったら便利だな、面白そうだなあ、というところから始まっていない気がする。当たり前のようにできないことがあって困っている人が、それを当たり前にするために技術を使っているところがとても温かみがあると感じる。

不登校だった吉藤オリィさんに、たくさんの経験をさせたご両親もすごい。11時まで学校に残れるようにしてくれていた工業高校の先生も。こだわりの強い子がその強みを発揮する場面は学校ではなかなか作りにくい。特に小・中学校では。みんなと同じことや友達と上手くやっていくことが求められる場面が多い。しかし、子どもの強みを引き出し、伸ばし、環境を整えていくことが、周りにいる大人がのできる最大の支援なんだというのを改めて実感した。

まとめ

大人向けの本と思って読んでいたけれど、中高生にぜひとも読んでほしい。できれば、自分の将来のことを具体的に考え始める中学生にお薦めしたい。自分に何ができるかわからなくて悩んでいる人にも、好きなことがわからない人にも。自分の強みを知りそれを活かし、自分の強みを認めてくれるところでだれかの役に立つ、という生き方を知ることで救われる子が多いように思う。

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