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18.そして一人旅が始まる ーパキスタン編1~僅かな希望の光

ボンカレーと日本のお米で涙腺崩壊し精神的に追い詰められてる自分に
気が付いて本気でこの後どうしようか?考えた。

このまま旅を続けて大丈夫なのだろうか? 楽しめるのだろうか?とか
今、ここで旅を止めて何が残るのだろうか?とか
このまま負け犬のまま、何も掴まずに帰国して何の意味があるだろうか?

正解が無いので悶々としてしまう。

もう失うものが無いから、当時内戦状態だったパキスタンの北
アフガニスタンに行ってギリギリの体験したら
何かに気が付き成長するのだろうか?とも考えた。

本当にどうしたら良いのか?分からなかった。

そんな中、自分が考えた中で殆ど現実味は無いが
「これなら絶対元気が回復する」というアイデアがあった。
そして、その可能性に賭けてみようと思った。

それは、旅の最初に出会い2ヵ月一緒に旅して
一度も喧嘩しなかった颯太にもう一度会う事だった。

彼は一度トルコから日本に帰り、またトルコに戻ってきて
インドの方に向かう、と聞いていて僕と旅で向かう方向は
同じだった。

しかし、旅の宿での情報交換ノートを見る限り
彼がイスタンブールを出たのは1ヵ月前。
当時、インターネットも無く
旅の情報ノートだけが相手との連絡手段なので
「出会えるか、どうか?」は本当に分からなかった。

でも、それ位しか
旅先で自分が「これなら絶対心の底から信じれる!」と
思えるものは他には無かった。

カラチから32時間位電車に乗ってイスラマバードに着く。
そこには、日本人宿ポピュラーインがあって
沢山の日本人と話していると大分心は安らいだ。

日本人が泊まる宿なら必ず颯太も何か書いているだろうと
むさぼる様に旅ノートを見ていたら
彼のコメントを発見!
イスタンブールでは1ヵ月離れていた旅の日程が何と
1週間くらいに縮んでいた。

どうやら彼はのんびり旅行していて1ヵ月かけてイランを旅していたのに
僕は身ぐるみ剝がされたお陰で1週間でイランを脱出。
期せずして彼に近づいていた。

「あれ?これはひょっとして再会出来るのかも?」という
僅かだった希望が少し現実味を帯びてきた。

あんまり期待して会えなかった時のショックを考えて
颯太と再会する事への期待を膨らませ過ぎない様に、と
自分を戒めていたが、旅が少し盛り上がってきた。

イスラマバードで、中国国境に続くカラコルム・ハイウェイの起点となる
「フンザ」と言う綺麗な山から下りてきて
また山に戻る、という大地さんに色々話を聞くと
フンザは「桃源郷の様に美しい場所」だと言う。
彼の話に引き込まれ、寒くなって雪が積もり行けなくなってしまう前に
僕も一緒にフンザの山に向かう事にする。





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