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2022年6/8 動物病院からの電話

夕方雨が降るという予報だったので、歩いて家を出た。駅までは急ぎ足で約15分。タイミングのいいバスがないか調べようとスマホを出して、着信に気付いた。電話帳に登録のない、都内の番号。どこからだろ、とググったら、かかりつけの動物病院が出た。
あら。どうしたんだろ。

健康診断で病院に行った時の様子
鼻出ちゃってますよ


先々週だったか、一緒に暮らしている猫の健康診断で血液検査のための採血をしていた。そろそろ結果が出てるだろうから電話しなくちゃな、と思っていた。そうしたら向こうからかかってきた。
む。なにかあったんだろうか。それとも同時に相談したマイクロチップの登録変更のことだろうか。

マイクロチップのことであれ、と願いながら、電話を折り返した。名前を告げると、獣医師に代わった。
「よんちゃんの血液検査の結果に異常がありまして。来ていただいた時の体重減少と頻脈から考え合わせて、甲状腺機能亢進症だと思います」
こうじょうせんきのうこうしんしょう。
すぐに漢字は思い浮かんだが、どんな病気なのかイメージが湧かない。駅へ向かう緩い坂を、ペースを崩さないように上る。
「代謝を促すホルモンが過剰に分泌されてしまうので、車で言うとアクセル踏みっぱなしみたいな状態なんです。なので食べるのに痩せるとか、心臓がずっとバクバクしっぱなしになってしまうんですね」
ははぁ。一見元気そうだけど、ホルモンが悪さしてるからずっとしんどいのか。なるほど。
それは、例えばしばらく薬を飲んで数値が落ち着いたら、治療をやめられるものなんですか。
「ホルモンの過剰分泌を抑える薬でコントロールするのが一般的で、大学病院なんかだとそもそも甲状腺を取っちゃう外科手術というコもいるんですが…。薬だと生涯、ですね」
生涯。ずっと付き合う、病。
「詳しいお話をしたいので、近々ご来院いただけませんか」
そりゃぁもう。明日行きます。

診察の予約を取って、電話を切った。

早く駅に、電車に。調べなきゃ。旦那にも連絡しなきゃ。

駅に着いていつもの乗車位置に立つ。検索窓に「甲状腺機能亢進症 猫」と打ち込む。
やってきた電車に乗りこんで、出てくる記事を片っ端から読んだ。
乗車している約15分の間に、あらましは掴めた。

・血液中のT4という数値の上昇でわかる。
・猫は亢進がほとんどで、機能低下はほぼない(犬は逆)
・高齢猫の10%は甲状腺機能亢進症を発症するというデータがある(高齢猫にはさほど珍しくない)
・チアマゾールという薬を飲んで、定期的に血液検査で数値を見る
・鳴き声が大きくなる
・活発に動き回る
・継続的な投薬治療が一般的で、日本では手術はまれ。アメリカでは放射線治療もある
・ヒルズがy/dという療法食を出していて、治験では3週間で数値が正常値まで下がった(但しおやつなど療法食以外を口にするのは一切NG)

鳴き声が大きくなるのは心当たりがありまくった。ここ1ヶ月ほど、明け方にとんでもない音量で「おわぁ!おわぁ!」と鳴くのだ。
数値も高いようだし、これはどうやら決定的か。

ホルモンの過剰分泌による代謝異常のせいで、腎臓病がマスキングされてしまっている可能性があり、ホルモンを薬で抑えると顕在化することがある、という。
心臓に負担がかかるので、肥大することも。

ううむ。

14歳になるウチのお猫様は、これまでは内臓疾患は全くなし。右脚腰が弱ってきて高いところに上がるのにバタバタすることがあるほかは、慢性的な症状とは無縁だった。

とうとうきたか。鼻から長く息を吐き出しながらそう思った。
長生きしてるからこその病ってこと、だよね。

フードやおやつ、いいものよくないものについて調べまくるが、全然情報が出てこない。
そのうち、検索ワードに入れていないのに発症猫の中央生存期間なんてやつが出てきた。
417日。
よんひゃくじゅうなな。
中央生存期間はいわゆる平均値だから、これより倍以上生きるコだっている。頭では分かっていても、1年ちょっと、という数字に動揺する。
そんな。
20年くらい平気で生きると思ってたのに。

旦那に基本情報のURLを付けてLINE。
うん。大体のことは分かった。疑問点を整理して、明日病院で聞こう。

仕事を終えて帰る間もずっとネットで情報収集。
キャットフードのヨウ素含有量って、どこも開示してないんだなぁ。珍しい疾患じゃないなら、ヨウ素を抑えたおやつやフードがもっとあっても良さそうなものなのに。

今あげているのはカナガン。

成分を見てみたら、ヨウ素を敢えて添加していることがわかった。とりあえずこれは定期購入を解約した。グレインフリーだし全部ヒューマングレードの素材だし、着色料や香料不使用でとてもよかったのだけど。何年もずっとお世話になった。
年齢的にも、高齢猫用フードに切り替えた方がいいとは思っていたので、いい機会だと思おう。

帰宅して、だっこして、撫でて撫でてと膝にのってくるよんの全身をマッサージするように撫でながら、「私より早くいなくなっちゃうのは分かってるし、絶対最後まで面倒みるって約束したし、その方がいいんだけど、でもよんが痛かったり苦しかったりするのは嫌だよう」と泣いてしまった。
よんは撫でられるがまま、いつものようにまぁまぁな音量でごろごろ言っていた。

帰ってきた旦那は、「夜鳴きのこと調べてる時に甲状腺のこと読んだ気がする」とのこと。まぁまずは明日の病院での診断がどうなるかだね。

うん。


情報をあさる中で、個人のブログなども探してみたのだけど、驚くほど少なかったので、じゃあ記録のためにもどこかに書いておこう、と思った。
どんどん辛くなるから書き残さない人が多いのかな、となんとなく想像している。

でも、私にとっては書くことが自分の気持ちを整理する一番の手段だし、いつか誰かの参考になるかもしれない。
そう信じて、始めることにする。

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