【書籍紹介】グローバルで通用する「日本式」マーケティング 中島広数箸
私の友人の処女作が発売となったので紹介させて頂きます。
日本と中国では商品企画・販売の実務者として、タイではアセアンエリアのマーケティング責任者として活躍された著者の実践に裏打ちされた骨太のマーケティング書。
ヒット商品の企画着想から、商品発売に至る関係者の巻き込み方法、「売れる」と「儲かる」をどう両立させるか等、実務家ならではの有益な知恵が満載の1冊。
巻末の「著者のおすすめ書籍」には正統派マーケティング書が名を連ね、本文においても随所にフィリップコトラー、マイケルポーター、松下幸之助、稲森和夫、ステーヴジョブズ、イーロンマスク等、経営・マーケティングの巨匠たちの金言が散りばめられており、マーケティング熟練者にとっても価値ある内容となっています。
企業のマーケティング実務者にとっては手引書として、マーケティングマネジャーにとっては部下教育の教本として、是非、手元においておきたい1冊です。
■著者によるマーケティングの定義
そう言えば、先日(1/25)、公益社団法人日本マーケティング協会が34年ぶりにマーケティングの定義を刷新しましたね。
<新しいマーケティングの定義>
ステークホルダーを巻き込んだ、価値の共創が強調されています。
ちなみに、私の定義は以下。長いと覚えきれないのでシンプルに(笑)。
■日本式グローバルマーケティングの5ステップ
①日本国内でまずヒットする
②海外に輸出される
③現地化する
④多国化する
⑤世界規模に広がっていく
食品や消費財は、文化との結びつきが強いので、どうしてもこの様なステップアプローチが必要になってしまいます。
一方でテクノロジードリブンな商品(スマホやPC)、ソフトウェア等は最初からグローバルを意識した商品企画が重要。
また、文化的な結びつきが強い音楽等のソフトカルチャーにおいても、先日、記事でご紹介したBTSの事例の様に、本国とグローバルを同時に攻めるという成功事例が出てきています。
■マーケターに必須の2つの能力
「頭を使って、気を遣って、人を動かす」能力
「座組みと仕切りとブリーフィング」能力
単に優れた商品企画や販促手法を発案すれば良い訳ではない。自らのアイデアに対し、社内を説得し、賛同者を増やし、商品化するまでが仕事(もちろん、その後の販売管理、採算管理、商品改良等も)。
従って「人たらし」であることも重要な素養。
■グローバルマーケティングのバリエーション
日本という国をどう攻めるか
日本以外のアジアの国々をどう攻めるか
日本と似てはいるけれども生活習慣の違う欧米をどう攻めるか
日本→アジア→欧米という順番で攻めるというのが消費財においては正解と思います。文化的な距離の近さと成功確率は比例するので。
著者は「グレーター日本」という言い方をしていますが、「グレーターチャイナ」と捉えるのが実態に即していると思います。中華人民共和国の人口が14億人、在東南アジアの華人が40百万人。やはり、数の力は圧倒的です。
著者は、謙虚であまりアピールしていませんが、日本語、英語に加え、北京語(マンダリン)と広東語もできるのが強み。今後のグローバルマーケターは、英語以上にマンダリンの習得が必須になっていくのではと思います。
■著者お薦めのマーケティング本
1.ブランディング、ポジショニング
2.マーケティングマネジメント
3.制約理論
4.消費者調査
5.思考力
6.マネジメント
7.哲学
8.(おまけ)マルセロお薦め本
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