見出し画像

もはや日本大企業はエリート養成所ではなく不良資産の肥溜めである

勝手にタイトルを書き換えてしまいましたが、元記事はこちら。

■エリート養成所が機能した時代

高度経済成長時代、目指すべき欧米というモデルがあり、いかにそこに効率的に追いつくかという競技であった。偏差値教育で勝ち抜いてきたエリートを採用し、軍隊の様な統率力で効率的に欧米に追いついて行った。

上官に与えられたタスクを忠実に、無駄なく、確実にこなした者が出世し、指揮官側に回る。結果、会社が成長するから待遇もあがる。大企業に入ることが将来の成功を約束するゴールデンパスポートとして機能した。

■VUCAの時代が訪れ、かつてのエリートが一転、不良資産に

低成長経済に移行して以降は、昇進のスピードは遅くなり、それでも昇進に差はつかず、年次重視(つまり抜擢が起きないこと)が継続した。その中で、エリート(だったはずの人々)は、黙々と下積みに甘んじ、先輩や前任者の前例を忠実に踏襲し、いつか管理職になれる日を待ち続けた。

その結果、(暗記力には優れていたため)前例を徹底的に踏襲する一方、前例のない局面に対して自力で解決策を打ち立てるという創造的な能力を培う機会がまったくないままに、順送り式に幹部に昇進した。

現在の幹部の世代は、こうした人々であり、自力でイノベーションを起こす能力がないだけでなく、若い世代の提案するイノベーションを「前例がない」という理由で握りつぶすことに多大な貢献をしてきた。

■均質化こそが、かつての競争力。ダイバーシティーは理解困難

終身雇用や年功序列は、戦後日本企業の大躍進を可能にした重要な要因であると考えられていた。実際、新卒で採用された社員たちが「同じ釜の飯を食う」なかで愛社精神という名の同質的なカルチャーをはぐくみ、長時間労働をいとわないという「モーレツ社員」の団結力を生み出し、このことが欧米に「追いつき、追い越せ」のスピードを速めたことに疑いはない。つまり「ダイバーシティの低さ」が日本的経営の成功の秘訣だったわけである。

今の幹部の世代は、まさにこの洗礼を長期間受け続けた世代なので、「ダイバーシティを高めよう」という風潮に対してはいまだに懐疑的である(そう発言すると叩かれるので口には出さない)。「ダイバーシティの高い環境」を体験したことが一度もないので、それがいいことをもたらすということを理解することすらできない。

■若手に見放される日本企業の病巣

出る杭は打たれる」という同調圧力を皆が感じているので、新しいこと(前例とは違うこと)を提案することに全員が躊躇する。若者の抜擢は起きないので、下積みをしている間に前例踏襲主義に染まっていく。長時間労働を美徳としてきたので、女性にとっては極端に働きにくい職場であり、管理職になる前に多くの女性が辞めていく。

中途採用の社員は、社内のインフォーマルな人脈に入ることができず、そのために活躍の機会も見いだせず、すぐに辞めてしまう。海外現地法人に外国人をスカウトしてきても、「責任と権限があいまいで、権限がないはずの本社がいろいろ邪魔をしてくる」ことに嫌気がさし、もっと条件の良い他社にすぐに転職していく。結果として、新卒入社の日本人高齢男性が実権を握り続け、前例踏襲カルチャーをより強固なものにしてきた。

如何でしょうか?成功の方程式に過剰適応した、かつてのエリート達が、時代の変化と共に不良資産化していく様が実に的確に言語化されています。また、均質性を高めたことで、専業主婦が家事を担当し、仕事にフルコミットできる男性社員(+独身or子なし女性)しか出世できない閉鎖的なメンバーシップ組織ができあがってしまった。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?

■大企業が持つ資産を若者(女性、中途入社)に開放し、活用する

唯一残されたチャンスは、若者を抜擢することであり、中途採用者を幹部にスカウトしてくることである。しかもその大多数が女性であれば、なおのこと望ましい。外国人が多く含まれていれば、理想的である。

さまざまな技術をため込んできた大企業には、社会課題の解決に使える技術が大量に眠っているはずであり、社外からスカウトされてきた幹部が見たら、まさに宝の山に見えるであろう。

■不良資産化した、かつてのエリートは、どう扱うべきか?

このパートは記事には書かれていません。筆者の主張をくみ取った、私の独断による追記となります。

若手、女性、外国人といった多様性に富んだタレントをモチベートし、活躍する為のリソースとサポートを提供する。プロデュース手腕に長け、メンバーから信頼されるモダンエルダーとして貢献する。

この一択だと考えます。

当然、この議席には限りがあるので、大多数のシニアは不要となる。会社としては、この不良資産をきれいさっぱり解雇という訳にはいかないので、受け皿が必要となる。

そこで、今後、人手不足の成長産業を大手企業が買収し、多くのシニア社員を出向・転籍させるという大きなトレンドが来ると予測します。先日の某大手生命保険会社による介護事業買収は、それを示唆しています。

記事にもありますが、大企業は資本力や多くの魅力的な有形・無形資産を抱えています。いち早く、このシフトチェンジを行うことで、ベンチャーに流れていた優秀な若手を惹きつけ、再び成長軌道に載せることは十分に可能なシナリオと考えます。

■シニア社員は、何をすべきか?

以下の過去記事をご参照ください。

1.複業/パラレルキャリア的働き方にシフトし、社外で通用するポータビリティーの高いスキルセットを獲得していく。

2.これまでの会社人生はリハーサルで、55歳以降が本番だというマインドチェンジをできるだけ早く行う。「営業力」「アクティブな人脈」「信用貯金」を意識的に獲得していく。

3.木下さんが提唱する「ジブン株式会社」。雇われの身ではなく、自ら個人事業主としての主体的なキャリア形成を意識した働き方にシフトする。


いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。