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【書籍紹介】ライフキャリア:人生を再設計する魔法のフレームワーク

古くからの知人である千葉智之さんの新刊(共著本)をご紹介します。

人生100年時代を想定し、団塊ジュニア世代をメインターゲットに書かれたキャリア本。「ワークキャリアからライフキャリアへ」。会社一辺倒の価値観を見なおし、「仕事×プライベートの無形資産」を組み合わせることで、自分にしかできない、かつ、定年のないパーソナルビジネスの作り方を指南してくれます。

20代から40代までは、「高い収入や栄誉」が最も価値を感じる要素でした。しかし、50代前半になると、社内での昇進や管理職のポスト競争に終止符が打たれます。

これ以上の給与の上昇が見込めなくなると、これらの要素が重要でなくなり、仕事全体に対する価値観が低迷します。

これまでのように「高い収入や栄誉」を追求し続けるのは難しく、新たなキャリアの価値観を模索する時期となるのです。

まさに、私のことですね(笑)。

本書では、「ライフシフト 100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)で提唱されている「3つの無形資産」を発展させた「キャリア・ビルディング・ブロック(CBB)」というフレームワークが紹介されています。

「ライフシフト」で提唱されている「3つの無形資産」は以下の通り。

①生産性資産:仕事の生産性を高め、所得とキャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産。

②活力資産:肉体的・精神的健康と心理的幸福感。

③変身資産:人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力、人的ネットワーク。

ビジネス領域の無形資産である生産性資産とプライベート領域の無形資産である変身資産。この2つを掛け合わせ、「知る」→「実践できる」→「発展・再構築できる」と磨いていくことで「パーソナルビジネス」の構築に繋がる。

本書は、ライフキャリア研究所所長の平賀さん(原口さんがモデル)と建設会社経理部勤務の秋山さん(千葉さんがモデル)の対話形式で展開されるので、サクサク読み進めます。私は1時間ほどで読了しました。

大きな会社になればなるほど、業務の分業化が進みます。その一部分を担う秋山さんのような一般のサラリーマンは、長い年月をかけて「会社という大きな仕組みの中のとても高性能な部品」となっています。とても高性能ですが部品なので、単体ではビジネスを生み出すことができません。

もし今の仕事が嫌になって転職しようとしても、同じ部品がピッタリはまる別の会社、仕組みを見つけなくてはいけません。その部品がピッタリはまる会社なんて、なかなかないですよね。運よく見つかったとしても、悲しいことに「もっと歳の若い部品」が出てきます。

とリアリティのある会話を通じて現実を直視させられます(笑)。

本書では、事業を考えて、自ら組み立てて、実行するのに必要な5つの「ビジネス創造資産」が定義されていて、全40項目からなるチェックシートも掲載されています。

■5つのビジネス創造資産

①課題発見力
②ビジネス構想力
③チーム実行力
⓸ヴィジョンメイク
⑤心構え

更に現代ビジネスの必須スキルとして「ITリテラシー」がハイライトされています。全15項目からなる「ITリテラシーチェックシート」。大分類が「コンテンツ創造」「情報拡散」「WEB基礎構築」。

私は、15項目中、13項目をクリアしていました。カバーできていなかったのは「クラウド会計サービスを使っている」「クラウドソーシングで受注したことがある」の2点。

例えば、「3つ以上のSNSを使っている(Facebook、X、Instagram、YouTube、TikTok)」という質問があり、「え?3つで良いの?全部使ってるし、発信もしてますけど」と自分を客観視するきっかけにもなりました。

最後に「ライフキャリア行動3原則」が提示されています。

■ライフキャリア行動3原則

①他者と比較しない
②仲間を作る
③自己効力感を持つ

自己効力感に関連して、「自己決定力が重要」という話も紹介されています。

神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と同志社大学経済学研究科の八木匡教授により実施された日本人の幸福度調査。健康と人間関係に次いで「自己決定力」が影響を与えている。所得や学歴よりも影響が大きいという調査結果。

この話、先日、音声配信で尾石晴(ワーママはる)さんが、紹介されていて興味を持ちました。はるさんは、「子育てが仕事より大変なのは、自己決定力が全くないからである」とおっしゃっていて「確かに」と膝を打ちました。

本書は、50代前後で、「定年後の人生に漠然と不安を抱えているが、具体的な行動には踏み出せていない」という方に、一読をお勧めします。

ただし、本書は「何を武器にするか」という供給サイドに特化した内容なので、セカンドキャリアに向き合うには「何が求められているのか」という需要サイドは別途、研究する必要があるということは申し添えておきます。

<関連過去記事>

■大塚寿氏の「会社人生 55歳の壁 突破策」の書籍紹介記事。「これまでの会社人生はリハーサルで、55歳以降が本番。60歳以降は余生ではなく、むしろこれからが本番だというマインドチェンジをできるだけ早く行う必要がある」。様々な準備が必要であるが、中でも「営業力」「アクティブな人脈」「信用貯金」が重要と説く。

■プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事平田麻莉さんに学ぶ複業術。「信用資産」「期待値コントロール」「WillとCanの交差点を見つける」等のキーワードについて解説しています。

■木下斉さんのVoicy放送「ハイエンド会社員の働き方が激変する予感」をベースに複業型の働き方が主流となる未来について解説(木下さんは「分散型セルフブラック」と定義)。木下さんが提唱する「ジブン株式会社」も同様の考え。雇われの身ではなく、自ら個人事業主として主体的にキャリアを築いていくという提案。




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