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映画ドラえもん「のび太の月面探査記」を見て。

先日Amazon primeでドラえもん「のび太の月面探査記」を観ました。

この映画は、辻村深月さんの脚本。
辻村さんはドラえもんが好きで、藤子・F・不二雄先生にちなんだ「凍りのくじら」という小説も書かれているということで、いつかちゃんと観ないとと思っていました。

(ちなみに私自身「凍りのくじら」は未読了。厚みにたじろぎ積読状態で本棚におられます…。あの、最初ちらっとは読んでドラ愛に溢れてるなぁと思ったんですが、まだ読めてないですはい)

私はドラえもん大好きです。今てんとう虫コミックスを1巻から読み返したりしてます。
自己紹介の場ではアイスブレイクとして、絶対「ドラえもんが好きです!」っていうくらい好きです。

なのですが、声優さんが代替わりしたとき、ちょうど私自身も小学生から中学生になり、ちょっとドラえもんとの距離感が変わっていったんですよね。

なので新しい声優さん達の映画は、ちらほらとしか追えてないのですが、今回この『月面探査記は』ちょっと本腰あげて観とこうか、と思いまして。
観ましたでございます。

まず、
ほんとにドラえもんが大好きな人が創った映画だぁ〜〜!(にこー
と思いました。

おそらくこの映画を高く評価している人(私含め)、というのは根っからのドラえもんファン仲間達なんじゃないかなぁ。
「ああこれこれ」「そうそう」となるポイントが多かったように感じました。

自分が好きなものを、同じように愛してくれている人がいる、
それをストーリーの端々で披露してくれる、
もうその愛だけでファンは嬉しくなっちゃうんですよね。

そういう楽しみ方ができる映画だなぁと思いました。いくつか書いていきます

細部のこだわりが好き。

最近の他のドラえもん映画をあまりきちんと観られていないので、比較は避けたいところなのですが、多分きっと、細部のこだわりは、他よりも多い映画だったのではないかしら…と。

しずちゃん家のペロが出てきてくれたところや、
のび太の部屋の本棚にタンキくんやラフレジアが入ってるとことか
(普段のアニメからそうだったらすみません)。
ドラえもん好きだと、思わず顔がふにゃっとなっちゃう仕掛けがあって楽しいです。

原作コミックスへのリスペクトを感じる。

物語のベースは、てんとう虫コミックスにも掲載されている
『異説メンバーズクラブバッジ』というひみつ道具を使って、
人々の間で昔から語られている「異説」を本当にしちゃう。ただしメンバーバッジを胸につけている人だけがその世界に行けるよ。という設定から進んでいきます。
『もしもボックス』に似ていますね。

原作コミックスでは「地底人がいる」という「地底文明説」を現実にしたところを、
映画では「月にうさぎがいる」という「月のうら文明説」に変更がされていて、
そこからのび太達の月での大冒険が展開していくわけです。
ここのリメイクが原作を生かしたいい塩梅だなぁと思いました。

私この原作の地底人達の星のカービィみたいなキャラデザが好きで、大山ドラ世代にアニメでやってたのもVHSで何回も観ていて。声も可愛いんですよね〜。

映画では、その原作の地底人にうさ耳が生えたデザインで、これも可愛かったです。

原作リスペクトは、新しい声優さんたちでリニューアルスタートしたときからのことなので、改めて語ることもないのかなぁと思いましたが、書いてみました。

秋の季節描写が美しきかな

タイトル通り「月」がテーマなので、月が綺麗に見える中秋の名月を物語の季節に設定されていて、秋色の絵が本当に美しかったです。色づいた葉っぱたち、風に揺れるすすき。
アニメや絵って実際より風景を際立たせて描けるから、やっぱり実写とは違う魅力があります。

余談ですが、ドラえもんで「秋」というと個人的には、大山ドラ頃の同時上映の短編映画「おばあちゃんの思い出」を思い出してしまいます。
銀杏並木の坂道の描写が、ほんとに泣いちゃう。今思い出しただけでうるうるしてる。
(それとドラえもんが公園の遊具のぐるぐる回る丸いジャングルジムみたいなのに、頭はまっちゃうのも好き。そして幼稚園時代のジャイスネがかわいい。これほんとに余談)

さて、とにかく、秋設定のドラえもん映画って珍しくてなんだかセンチメンタルで素敵でした。

のび太たちの小学校生活を追体験できる

物語のはじまり、のび太は朝のニュースで月の無人探査機が動く影をとらえたことを知る。
遅刻ぎりぎりに到着した教室では既に「あれは何だ」と大論争になっていたが、のび太が「あれは月のうさぎだ!」と主張すると皆に笑われて、挙句大きく振りかざした勢いで先生の顔をばーっんとしてしまったのび太は「廊下へ立っとれぇ!!!」となり、廊下でお決まりのセリフ

「ドラえも〜〜〜ん!!!」

ではじまりはじまり。

この一連の流れがね、非常にスムーズで「ああ今私ドラえもんの映画観てるっ」というワクワク感がありますね。昔話の「むかしむかしあるところに…」のような形式美があります。

且つ学校の日常感が伝わってきて楽しかった。
のび太達の学校での姿が、かなり長尺で丁寧に書かれてたのが好きでした。

のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫、といつものみんなに加えて、
出来杉君から安雄とはるお、いつもムスッとしてるムスこさんとか、のび太が監督で女子野球やった時の面々とかがいたような気がする。(ちがったらすみません、なんかみんな見たことある!って思ったの)

ああそうだった、この子達いつも大冒険してるから忘れてたけど、
ほんとに普段はただの小学生やってるんだよなぁーというのを、最初に丁寧に見せてくれたから、後の冒険ターンへのジャンプでワクワクドキドキがぐっと高まりました。

イケメンすぎるゲストキャラ

このあとはドラえもんとのび太で、異説メンバーズバッジで月にうさぎがいる説を唱えて、
うさぎ王国が完成していきます。ジャイアンや、スネ夫、しずかちゃんも月の国へ招待し
「どうだ月にうさぎはいただろー!」とえっへん。のび太。

このあとクラスに転校生として、不思議な少年ルカが現れることで、物語は大きく展開していきます。
実はルカは月に住んでいる、「エスパル」というエスパーが使える種族で…となっていくのですが、ここからはネタバレになるのでちょっと語るのはストップしておきます。

このゲストキャラのルカが、「これはほんとにドラえもん映画なのか?」と思うくらい、キャラデザがイケメン少年なんです。かわいい。
なんかこれがとっても現代チックだなあと思いました。いい具合に長く愛されてるドラえもんと、今の時代を融合していってるなぁと。

藤子・F・不二雄先生への愛を感じる

で、なにより、私がドラえもん愛に溢れてるなーと思った理由がですね、
過去の色んなドラえもん映画・大長編に似てる部分やオマージュがいっぱいあったこと。
辻村さん、藤子・F・不二雄先生のことほんとに大好きなんだろうなあ。

(詳しく思いついたままに書いていたら長くなりそうなので、別記事にします。)

強いて言うなら…

でもちょっとだけ、にがいことを言ってしまうと、
ドラえもんの要素を抽出して詰め込みすぎて、全体のストーリーとしては正直かなり分かり辛くなってる部分もあるなーとは思いました。

それと、ドラえもんのことをそこそこ詳しく知ってる人が見る前提で、説明が端折られてるひみつ道具とかもあって、その辺は塩梅が難しいな〜ということ。

でも「ドラえもん」の映画の脚本なんて、どんな有名な小説家の方でも、一生に一度も書けないことの方が多いんだし、力こもりますよね。
ましてや「ドラえもんが好き」だからこそ、そんな千載一遇のチャンスを得たら、こうなっちやいますよ。うん。

それも含めて私は、辻村さんの「私はドラえもんが好き!」という想い伝わってきて、観ていて幸せになる映画でした。

「創造力は未来だ!」

最後に、この名言のことを語って終えたいと思います。

「想像力は未来だ!人への思いやりだ!それをあきらめた時に、破壊が生まれるんだ!」

ドラえもんが最後、ラスボスに向かって言うのですが、これは、刺さった。
小説家だからこそ書ける台詞なのではないかな、と。

創作活動をしている人は、
(これは所謂「創作」に限らず、日々をただ暮らしていることも「創作」のひとつなんだと私は思っています)
みんな同じようなことを心の底に抱えて創作をしているのだと思うけれど、

これをこのような台詞に言語化して落としこみ、
且つ子供にも分かるような簡単な言葉に噛み砕き、
未来の世界から来たロボットであるドラえもんに語らせる。

ぐぬぬ。
これが「言葉」を仕事のツールにしている人の成せる手業かあ。

多分、F先生でも書けなかったと思う。
というかF先生だったら、台詞では書かないんだろうな。
漫画家だから、絵とコマと吹き出しを使ってあらわすんじゃないかなあ。

私は漠然とした自覚として、
「声」に乗せた「台詞」が心に響きやすいタイプだと思っているので、
この台詞がほんとに感動した。
「感動」というありていな言葉でしか語れない自分がくやしいけど。

(「文字」「絵面」「音」「触覚」「におい」etc...琴線に触れるポイントは人それぞれなんだと思う。私の場合、台詞が響く。だから舞台とかも好きなのかな。ラジオとかPodcastも好き。)

水田わさびさんもすごいです。
声優、俳優、アナウンサーとかとか声を操る才能のある人もすごい。ほんとに。

でもその中でも声優さんは、
「声だけ」に「自分の言葉を入れず」に、
想いを乗せるプロだから更にすごい。

ということで。

ドラえもん『のび太の月面探査記』の感想でした。
書いててつかれちゃった(笑)こんな長くなるとは思わなかったよお

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