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スプラトゥーン3のラスボス戦BGMが良すぎて涙が止まらないおじさんの話

皆様、こんにちは スプラトゥーンのヒーロモードをやって涙が止められないおじさんです。 今回はラスボス戦BGMを読み解きながら 何故我々は涙を流してしまったのか、その謎に迫っていきたいと思います。 ※この記事は性質上スプラトゥーン3の重大なネタバレを含みます。ヒーロモードをクリアしてから御覧ください。

ラスボス戦BGMにおける文化の混沌

多少なりと音楽を聞きかじった方であれば気づいたかと思いますが
3のラスボス戦BGM「シオカラ節 Three Mix」現実世界の様々な国の音楽要素がふんだんに取り込まれています。

ブラジル

言わずとしれたブラジルの音楽「サンバ」がこの楽曲の中枢を担っている要素です。
2拍と3拍を組み合わせたビート、リズミカル吹かれるホイッスル
これらはサンバの代表的な要素が盛り込まれています。

カリブ

音楽文化圏が複雑に入り混じっているのでこの書き方をしますが、曲中でなっているスチールドラム(ディ○ニーのリトルマーメイドの楽曲で有名)はキューバやトリニダード・トバゴの音楽でよく聞くことができます。

インド

ギターを綺羅びやかにしたような不思議な音はインドの楽器シタールの音です。スプラトゥーン3ではいろいろなBGMでこのシタールの音を聴く事ができます。

日本

シオカラ節のシオカラ節たる所以の特徴的なサビのメロディーですが
これはヨナ抜き音階と呼ばれる日本の民謡などでよく見られる音階です。
(英語圏ではペンタトニックスケールともいいます。)
また、琴のような弦楽器が含まれており、これも和の要素の一つです。

アラブ

上記のヨナ抜き音階に加え、アラビア音楽で使用されるアラビア音階も楽曲の一部で使われています。どこか怪しさを感じる音階で他ゲームにてピラミッドを模したステージがあれば間違いなく流れているテイストのメロディです。


最古の楽器と最新の楽器、時間の混沌

最古の楽器

世界最古の楽器は「声」でした。
楽器が出来、音楽が"音学"となる前から「歌」は自然発生的に生まれて人々に親しまれてきました。
今作の「シオカラ節 Three Mix」にはスプラトゥーンの楽曲には初めてと思われる複数人によるバックコーラスがついています。
どこか神事に通ずるようなコーラスが曲を盛り上げています。

最新の楽器

一方、最新の楽器は「電子楽器」それも「EDM(Electronic dance music)」で使われるタイプのものです。
計算し、合成した波形を音として出力することで音を奏でます。
濃密な音の波形が楽曲にインパクトを与え、楽曲を体の芯まで響く音楽へと昇華させます。
様々な音楽が含まれたこの楽曲では、電子楽器の音がゲームBGMとしてのまとまりを与え、曲中最後のサビでは重低音響くベースとビートがアウトロに向かって更に楽曲を盛り上げていきます。

この混沌こそ

このゲームの舞台であるバンカラ街
前作最後のフェスで「混沌」陣営が勝利したあと急激に発展を遂げた
様々な文化の坩堝(るつぼ)となった混沌の街
を象徴する音楽
それがこの「シオカラ節 Three Mix」なんです。

さらにラスボス戦では全ての魚介類の思いを受けてコジャケがオオジャケとなり共闘してくれるわけですが、楽曲に含まれた音楽の文化、歴史の混沌がこのオオジャケ化に凄まじい説得力を持たせて突如始まる大怪獣バトルに鳥肌が止まらなくなるわけです。

クマサンとの対比

今作の黒幕であったクマサンですが
ラスボス戦前半で流れる「カガヤクンデス・マーチ」は音楽の分類上
行進曲(マーチ)に当たると考えれます。
行進曲は元来は行進に付随する音楽で、軍隊などが行進するとき、足並みをそろえるためのものですので、必要としての音楽。
一方「シオカラ節 Three Mix」を構成する上記の様々な音楽要素は
音楽上分類は難しいもののどれも踊り、歌い楽しむために用いられていたもので、敢えてたとえるなら、不必要としての音楽。

目的の達成のために策を練り、魚介類をあと一歩のところまで追い詰めたクマサン

様々な意図や思いを持ちながらも楽しみ、最後は協力して地球の魚介類を護る魚介類陣営

この対比が曲を通じて完璧に近いレベルで描かれているのも大変魅力的です。
孤独な行軍を続けるクマサンと手を取り合いながら地球を護る魚介類たち、どちらが勝つのかは言わずもがなでしょう。

最後に

任天堂の皆さん、本当に素晴らしいゲームをありがとうございます。
本当に、本当にありがとうございます。

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