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倒木の中は群雄割拠!

「雨後の筍」という諺があるが、私にとっては「雨後のキクラゲ」の方が、はるかにピンとくる。

昨日一日中降り続いていた雨が上がり、からりと晴れた今日の松山。
「こういう日には、あそこだよな」
と近所の山の北斜面を探索しに行くと、思った通り、キクラゲ畑になっていた。

とってもとっても採りきれず、手のひらサイズに育ったものだけ選んで持ち帰ってきたが、それでも全部で2.4kgあった。
いよいよキクラゲ屋さんに転職する日も近い。

「キノコの正体はカビの花」という言葉を知ってから、あらゆるキノコの見え方が変わった気がする。

私に見えているのは、外に顔を出したキノコたちだけだが、倒木の中では、菌たちによる陣取り合戦が行われている最中なのである。
だから、こんなのを見つけると、ちょっとワクワクするようになった。

キクラゲの隣に、何やら白いキノコが生えている。
二つのキノコは、色が全然違うけれど、似ているところもある。
キノコ特有の「柄」が無いところや、触った時のグミ状のプルプル感、それに何より同じ木の、すぐ隣に生えている。
「きっとこれは、キクラゲの色違いなんだろう」と素人の私などは、思ってしまいがちだ。

ところが、これを裏から見ると全然別種のキノコであることがわかる。

ピントが甘いのでもう一枚。

白い方のキノコの傘の裏は、根元から放射状に伸びる筋がある。

一方、キクラゲは裏に筋がない。
表面は、近づいてよく見ると、細かい毛が密生していてビロードの手触りだ。

つまり、この倒木の中では、キクラゲの菌糸と、正体不明の白いキノコの菌糸が戦っているところなのである。

再掲。戦いの最前線。

2種類のキノコのどちらが優勢になるかというのは、温度や湿度、日照条件、台木にもともと共生していた菌の種類、などなどで決まるのだろう。
細かいことは知らない。

とりあえずわかるのは、正体不明の白いキノコは、キクラゲの菌糸だらけのこの倒木の中に、ようやく自分の居場所を見つけて、これから陣地を広げてのしあがろうとしているんだな、ということである。
菌による「キングダム」的な壮大なストーリーが浮かんでくるではないか。
まさに「菌グダム」。

だから、10mほどの倒木の、上、中、下で生えているキノコが違ったりすると、劣勢のキノコを「頑張れ秦!」などと応援したくなったりする。

キノコは「あいつにだけは負けたくない」なんてことを思っているはずもなく、今日も淡々と倒木を分解している。

**連続投稿835日目*

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