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【開運は腸から始まる】トップアスリートを支える杉田正明先生に聞きました③

対談①と②の記事では、アスリートだけじゃなく誰もが生活リズムを意識し、コンディションを整える必要があるということ。また病気の症状が出る手前の“未病”の状態で不調に気づき、健康な身体づくりをすることが大切であるということを、コンディショニングの権威である杉田正明先生と一緒にお話ししてきました。最後は、腸の役割と重要性に着目しながら、人生を楽しむために自分自身で身体を整えていくということについて考えていきます。

以下 杉田正明先生→杉 / 長谷川美智子→長

長 日々自分の身体の声に耳を傾けること、そして未病をいち早く察知することなどをお話ししてきました。多くの方のリンパ施術を通して、体温、特に腸内温度を上げて全身のリンパを流すことが、自然に免疫力を上げる近道なんじゃないかと感じています。先生はどのように思われますか?
杉 腸活であるとか、温熱療法とか一般的になってきましたが、まさしくそうだと思います。注目すべきは腸ですね。アスリートにも同じように指導しています。腸は最大の免疫器官であり、人間の体にある免疫細胞の約6割を持っています。また腸では幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが作られているんです。それが脳に行って初めて、やる気が出るという仕組みになっています。
長 便秘や下痢が続くなど腸の状態が悪い場合は、意欲すら出ないということですね。
杉 そうですね。睡眠時に腸は蠕動運動をしますよね。ですから、その時間にお腹を冷やしてしまうと血行が悪くなり、機能が低下します。就寝時は腹巻きをしてお腹を温めるということは理にかなっているんですね。
長 腸は第二の脳というくらいなので、本当に大切な部分ですね。施術をする中で未病の始まりは、むくみなのではないかと感じています。足がむくんでいるとかではなく、体の中、“細胞内のむくみ”が原因と感じます。ナトリウムとカリウムのバランスが取れた食事をすることでむくみを取っていくというアプローチもありますが、リンパデトックス施術では体を温めてリンパを流し、細胞の水分を正常な状態にしていくということをおこなっています。むくみと運動の関係についてはどう思われますか?
杉 筋肉と細胞のむくみの関係ですが、筋肉がむくむということは、筋肉の細胞の中の細胞液が増えているということですよね。その液がたまるということがどういうことなのかを紐解く必要があります。果たしてむくみは筋肉にどのような影響を与えるのかはまだ僕の中でも整理がついていません。ですが、原因不明の不調を訴える選手にはむくみがあることがほとんどです。ですので基本的にむくみというのは良くないことなんだろうなと思っています。
長 むくみがあると不調を感じる可能性が高いということですね。アスリートのように常に身体を意識している方ならまだしも、一般の方が意識できるむくみは、細胞外液のむくみだと思います。それが生じる前に、細胞内のむくみを改善することで、細胞外液のむくみを防げると感じています。
杉 一生懸命、外側から施術しても細胞内のむくみに到達するには時間がかかると思うので、やはり運動をして筋肉をもって体温を上げる腸を刺激して動かしていく。それらが、自然に細胞が整ってくる”サイクル”です。これこそが本当にコンディションを整えるということなんです。
長 そうですね。腸をちゃんと温めて、動かすということ。それこそがいま言われている脳腸相関※で、腸=意欲に直結するんですね。

脳腸相関の図

杉 われわれは『休養学』で、身体的、精神的、社会的な健康能力を良好な状態として持続させると謳っていますが、“持続可能”というところがポイントです。それには常に、心と体の声に耳を傾けること。そもそも、耳を傾けられる状態に心身のコンディションを整えておくことが必要不可欠です。
長 周囲の環境も整えていかないといけないですね。
杉 自分の身体の状態を把握して、適切な方法で改善していくということですね。
長 それが、人生を楽しむということにつながるんですね。
杉 はい。『休養学』ではコンディションを整えて人生を楽しむということを目指しています。
長 それは理想的なライフスタイルですね!私も「リンパを流すと人生が変わる」とみなさんにお伝えしていますが、デトックスをすると六感まで目覚めてくるので人生がより良い方向に回り始めるんだと思います。
杉 本当にそうですね。すべての感覚を研ぎ澄まして日々鍛錬をしているアスリートにも通ずる話です。
長 杉田先生、3回を通してわかりやすくご説明いただきありがとうございました!
杉 ありがとうございました。

※腸には腸管神経系という独自の神経ネットワークが発達しており、感知したさまざまな情報を処理して脳へ伝達している。脳と腸は情報を交換し合い、互いに影響を及ぼし合うという関係である。
 

杉田 正明 教授
日本体育大学 体育学部 博士(学術) スポーツ科学的アプローチでアスリートをサポートする研究の第一人者。日本オリンピック委員会(JOC)情報・科学サポート部門長や、日本陸上競技連盟 科学委員長を務め、様々なトップアスリート達のコンディション管理や支援を通して、国際競技力の向上に長年携わっている。また日本テレビホールディングス健康事業部主催の「日テレ運DO!部」の座長に就任。
杉田正明氏著書
休養学基礎 – 疲労を防ぐ! 健康指導に活かす


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