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    2024年5月、6年間暮らした鳥取を離れて、初の熊本へ。引っ越し前後の日記。

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〈引越し日記3〉鳥取、最後の帰り道

”鳥取、最後の帰り道”(事件)の前置きとして、まずは我が相棒・ジムニー のことをお話しします。これを書くにはまだ少し、いやだいぶ胸がチクリと痛むのだけど。 まずは私の、マイカー遍歴について。大抵のことは運が良い方で、いい出会いに恵まれているのが自慢の我が人生。しかし車に関しては、どうもそうでは無いなあ、というのがこれまで。 初めて自分の車を持ったのは、大学を卒業し、岡山県西粟倉村の会社に就職した頃。通勤はもちろん、車なしでは生活できない田舎だったので、引っ越してすぐに紹介

    • 〈引越し日記2〉 初めまして、家

      遠くに見える山、近くに迫る木々、田植えを前にたっぷりと水を湛えた田んぼ、畦道を歩く人、並走する車、通り過ぎた無人の駅、耳がつんとなるトンネルの暗闇、を過ぎたら、目に勢いよく差し込む光。どこも似ているようで同じではない、そんな初夏の田舎の風景を車窓にいくつも通り過ぎながら、私の胸は高鳴っていた。やっと会えるという楽しみな気持ちに、もし気に入らなかったらどうしようという不安が覆いかぶさるのを、「きっと大丈夫だからさ」と、私が私の手で私の内側をさする。 新八代駅から、玉名駅を目指す

      • 〈引越し日記1〉 電力会社を選んでみる

        来月に控えた引越しのため、今の住居を退去するための手続きと、転居先の契約に関する手続きがようやく落ち着いた。 相棒である猫のために「ペット可物件」という条件は外せず、希望のエリアでの物件探しにはなかなか苦戦し、やっと決まった新居にはまだ行ったことがない。遠方への引っ越しなので、内覧することが叶わず、引越しの日に初めて新居を訪ねる、というなんとも緊張感のある引っ越しになった。 一度決まりかけた物件が、物件側の都合(修繕工事が長期になるため入居者募集を取りやめるという理由)に

        • {ご報告②}これからの仕事と暮らしのこと

          約6年勤めた隼Lab.を退職すること、そして鳥取を離れることをお伝えして、1ヶ月が経ちました。その間、身近な人たちに伝えたり、退職や引き継ぎに向けた準備を進めたり、引越し荷物をまとめ始めたりしながら、自分自身の気持ちも次のスタートに向けて整える日々です。 ありがたいことに、次はどんなことをするの?と興味を持って聞いてくださったり、メッセージを送ってくださる方もいます。現在鳥取で運営しているお店「ポトラ」の閉店についてご報告できたら改めてお伝えしたいと思っていたので、note

        〈引越し日記3〉鳥取、最後の帰り道

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          {ご報告①}隼Lab.・鳥取を卒業します

          大切な決断をしたので、ご報告です。6年間勤めた隼Lab.〈(株)シーセブンハヤブサ〉を、5月末で退職します。そして、6年間過ごした鳥取を離れ、5月中旬には次の場所に移ることになります。きっとそれまでにお会いできない方も多いでしょうし、自分自身、この決断を、今思うこと記録しておきたいので、少し長くなりますが書き留めてみます。 隼Lab.で過ごした6年間まずは、6年間勤めた「隼Lab.」と、そこで出会った方々へ、溢れんばかりの感謝の気持ちをお伝えしたいです。私は昨年30歳になり

          {ご報告①}隼Lab.・鳥取を卒業します

          〈読書記録〉2024年2月

          1月の末から読み始めた「炉辺の風おと」が文庫本だけどわりと分厚めで、本の中に流れる空気もゆったりしたものであったので、少し時間をかけて読んだ。途中、「熊本かわりばんこ」(田尻久子/吉本由美)を読み始めたのもあって、冊数としてはスローペースな2月であった。「熊本かわりばんこ」はまだ読み途中なので、2月の読書録には入れていない。 今、春からの日々に向けて家探しをしていたりするので、”住まい”や住む場所と向き合う本が気になる。「炉辺の風おと」は、作家の梨木香歩さんが、八ヶ岳での山

          〈読書記録〉2024年2月

          鳥取をめぐる1.5日間の旅{後半}

          二日目は、10:30頃にふたりが宿泊しているYpubへ迎えに行く。鳥取を訪れるのが初めてというサオリは特に「砂丘には行きたい」と事前に聞いていたので、砂丘へ向かう。三連休の中日とあり、たくさんの観光客で駐車場も混んでいた。地元の人っぽく、砂丘入口から少し離れた無料駐車場(道に面しておらずこちらはすかすか)に停める。 底が薄く抵抗力のなさそうな靴を履いていたサオリは、靴の中が砂丘のようになっていた。普段であれば不快でしかないそれさえも、面白がって写真を撮り、LINEで写真を家

          鳥取をめぐる1.5日間の旅{後半}

          鳥取をめぐる1.5日間の旅{前半}

          後輩二人が、福岡から鳥取へ遊びに来てくれた。12歳から18歳までの6年間通った学校は、中学校と高校が一緒になった”中高一貫校”で、全寮制だった。一つ下の後輩である二人とは、5年間、同じ女子寮で暮らしたことになる。1学年40人、女子は18人(今は男女半々になったようだが、私の代はまだ男子の方が受験倍率が低いのに入学枠は4名分多いという状況で、それは私が初めて感じた”女子”と”男子”の不平等であった。むむむ。)という小さな規模で全寮制となれば、1年生から6年生まで全員が全員の顔も

          鳥取をめぐる1.5日間の旅{前半}

          知ろうとする優しさと、わかろうとしない優しさ。映画『夜明けのすべて』

          私が住む鳥取市から、大きな映画館までは車で片道1時間半かかる。(市内には”鳥取シネマ”という小さなシアターはあるが、上映している作品は2-3作品ほどで、なかなか観たい映画は上映していない。)東西に細長い鳥取県の東側に当たる鳥取市から、西の方へ、倉吉を過ぎて、北栄町の海沿いに並ぶ風力発電を見上げて、天気の良い日は大山を左に眺め、ようやく映画館がある日吉津イオンに辿り着く。 行きに1時間半、映画をみて約2時間、帰りに1時間半、最短でも5時間かかるので一日仕事だ。仕事じゃないのだ

          知ろうとする優しさと、わかろうとしない優しさ。映画『夜明けのすべて』

          〈読書記録〉2024年1月

          今年は、月ごとに読んだ本を振り返れたらと思っています。(なぜなら1年ごとだと、だいぶ内容を忘れてしまうから!) 感想や紹介をじっくりとはいかないけれど、振り返ってみて書きたいことを書いていきますね。 「ナイルパーチの女子会」柚木麻子 12月に柚月麻子さんの「BUTTER」を読んでその世界に浸り、ドラマ化もされている「ナイルパーチの女子会」を読みました。内容としては、BUTTERとも共通する、女性同士の気持ちの絡み合い・ねじれ合いがストーリーの主軸にあって、こわおもしろいで

          〈読書記録〉2024年1月

          「手放すと入ってくる」って本当ですか

          手放すと入ってくるって、よく言いますよね。 それ本当ですか? 我が人生においても、そういう体験が、ないわけではありません。例えば、学生の時は「この人と結婚するんだ!」って若気の至りなりに本気で思っていた人に振られて絶望の縁に立ったけど、そのおかげで新しい道が開けて今があります。もう少し些細なことであれば、とても気に入っていたお皿を猫に割られてショックだったけど、不思議と数日以内にそのことを忘れるくらいに一目惚れのお皿と出会えた、なんてことも時たまあります。 経験もあるし、

          「手放すと入ってくる」って本当ですか

          正直を積み重ねる

          前々々回書いた投稿(前前前世みたいになった…)の、続きのような話を書こうと思います。 この記事を書いた後に読んだ、最果タヒさんのエッセイ集『コンプレックスプリズム』大和書房(文庫版)。最果タヒさんは、好きな俳優さんが”好きな詩人”としてラジオで紹介されていたり、SNSでもその作品を見ることがあったりして気にはなりつつ、難解なイメージがあって、これまで詩集やエッセイを手に取ることはなかった。この本は、私が選書を担当している書店「ポトラ」で販売していた本で、何度か面陳(本の表紙

          正直を積み重ねる

          試行錯誤の上昇期

          しいたけ占いを見始めたのは、たぶん、3、4年前だろうか。それからは、半期の占いを自分の中の区切りにしながら、今の状況を俯瞰したり、少し未来の自分を想像したり。読むのが楽しい、大人になってからの成績表(点数で評価するのではないタイプの)みたいなイメージだ。 しいたけ占いは、1年を上半期・下半期に分けた「半期占い」の他に、毎週月曜日に更新される「週刊占い」があって、昨年からはそちらの方も思い出したら見るようになりました。 そんな中で、今週の”双子座”(=私)の占いが、また何度

          試行錯誤の上昇期

          焼き納豆ごはん

          雑誌『暮らしの手帖』で、料理家の高山なおみさんの連載に、”焼き納豆ごはん”なるレシピを見つけた。正式にはなんと名付けられていたか、今手元になくてわからないのだけれど、作り方はとても簡単。フライパンに、少しの油をひいて、あたたまったら小粒納豆のパックを混ぜずにそのまま広げ、もんじゃ焼きを焼くときのように、真ん中を空ける。そこに卵を割り落とし、半熟になるまで焼いたら、フライ返しでそうっと掬って、お茶碗によそったごはんの上に乗っける。納豆パックに付いているたれとからしをかけて、出来

          焼き納豆ごはん

          洗濯物語

          ただでさえ晴れの日が少ない、その名も”山陰”の鳥取に住んで6年になる。特に冬のこの時期は、一週間晴れ間無し、なんてこともよくあることで。一人暮らしだと、出勤してから帰宅するまで、オール晴れてくれないと洗濯物も干せない。飼い猫が洗濯物を取り込むくらいしてくれたらとても助かるのだけど、なんて高望みして、いやいや居てくれるだけでいいのよなんて首の後ろをさすって差し上げて誤魔化している。 カゴから崩れんばかりの洗濯物の山を、押しつぶしつつさらに積み上げる日々。そんな折、昨夜はアプリ

          特別になろうとすることを辞めてみる

          特集が「理想の本棚。」だったので迷わず手に取った、BRUTUSのNo.999(2024/1/1/15合併号)。その中に、ファッションブランド〈A.P.C〉の創業者であるジャン・トゥイトゥさんのインタビュー記事を見つけました。 あまりファッションに詳しくない私でも知っているブランドですが、アーかエーかはいまだにちょっと自信がなく、「ァ(ェ)ーペーセー」と口篭ってしまうくらいの距離感です。余談ですが、A.P.Cは「Atelier de Production et de Crea

          特別になろうとすることを辞めてみる