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最後の週報と、お礼。そして「おせっかいな本屋」のこれからのこと

先週末、無事に西尾久での間借り本屋の営業を終えました。昨日搬出作業を済ませ、ホッと一息ついたところです。

営業日にして25日ほど。始まったころは本屋営業が面白くて興奮しすぎて、寝不足の毎日……。なんて週報で話していたのに、気づけば興奮する自分と付き合うのにもすっかり慣れました。

本当にあっという間で、最終日はいつもよりシャッターを閉める時間がゆっくりでした。なんだか終わってしまうのが寂しくて。

というわけで今回は先週の週報をざっくりと。そして、最後にこれからのことについて、お知らせしたいと思います。

5月9日(木)~12日(日)

・夫から「あと4日だね、頑張れ」とLINEが入り、営業がスタート。あまり気の利いた言葉をかけてくれるタイプの夫ではないけれど、こうした要所ではちゃんと抑えてくる、いい男です。

・出版社「ラトルズ」さんの社員さんは、毎週平日の昼休みに立ち寄ってくださり、応援してくださった常連さん。また必ず会いましょうと写真を撮ってお別れする。

・おそらく近所に住む男性。定期的に数冊買ってくださって「今週で終わりなんです」というと、「寂しくなりますね」と。次回開催のお知らせを少しだけすると、そちらにも行きますねと言ってくださりうれしい。

・友人が駆け込みで何人か来てくださった。中にはなんと前職の後輩ちゃんがサプライズで登場!あんまり久しぶりで誰か分からなかった(笑)。皆さん、時間をつくってわざわざ足を運んでくれてありがとう。

・毎週金曜に、習い事の帰りに来てくれるかわいい親子も顔を出してくれました。またどこかで会えるといいなあ。

・どうぞの本棚を盛り上げるのに一役買ってくれた、小さな女の子。今回も「最後だから!」と山ほど持ってきてくれました。

・土日は最後の特集「母に贈る」を展開。軒先ではカーネーションと薔薇を並べ、中では瀧澤珈琲がドリップパックを販売。そして「母と読みたい」を切り口に本を並べていました。

・母の日当日は思った以上に花が売れ、一安心。残った三本は近隣のお世話になったお店の皆様にプレゼント。西尾久界隈のあちこちで、「花のある暮らし」が生まれたきっかけになれたと思うと、すごく嬉しい気分。

・中学生の本好きの男の子二人が、来店。「これ、面白そう!」「古本だから安くて買える!」と、1冊ずつ文庫を購入してくれた。嬉しすぎて、サッカースクラッチをサービスしてあげる。こんなにいい子が令和にいるのか?と思えるほどいい子たちだった。

・近所に越してきたという母娘が来店。今日がお母さんと別れて初めて一人の夜になるという。私も初めて実家を出た時のことを思い出して、おもわず話し込んでしまう。困ったことがあったらいつでもタバタバーにおいでね、お母さん、娘さんは任せてください、なんておせっかいなおばさん店主になる(笑)。

・近所に住むおばさま方から、「家にある蔵書を引き取ってほしい」と何件もご依頼いただく。免許があればさくっと伺うのになあ。はがゆい思い。

・日曜の朝には、初めての一人インスタライブにも挑戦。良くしてくださる常連さんには「政治家の決意表明みたいだった」と言われ、思わず笑ってしまった。これからも定期的にやっていきたいな。

・インスタライブのアーカイブを見てきたよ、という常連さんが多数。みんなこの場がなければ絶対に出会えなかった人ばかり。「最後だから」とたくさんの方が訪れてくださいました。最終日は数え切れなかったけれど、多分50名以上は来てくれたのではないかな。本当にありがとうございました。

これからのこと

まだまだお礼を言いたい人、出来事ばかり。感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです。

ですがいつまでもシオシオと泣いてばかりもいられません。今後私がチャレンジしておきたいことをここに記しておこうと思います。

1. オンラインショップの開設

まずはオンラインで本を販売する土台をつくります。

目的は、いつか荒川区でお店を持つために、本屋としての力をためること。せっかくお店に来てくださっていた方々に、忘れないでいてもらうこと。

だから私が自転車で行ける範囲の方には、送料無料でお届けするサービスを行おうと考えています。それが既存のオンラインショップの仕組みで実現可能かは、まだ実験ができていないので(仮)とさせてください。

また体力的にきつかったら考え直します(笑)。決意表明ということでご認識いただけたらうれしいです。

「オンライン=日本中、世界中に販路を拡大する」ためのもので、完全に時代に逆行しているとは思うのですが、あくまで私が本屋をやる目的は「荒川区での暮らしをもっと楽しむこと」なので、こんなチャレンジも、笑ってみていてくださいませ。

2. 千駄木の古民家カフェ「HAGISO」での間借り営業(仮)

荒川区の近所の、千駄木にあるHAGISOのギャラリーオーナーからお声がけいただき、間借り本屋を定期的に行わせていただけることになりました。

こちらも仮なので、正式に決まり次第告知させていただきます。初回は6月中旬の2週間を予定しています。

HAGISO周辺も自転車で行ける範囲なので、こちらの方にもKAZENONEBOOKを認識してもらえるようになれたら嬉しいなあ。

3. 免許取ります

実は私、車の免許をもっておりませんで。いつも夫の力を借りて移動本屋を行ってきました。誰か持っている人が側にいたので、必要性をあまり感じなかったんです。

でもこれからは、いろんなイベントに気軽に出店したいし、古本がたまって困っている地域の人の力になりたい!というわけで、37年生きてきてようやく必要性を感じたので、頑張ってチャレンジしたいと思います。

「おせっかい本屋」になろう

今回の約1か月半の間借り本屋を経て、幸せだと感じる瞬間が何度もありました。

共通しているのは、本というツールを通じて、地域の方と繋がることができたとき。

いつも気に掛けてくれた近所のお店のみなさん、あなたに選書してほしいと何度も通ってくれた方、ただ話したいからと立ち寄ってくれるご近所さんや子育て中のママ、面白い本を作っている出版社や編集者のみなさん、花やコーヒー、駄菓子など仕掛けた特集を楽しみにしてくれていた近所の皆さん、普段なかなか話す機会のない中学生との出会い。そして、この街に住む入口に出会えた、一人暮らしの女の子。

お店を始める前に、自分が思い描いていた景色がいくつもこの場で生まれました。振り返ると、その瞬間はいつも、私のおしゃべりから生まれたことが多かったんじゃないかなあと。

ときに出すぎた真似をして、怪訝そうな顔をして帰って行かれた方もいました。その度に「あちゃ~、やりすぎた」と頭を抱えたりもしたのですが、多くの方は、私の「接客がうるさい本屋」を楽しんでくれたのではないかなあと手ごたえも感じているんです。

だからこれからの私は、「おせっかい本屋」と名乗ろうかな、と思います。どんな本屋ですか?と聞かれたら、おせっかいな本屋ですと。

ときに世間話を楽しんで、おすすめの本を紹介し合って、お困りごとを聞いて助け合って……。なんだか自分がやりたい本屋のイメージが、前よりもくっきりと見えてきたような気がします。

人の話を聞く、ということが昔から好きなので、やっぱりインタビューライターとして過ごしてきたこの数年も、意味があったんだなあと改めて感じました。

長くなりましたが、最後の週報はこのへんにします。

これからもゆっくり進化をしていきたいと思いますので、どうぞ温かく見守っていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

最後にチャレンジの機会をくださったヘゼリヒのオーナー、そして私のわがままを聞いて全力でサポートしてくれた家族に感謝します。


ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!