最新の世界観をどう読むか?


今回は7月17日(月)に開催された、リベコの理事でアルスコンビネーターの矢萩邦彦さんによる講座『最新の世界観をどう読むか?』についてご紹介します。

最新の世界観を知るにはニュースを定点的に見ることが有効です。2023年には新宿にジェンダーレストイレが設置され、様々な意見が出されました。その2年前の2021年には、従来は男性青、女性赤だった男女の色分けをしていない兵庫県明石市のトイレのことが話題になりました。性的少数者に変化する配慮が足りないとの指摘に対応したものです。世の中の変化は速いのですが、変化してしまうとそれが当たり前になって、変化したことに気づかないことがあります。従って、定点において世界を観察することが大事なのです。

最新の世界観を手早く知るにはキャッチコピーが便利です。コピーは時代の鏡で、時代の物事や流行と深く関わり、その時代に合ったものだけが受け入れられるのです。

戦前~戦後編から見てみましょう。1936年には、「ひとつぶ300メートル」(グリコ)という、戦意高揚のコピーがありました。しかし、2022年には、同じグリコが「栄養は、愛だ」というコピーを発表しています。これらを比べると時代の変化が分かります。

1952には、花王石鹸は「清潔な国民は栄える!」と石鹸の使用を促し、1963年には、西武百貨店の「避暑にいらっしゃいませんか」の言葉につられ、人々は百貨店に涼みに行きました。石鹸で手を洗う生活、冷房のある生活はまだまだ一般的ではなかったのです。
    
バブル経済期には楽しいことが沢山生まれます。1982年には、TOTOが「お尻だって、洗ってほしい」とウォシュレットを売り出します。同じ1982年には。そごう・西武百貨店の「おいしい生活」という新しい言葉が使われます。1989年には、日産の「くうねるあそぶ」というバブル全開を象徴する言葉が流行りました。

1990年代にバブルが崩壊した後は、等身大の世界に目線が下がります。1991年の武田薬品の「疲れている人は、いい人だ。」、2011年のドトールコーヒーの「がんばる人の、がんばらない時間」は、がむしゃらに働くという価値観からの転換が現われています。
令和になってコロナが蔓延すると、社会にも大きな影響が出ました。2022年には、NTTドコモの「人をつなぐ。元気をつくる。」、味の素の「会って、食べて、笑って」など、普通の生活の大切さが強調されました。

今はコロナが終わったとされています。世界情勢は緊迫し、景気が良い人がいる一方、悪い人、最悪な人もいます。こういう時代の中で、どういうコピーが刺さるのか、どう表現したら自分をきちんと説明できるのかが、言語化の際の一つの軸となります。

昔の時代から連続してコピーを見て行くと流れが分かります。自分という人間をこの場合だったらどのように表現したら良いのかを考える練習に、メディアからの情報を活用して頂きたいと思います。

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(仲井圭二)

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