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ライ•クーダー (映画とCM)

前回の続きです。
1982年「The Slide Area」を発表後、しばらくアルバム制作から離れ、稼ぐため映画音楽の仕事に転職します。

映画「パリ•テキサス」

1984年

この映画の監督は、昨年話題になった邦画、役所広司主演の「パーフェクト•デイズ」のヴィム•ヴェンダーズ監督です。彼は音楽に明るく「パーフェクトデイズ」でも相当イイ洋楽(ニーナシモン、パティースミス、ヴァンモリソン等)を挿入していました。

パリテキサスでは、ほぼライさんのスライド一本が使われていますが、これがアメリカ南部の荒涼とした風景に溶け込んでいて、弦の擦れる音までもが幽玄に感じてしまいます。ストーリーも、ロードムービーの中で役所広司の映画同様、家族の修復を描いています。


続いて 「クロスロード」 
伝説のブルースマン、ロバート•ジョンソンの曲「クロスロード」をモチーフにした映画です。

監督は、ウォルター•ヒルという人で、ライさんの「ジャズ」というアルバムを絶賛し彼を採用した人です。ライさん自身は「ジャズ」は大失敗で大嫌いと公言しています笑。

いくつかの映画を経てこのクロスロードで
成功を得ます。

1986年

このシーン↓は、主人公がモーツアルトを流暢に引くもののエンディングはブルースで締めくくります。教師は苦々しく「途中まではよかったが、最後がいかん。モーツアルトに対しての敬意がない!」と叱ります。主人公はジュリアード音楽院の優秀な学生ながら実はロバート•ジョンソンを敬愛するガチなブルースオタクなのでした。

主人公はベストキッドの人

大人の映画「パリテキサス」に比べると、若者向けな内容ですけど、ブルース好きならニヤッとしてしまいます。劇中のギタートラックは、ほぼライさんの吹き替え演奏です。スティーヴ•ヴァイが出てくるギターバトルシーンが有名ですね。

ところで、クロスロードでのライさんのプロモーションビデオがカッコイイんです。↓
こんな映像あったの?というくらい知られてないですけどサイコーです。
クロスロードはクラプトンのが有名ですけど、私はライさんの方が好きなんですよね。彼のカヴァーってどれも、原曲が分からなくなるほど大きく変えてしまいます。


ウォーレン•オーツ

すっかり映画の音楽制作で安定した仕事を得てライさんの生活は落ち着きました。
そして、日本のパイオニアが、ライさんにCMへの出演を依頼する時がきます。

なんという、かっこいいCMなのでしょう↑

ウォーレン•オーツやライ•クーダー本人が出ていることも、ナレーションが片岡義男ってことも、キャッチコピーがクールなことも、すべて魅力的なショートストーリーです。製作された関係者の方々のセンスの良さに脱帽です。

使用された曲は、ライクーダーの
Across the Border Line
Big City
Go Home Girl

特にこのAcross the Border Lineは、後に再録音したソウルフルなヴォージョンやフレディーフェンダーが歌ったヴァージョンがありますが、CMで使われたこのカントリーブルース調↓のが、一番好きなんですよね。
これはレコードでしか存在しなくて(多分)、CD化はどうやらライさん本人の許可が出ないようです。

507マイル離れて、電話で聴くワイフの声は若かった。

人間が本当に孤独を感じるのは、群衆の中だ。

サイレンの音は、夢の中で荒野を渡る風に変わった。

一連のキャッチコピーは「男は黙ってサッポロビール」のコピーライター秋山晶氏によるものだそうです。

それから、サントリーアーリータイムスでも、ライさん必殺のCMが発動します。

ここで一瞬見える彼のスライドバー、ライさんのは既成の物でなく、シェリー酒のガラス瓶を使っており、ひとつひとつ微妙に音が違うため、とても大切にしていたお気に入りの物がひとつあったそうで、パリテキサスの時はそれを大切に使っていたそうです。それでしか出ない音があるのでしょう。

サントリーウイスキーのCMは、他にも多くのセンスのいいものがありましたね。
私はショーン•コネリーのが好きでした。

「時は流れない。それは積み重なる」
この響き、シブいですよね。これは1992年、ギリギリその時代ゆえだったかもしれません。90年代後半頃からはインターネットが広まり、急速に変化していく時代になっていきますから。

昭和世代の私としては、この人、國村隼出演のこれ↓も好きでした。胸にグッときます。
ひとつ気になるのは、婚約のための挨拶にきた娘の相手を親父は一発殴る?それも良し?とした風潮が確かにありましたけど、今思うと、なんで殴るんだろー??ヘンなスジ通すなー、ドラマじゃないけど不適切にも程がありますね。笑

ということで現代の國村隼、転職のCMインディードで若者に軽くあしらわれていますけどね。笑 

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