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ジョンハイアット Bring The Family


ジョンハイアットの87年の作品「Bring The Family」このジャケットの写真、頬に手を置くその表情に、幾多の困難を経験してきた男の人生の愛と哀しみを感じてしまう。

それまでの7枚のアルバムは、なかなか売れずやがて酒とドラックに溺れ、子供が生まれた翌年に妻が自殺してしまう。立ち直るべく酒とドラッグを断ちLAを離れ、子連れの女性と再婚。双方の子供を抱え人生の再起を賭けたジョンハイアット、決意の作品「Bring The Family (家族を連れて)」

少ない予算しかなく、たった4日間で作られたこのアルバムはとても評価が高いけど、当時はすぐにヒットはしていなかったと思う。ボニーレイットが89年に突然大ブレイクしたグラミー賞アルバムに、このアルバムの曲「Thing called Love 」が取り上げられたおかげでジョンはやっと世間から注目される存在になった。その「Thing called Love 」の出だしがめちゃくちゃかっこいい。ライクーダーG、ジムケルトナーDs、ニックロウBa、職人達の裏拍リズムのイントロから、ジョンが「Ha!!」とかけ声を入れるタイミングがまた絶妙でここだけで感服してしまう。

続いてこのアルバムのハイライトの曲「Have a little faith in me 」は、彼のキャリアの中での代表曲で、このライブ↓は,後に活動を共にした、Lyle Lovett(ジュリアロバーツと結婚したことで有名な俳優&ミュージシャン)が隣に座っていて,曲の後半ハイアツトの熱唱に思わず涙しているシーンが印象的だ。

そして私がこのアルバムの中で最もよく聴く「Lipstick Sunset」ライクーダーの数あるスライドギターのソロ演奏の中でも一番多く聴いてきた曲で、ほんとうに素晴らしい。

数年前、営業マンをしていた頃、夕方の事務所への帰り道、関越道を走る営業車でこの曲をよく聴いていた。冬は特に毎日のように夕陽が綺麗だったけど、走ってる間ずっと運転席側に西陽があたり、この曲を聴きながら必ず眠くなった。関越道の三芳SAで仮眠したいが、今休めばその後、渋滞タイムに突入してしまう…SAに寄らずに眠気に堪えて走れ続ければ渋滞に合わず事務所に早く帰れる、どちらにするべきか!毎日のように迷っていた、そんな私の思い出ソング「リップスティックサンセット」(思い出のシチュエイションが、小さっ!)
つまり、いい曲だけど良すぎて眠くなるんですよ〜(夕方の心地よい疲れと眠気で気分いいけど,あぶなっ!)
でも、ほんとはロマンティックな歌なんです。

And Lord I couldn't tell her   
That her love was only killing me   
By the end of the day   
All her sweet dreams would fade To a lipstick sunset 
それに、あぁ彼女の愛だけが僕を夢中にさせてくれるのだと、今日も言えなかった…。一日が終わるころ、彼女の甘い夢は、口紅色の夕日の中へと消えて行く…。

ジョンハイアットは今までにも20枚以上のアルバムを出しているけど,おすすめはこの「Bring The Family」と次作の「Slow Turning」それと2010年の「The Open Road」でしょうか。また多くの良きギタリストとも組んでいて,ライクーダーの後は、当時無名だったソニーランドレス、ルーサーディッキンソン、2021年の最新作では、カントリー&ブルーグラス界の名手ジェリーダグラスと作品を出しています。

このライブ↓は.恩人であるボニーレイットとアメリカンアワードで共演した「Thing called Love 」ボニーレイットもジョンハイアットも、ポップにならずに沢山苦労をしてアメリカンロックを体現してきた偉大なる私のレジェンドなのです。

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