なぜ「障害者」を雇うのか
もりです!大学の時の友人、おざきくんと居酒屋のノリでラジオをやってます。
最近いまさらながらQuizKnockにハマっていて、ナイスガイ須貝さんの1時間自由研究が美しすぎるのでぜひ見てほしい。
さて本題です!今回の目次がこちら。
※今回の内容は、私が今までに見聞きした知識がごちゃまぜになっているので、真実かどうか保証できない部分も多くあります。申し訳ないですが、ご理解いただいたうえでお読みください。
なぜ「障害者」を雇用するのか
私は特別支援学校での教員を5年、現在は福祉関係の仕事をしていて、一般的な人よりは「障害のある人」とかかわってきた時間が長い方です。
そしたらさあ、おざきくんから純度100%の、「障害のある人をなぜ雇用するのか?」という質問をもらっちゃったんですよ~
誤解しないでいただきたいのですが、この質問に積極的な差別意識はないです。ないつもりです。
障害のある人が働く場所はもちろん用意されるべきだけど、感情を入れず事実だけで考えるなら、営利企業にとって「うま味」がないと促進されなくない?という意味でとらえています。
詳しくは我々のラジオのEp.43をきいてね。
で、このラジオの中で私、長く業界にいるのに、明確に答えを出せなかったんですよ!
も~悔しいのでブログでリベンジをしようとしている訳です!
よければお付き合いください。
企業のメリット3つ
当事者の方のメリットは言うまでもないので省略します。
自分の人生に意味があると感じている人は寿命が延びるという研究結果もあるらしいしね。
恐らく企業にとってのメリットはこの3つ。
マイノリティの視点が新たな商品を生み出す
「障害」がむしろ生産性を高める
制限のある人への配慮が、働きやすさや業務の効率化になる
1.マイノリティの視点が新たな価値を生み出す
これはラジオでも話していますが、例えば食品会社がアレルギーのある方向けの代替商品を開発したり、衣料品会社が感覚過敏のある方が選びやすい服を開発したりといったようなパターン。
要はマイノリティの方の視点が商品開発に入ることで今までターゲットになっていなかった層の消費者が顧客になるってわけですな。
ただこれは、マイノリティの方を雇用する直接の理由にはならないかも。
アンケートで済ませられるのでは?と言われたら上手く反論できない。
2.「障害」がむしろ生産性を高める
「障害」があるということは、何かしらの特性があるということ。特性があるからこそ「健常者」にはできない業績を上げることができる場合もありますよね。
例えば目に障害がある方が、手先の感覚が鋭くなったためにマッサージの高い技術を持っていたり。
ASD(いわゆる自閉症)の方が、強いこだわりがあるために、作業の正確性が飛びぬけていたり。
デンマークの企業・Specialisterne(スペシャリスタナ)は従業員の大半がASDの診断を受けていて、ソフトウェアテストなどの業務で25か国以上に展開しているそう。
ちゃんと調べていないけど、マイクロソフトもASD向けのインターンシップをしてるらしい。
ただ、これはいわゆるギフテッド的な方向性なので、企業がより幅広い「障害者」を雇う気にさせるにはさらに別の要素が必要になるでしょう。
その要素が次の、「ユニバーサル化」だと思う。
3.一部への配慮が全体の働きやすさや業務の生産性を高める
ラジオの後、リスナーさんからコメントでいろいろな企業を教えてもらいました。(どうやらとても有名な企業なのだそうで、勉強不足で消え入りたくなりましたね…)
いろいろ読ませていただく中で、なんとなく手のひらに残っていたのがこの3つ目。
障害のある方が業務に入ると、「困ったこと」が起こる。
そのままでは業務が進まないので、「どうしたらわかりやすいか」「どこができていればOKとするか」と考えるようになる。
するとその取り組みがそのまま、他の社員にとってもわかりやすいマニュアルになったり、工程の無駄に気づくきっかけになったりして、業務がユニバーサル化していく、というもの。
私も普段仕事していて、「なんでこういうオペレーションになってるんだろうなあ」と思うことがあります。ミスしやすい箇所は恐らく、誰もがだましだまし何とかしてしまっているけど、改善する工数をかける余裕のない部分だと思うんですね。でもそこから重大な事故になる可能性はいつでも秘めている。
そこに障害のある人が”つまづいてくれる”ことで、改善に迫られるようになり、短期的には工数がかかるけど、中長期的には全員が助かっちゃう。
以前ラジオでも話したけど、障害のある人やマイノリティの人に向き合って考えることは、本質を考える取り組みだと捉えています。
マイノリティの方は多くの場合「普通の人」が想定するいわゆる「普通の幸せ」が手に入りにくいことがあると思います。
じゃあ何が得られれば幸せなのか。幸せって何なのか。今持っている力でどうやって得るか。
問い直すことでどんどんそぎ落とされていく。
残ったものが、ほんとうにひつようなもの。本質。
誰もが働き続けられ、成果を出せる組織にするために、障害者雇用は賢い一手といえるのかもしれません。
私が調べたのは、水耕栽培の農家・京丸園株式会社さん。
「ユニバーサル農業」として、適切にテクノロジーを導入して障害のある人が「健常者」と同じように働いているそう。
とてもおもしろく記事を読ませていただいたので紹介します。
日本理化学工業は全従業員94人中66人が知的障がいの診断をお持ちなのだそう。この取り組みを題材にした『虹色のチョーク』は昨年の24時間テレビのドラマにもなったらしい。(本当に何も知らなくてお恥ずかしい)
国は納税者が欲しい
最後に、国にとってのメリットについても添えておきたい。
障害者手帳をお持ちの方は、等級によってお子さんの時から手当がもらえたり、20歳になると年金がもらえたりします。障害のある人が就労の訓練をする就労移行支援事業所は、全国に約3000か所あるらしい。障害のある人を雇用すると様々な助成金が支給されます。
国がこれほどお金をかけている理由は、働き手と納税者の確保のためでしょうよね。
障害のある方が就労せず、福祉で「護って」いる状態だと、だいたい1人2億円ほどの費用が必要なんだそうです。
その人たちが1人でも就労して利益を生み出し経済を回し、納税してくれたら、そりゃあ国はうれしいよね。企業への助成金も払っちゃう!って話。
「なぜ女性を雇用しなければいけないのか」と同じ論法
最後の最後に。
この話題を考える中で、これは「障害者」に限らないな、というごくごく当たり前なことに気づくことができました。
「なぜ○○ができない障害者を雇用するのか」という疑問は、そっくりそのまま、「なぜ出産や育児で業務に穴を空ける女性を雇用するのか」という疑問と全く同じ論法です。ですよね?
この話題について、マジョリティの視点から、終始高みの見物で考えてきたけど、ああこれは、自分の物語でもあるんだ、と驚いています。
以前 COTEN RADIOの障害の歴史シリーズでも話されていた気がしますが、障害は社会が作るものであって、その定義は可変です。
「障害のあるかわいそうな人に仕事を与えてあげる」という視点から脱却することができる人が、この宇宙船地球号で生き残っていけると、かなりわりと信じています。
この文章を読んでくださっている方が、ぜひ自分の物語としてとらえていただけていたらうれしいです。
(頑張って3000字書いたので、スキしてくれたらもっとうれしいです!🌟)
【Special Thanks】
ラジオにコメントして情報くださった方、本当にありがとうございました!コメントのおかげで記事を書きあげられました。
お名前紹介させていただきます!
🌟猫山チッターゴットおねこはん さん
🌟yumyumg** さん
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