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山暮らしの近所付き合い

2015年2月28日
わざわざ訪ねて来ようとしない限り人が訪れないような家に暮らす・・・のが理想だったけれど、家の前を走っている小さな道路は意外と人も車も通るので、外で作業をしていればきっと誰かが立ち寄っていきます。

特に午後3時から4時にかけては犬の散歩で人通りのピークになり、時には1日に3組くらい訪ねてきてしばらく立ち話をすることもあります。

もちろんそういった付き合いには良い面もあるけれど、たまにへこたれてしまうときもあったりします。

この地域は山に向かうほど別荘や移住者が多く、山を下ると地元の人たちが住んでいるという構成で、年齢的に言えば、おじいちゃんおばあちゃんが圧倒的大多数を占めます。

たまに若者を見かけると「おっ」となるほどです。

家の前の道

引越してきて一年目は、うちの前を通る誰しもが、突然建てられた小屋とその住人に興味を持って、遠くからでも声をかけてきては根ほり葉ほり聞いてくるので、正直なところちょっと面倒臭いときもありました。

「どこから来たの?」
「何作ってるの?」
「永住するの?」
「仕事はどうしてるの?」

わざわざ車を停めて声をかけてくる人も結構いたし、中にはずんずんと敷地内に入り込んでくる困った人もいました。

もっと困ったのは軽トラで乗り付けてきた見知らぬおじさんに突然、
「あんた、名前は?」
と顎をしゃくりながら横柄に聞かれたときです。

あまりに突然すぎて素直に答えてしまったことを思い出すたびに後悔しています。
自分は名乗らない人に、名前を教える必要なんてなかったのに!

散歩ラッシュがつらくなってきたときには「外で作業しているから声をかけられるんだから、その時間帯は家に 閉じこもろう。」と試みたけれど、上手くいかないときもありました。

というのも、車やバイクの有無、冬はストーブからの煙から留守か在宅かが簡単に分かってしまい、ドアまで来てくれたりするのでした。

そして、ある地元のおばあちゃんとおじいちゃんは、毎日のように犬を連れて家の前を通り、この辺りのことを聞かせてくれたり、また何度か自家製の野菜やお米をもってきてくれました。

頂くばかりでは恐縮なので、こちらからもお返しの品を持ってふたりのお宅をしばしば訪ねていました。

そうして半年くらい経ったころ、とんと姿を見かけなくなってしまったのです。

たまに地元集落の近くで見かけることはあったからよもや病気で臥せっている訳ではないようです。

去年の冬ちょうど今頃は毎日のように家の前を犬を連れて通っていたのに、そういえば今年は一度も姿を見ていません。

もしかしたら、単なる純粋な好奇心からわざわざ毎日うちの前を散歩していただけだったのかも知れないし、邪推をすれば、得体の知れない人間が近所に越してきて一体何を始めたのか見張るためだったのかも知れません。
そして半年経って、小さな家とその住人にすっかり興味が失せただけなのかも知れません。

現在この地元のお二人とは、会えば軽く挨拶する程度の距離感でお付き合いをするようになりました。
それでもたまに頂き物をしたりされたり・・・と、丁度いい関係になったと思います。

最初はその距離感が掴めずに、とにかく出会った誰に対しても愛想よく元気に接していたけれど、それを続けていると疲れてしまうときがあるのも事実です。

そういった面では都会はらくだったなあと思います。

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