見出し画像

【安曇野から発信する潤一博士の目】45~地蔵峠~

 現在はほとんど人も通らないこの峠を、私は1960年5月初旬に初めて通った。木曽福島からバスに乗り、旧開田村の古屋敷まで行った。卒業研究のための、初めてのフィールド入りであった。バスから降りると、5月だというのにまだ残雪が多く、土も凍結しており、とても調査にはならなかった。
 それ以降、何回も峠を越えた。ほとんど徒歩で、調査をしながらの峠越えであった。

①地蔵峠
石の地蔵さんがひっそりとたたずむ。
②地蔵峠を通る道は旧国道361号
新しく新地蔵トンネルが出来て、旧道は人影もない。
③地蔵峠を越えると、目の前に木曽御岳山が広がる。
④倉越原から北方を見る。海抜1,300m前後の平坦な屋根が広がる。その中に地蔵峠もある。
⑤長野県から岐阜県北部に広がる三河準平原。
地蔵峠付近は、その準平原の北部にあたる。
この準平原上で80万年前から御岳火山の活動が始まった。
⑥地蔵峠周辺の旧準平原は地蔵嶺面とも呼ばれ、地蔵峠火山岩類が尾根上に分布する。
御岳火山よりも古い、火山活動の産物である。
⑦地蔵嶺面上にのる御岳火山

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


最後までお読みいただきありがとうございます。 当館“絵本美術館 森のおうち”は、「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで開館をしております。 これからも、どうぞよろしくおねがいいたします。