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島日記 桜の樹の下には
一月末に固いつぼみだった桜が満開になっている。
早咲きの、おそらく河津桜なのだろう。
私が島に来た頃はまだ植えられてなかった。
ヒカンザクラの次に咲く桜で、ソメイヨシノかと思っていた。
その次に咲くのはいちばん好きなヤマザクラ。
ヤマザクラの季節はもう咲いたかなとそわそわする。
桜は古くから花の代表で、人々を楽しませ、満開の姿だけでなく散る姿も風流の最もたるものとされてきた。
生活にも関わる花だ。
しかし、私はある時期から、満開の桜をみる目が変わった。
刷り込まれてしまったのである。
それは、檸檬の梶井基次郎、「櫻の樹の下には」を読んでからだ。
もうひとつ坂口安吾の「桜の森の満開の下」。
ひとつひとつは清楚な花なのに、大木の満開の桜が散り初めるのを見ていると、妖艶な姿に変わり、木の中に引き込まれそうになる。
なにかが変化(へんげ)している感じをうけることはあった。
「桜の樹の下には屍体が埋まってる!」で始まる「桜の樹の下には」は生と死がテーマと思う。
安吾の代表作のひとつ「桜の森の満開の下」、これは幻想的で、怖い物語。
読むたびに衝撃をうける。
いろいろと考察されてきているが、難解に受け取らなくても、美と死、狂気、不安、などが織り込まれているのがわかる。
桜のイメージが変わってもいいというかたには読んでもらいたい散文と物語である。
どちらも青空文庫で読める。
桜といえば西行も忘れてはならない。
「願わくば花の下にて春死なんその如月の望月のころ」
桜の季節は物思いにふける季節でもあるようだ。
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今日もお付き合いくださってありがとうございます。
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