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玉ねぎに敬意を

民宿に行く途中、無人市に新玉ねぎが出ていた。
二個で百円だが百円玉がなくて、五袋も買ってしまった。
これから毎日新玉ねぎ料理だ。
それも悪くない。
新玉ねぎは日持ちしないので、出まわるのは短い期間だ。
バターをのせ、丸ごとチンしてお醤油を少しかける。
甘くてペロリと、二個は食べられる。

丸ごとスープにも。
お裾分けしないでひとりで食べてしまいそうだ。

玉ねぎは現存する最古の栽培食物のひとつという。
野生のものを畑で栽培し、交配を続けて今の形になったのだろう。
メソポタミアのバビロン王朝の粘土板に、玉ねぎが登場しているらしい。
楔形文字のレシピ集に。
そんなに古くから食べていたのか。

ピラミッドの建設労働者に配給した記録も残っているそうだ。
パンとビールと玉ねぎの壁画も。
日本では遅く、明治時代、札幌農学校(北大の前身)で栽培したのが始まりだ。

いつもの玉ねぎ、由来を知ると敬意をはらいたくなる。
それにしても、エジプトの労働者はどんな料理で食べたのだろうか。
その当時はノビルのような大きさだろうから、香辛料のような使い方かな。

玉ねぎほど頻繁に使われる野菜はないだろう。
ストックがないと不安になるが、最近は特に値段が高騰しているので、あまり買えない。
たまたま大量に手に入ったから、歴史の重みを感じながら毎日食べるとしょう。
血液も浄化してくれるらしいし。
とろりとした甘さがこたえられない。

輪切り焼きおかかのせ、トマトとベーコンのスープ。
慌てて作ったのでおいしそうには見えないが、きっとおいしいはずだ。
素材がいいもの。
慌てない、手抜きしないのがおいしく作るコツだと誰かがいっているが、思い出せない。

島ラッキョウをもらつた。
目の覚めるような白さだ。
一皮二皮むけばはっとする肌になる。
塩をまぶしてガリガリ食べる。
味噌や醤油につけてもいい。
天ぷらもおいしい。
歯ごたえと辛みがなんとも言えない。
これも旬のものだ。
本来沖縄のラッキョウだが、島でも栽培できる。

春は苦味、夏は酸味、秋は甘み、冬は厚味を食べるといいらしい。
玉ねぎもラッキョウも辛みだが、苦味もあるということにしておこう。

今日で弥生三月は終わりだ。
いよいよ本格的な春になるが、島は暑くなり、新緑は常緑の濃い緑に変わっていくだろう。


読んでくださってありがとうございます。













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