森てく

感情を揺さぶらないことに重きをおいたなるたけくだらない話。ワープロ実務検定3級

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マガジン

  • 最高のレシピ

    家でつくれる、まあつくれる、代用してつくれる、実践する自分用レシピ

  • 好きな記事、好きな小説、好きな文体

    個人的に好きな記事や小説や文体。個人的に注目している書き手、活動。

  • 短編

    短編です。

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    みじかいたんぺんです。短いです。体感時間は長めです(たぶん)。

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    ショートショートと一瞬の切り取り

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リピーター

 リピート率200パーセントのお店へ行った。 「200%ってことは、あと2回くることになるってことよね。私たち。ここに」 「そういうことだと思う」 「でもこんなところにあと2回、くるなんてことある?」  僕はあいまいな返事をする。彼女の意見にはおおむね賛成だ。  だが何があるかわからない。なにせリピート率200%なのだ。  用心してかかるに越したことはない。  そこはアメリカンカジュアルといった感じの、若い人向けの店だ。  からんとドアを鳴らし、店に足を踏み入れる

    • やきゅう

       応援好きが高じ、野球を応援することにした。  野球応援団である。  そうと決まれば球場だ。  プロの野球の試合だ。  赤と青のチームが戦っている。 「がんばれ!野球!!」  私は声を限りに叫ぶ。 「野球!!野球ぅ!!」  誰かがバットでホームランを打つ。  うおおおおおおおお!!  球場の向こう側がわく。  だが私の周りはしょんぼりしている。 「やきゅう!!!!」  私は周囲にいる彼らの代わりに叫んだ。  なんだか近くの人に睨まれているが気にしない。

      • AI

         AIを買った。  初め、残業の時風呂を沸かしてもらったり、ご飯を作ってもらったりするくらいしか使い道がなかった。ときどき背中を掻いてもらったり。  慣れてくると、買い物をしてもらったり、旅行の予約なんかもしてもらうようになった。  一度なんて当日急な仕事が入って、AIだけ行ってもらったこともある。  もはやどっちが自分なのか分からないくらいだ。  その頃になってくると、もうAIは自分の生活に欠かせないものになっていた。  会社に行くとき晴れにしてもらうなんてのは当たり前

        • 自給自足

           都会を離れ、自給自足生活をすることにした。  畑を耕し、野菜を作り、鶏なんかも育てる。養蜂をはじめたっていい。  土地の候補を探し、仕事の合間に足を運び、住まいを決めた。  農協に人を紹介してもらい、働きながら学ぶ。  3年経った頃には、それなりに暮らしぶりが様になってきた。  二つの道の駅と契約したし、レストランからの取引の話もある。ご近所付き合いも良好だ。  だが畑は一人では管理ができなくなってきた。  人を入れた。  事務も一人雇った。  それでも日常の

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        記事

          なんとなく公開中の記事数(呟き含む)を見てみたら99記事とありました。 え? と思って一個一個手で数えたら本当でした。 これ100記事目です。

          なんとなく公開中の記事数(呟き含む)を見てみたら99記事とありました。 え? と思って一個一個手で数えたら本当でした。 これ100記事目です。

          大福

           みかんの店の商品が怪盗に狙われているらしい。  なんでも彼女が、自分で作った大福に一億円の値をつけた翌日、予告状がポストに入っていたのだそうだ。 「自分の店の物にいくら値を付けようが知ったこっちゃないが、生もの売るのって、食品衛生管理みたいな免許いるんじゃなかったっけ?」 「調べてくれ」  一億円の大福をもりもり食べながら彼女は言う。 「食べていいのかよ」 「作るからいい」 「売れるの?」 「3万に値切られたから断った」  いや売れよ。 「そんなことより

          創作教室

           創作教室へ行った。  プロを何人も輩出しているらしい。  半年間、隔週土日のスクーリング制だ。教室に入ると、すでに半分近く席が埋まっている。  学校の制服を着た若い人からお年寄りまで、様々な人がいる。  私が適当な席についても、パラパラと人が絶えずにやってきて、5分もしたら部屋はいっぱいになった。  時間になる。正面上のスピーカーから、チャイムが鳴った。  学校みたいだ。  やってきた講師の人は、スリーピースのスーツに、色の薄いサングラスをかけた中年の男だ。  ネッ

          創作教室

          ポエム 長風呂

          お風呂に入った。 汗をかいた。 長湯だった。 もう 髪を乾かしてる時から、頭の中はビールのことでいっぱいだったんだ。 冷蔵にある二本の缶ビール。 一本飲んで飲み干した。 でも翌朝、冷蔵庫を開けると、ビールが一本なくなっていたんだ。 確かに昨日は二本あった。 風呂からあがって一本飲んだ。 でも朝冷蔵庫を開けると、一本だけになっていたんだ。 年末、家の二本のビールはそこで過ごした。 冷蔵庫を開けると、いつでもその二本が出迎えてくれた。 頭一つ高い場所で、微

          ポエム 長風呂

          ねこ、障子

           生まれようとしたとき、声が聞こえた。 「火? 雷? 水?」  優しく語り掛けるような女性の声だ。  私にはそれが、力を与えてくれることを意味するものだと分かった。  火は祓う力。雷は裁く力。水は打ち消す力。  選べ、ということらしい。 「猫が開けた障子の穴を即座に戻す力が欲しいです」  それでさんざん苦労したのだ。結局うちの障子は穴だらけだった。穴だらけの障子を残し、私は死んだ。  風呂後の髪を即座に乾かす力、ずっと座っていてもお尻や腰が痛くならない力、という手

          ねこ、障子

          ようやく暑さも遠のき早10月ですね。また書き始めようかと思っております。気合いがみなぎっております。うおおおおおおお(今日は書きません)おおおおお!!!

          ようやく暑さも遠のき早10月ですね。また書き始めようかと思っております。気合いがみなぎっております。うおおおおおおお(今日は書きません)おおおおお!!!

          9月。ここまで一瞬でした。 クスクス(料理)。日本語だと嘲笑しているような響きもあるので、我が家ではガァーハッハッハッハに変更されます。

          9月。ここまで一瞬でした。 クスクス(料理)。日本語だと嘲笑しているような響きもあるので、我が家ではガァーハッハッハッハに変更されます。

          疲れすぎて起き上がれない。ご飯だってお風呂だってまだなのに。  そんなとき、床に向かってかめはめ波を撃つといいですよ!天下一武道会の悟空みたいに起き上がれます!

          疲れすぎて起き上がれない。ご飯だってお風呂だってまだなのに。  そんなとき、床に向かってかめはめ波を撃つといいですよ!天下一武道会の悟空みたいに起き上がれます!

          大小

           あかねさんは焦るほどに小さくなる。  この前なんて、発送先を間違えたとかで受話器が取れないほどになっていた。  不思議なことに、小さくなるときは服も一緒だ。  正直助かっている。  彼女は地元の水産会社に勤めている。本業は事務だがたまに市場に駆り出される。  これでなかなかフォークリフトの運転がうまいのだ。  ヘルメットなんてしてくるものだから、そんなものをしない男たちの中で、彼女の存在は目立っている。  見慣れている僕なんかでも一所懸命でかわいく見える。  でも操作

          マヒャド

           マヒャドが使えるようになった。  小学校の先生をしている。  生徒には言えない。  基礎が大事だと常日頃から言っている私が、ヒャドもヒャダルコもヒャダインも飛び越えて、いきなりマヒャドを使えるだなんて、教育上よくない。  微分積分を教えてくれなんて言い出されかねない。  かといって、私が他の氷系の呪文をおさめればいいなんて話でもない。  だって私はいきなりマヒャドが使えるのだ。  これは私が私の教えを裏切っていることにならないか。  教師生命の危機だ。 「で

          マヒャド

          じゅよう

           需要を作ると言って、みかんは店を借りた。  そこで需要と書いた紙を売った。  売れない。  店の掃除をした。  客が来る。  需要しかない。  みかんは客の持ち物を買った。  エルメス(?)が一万円で買えたらしい。  それを需要と一緒に売った。  噂にはなった。  たまに物を売りに客が来る。  10人くらい。  ふとすると来なくなる。でもまた次の常連さんが補充される。  10日目にして初めて需要が売れた。  1000円。  次の日、需要が帰って

          じゅよう

          むげん

           無限について書かれた論文が面白い。  僕が読んで特に面白かったのは、「これ無限に食べれる」とか、「これなら無限にやってられる」みたいな無限についての研究だ。  研究者はその無限を取り出すことに成功した。  まさに厳密科学という感じである。  その無限の中に入って中を旅するのだ。  フィールドワーク。  研究者はときとして旅人になる。  だが意外なことに、彼らの無限はどれもアパート一部屋にも満たないせまさだったらしい。  結局彼は、人が言う無限とは部屋一畳分程度