中学の担任の言葉
中学3年生の時の担任は美術の教師だった。絵が得意だった僕とY君は放課後にその教師に木炭デッサンを教えてもらっていた。
当時、僕は音楽と文学に夢中だったが教師は僕に絵の才能があると見込んでいた。
しかし僕はあまり気が進まなかった。
当時流行っていたフォークソングに影響された僕の関心は世界の不平等や差別などの社会的問題だった。
だから僕はいつも不機嫌な様子で小難しいことを言って周囲と距離を置いていた。楽しみは深夜に布団を被って聞く深夜放送だった。聴いていたのはポップスとフォークソングだった。
その美術教師に言われた言葉を今でも覚えている。
「〇〇、人生をもっと楽しめ!」
絵の大会では何度か入賞したがそれほど夢中になれなかった。一緒に絵を習っていたY君は後に芸大へ進み、僕は工業高校の建築科からICUの哲学科に進んだ。
大学生になって初めてその教師の言っていたことが理解できた。
人生を考えることより、人生を楽しめという意味が。
いくら幸福について考えても幸せにはなれないってことが。
「書を捨てよ、街へ出よう、」の意味が。
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