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中学2年生で英語の落ちこぼれに

 僕が初めて英語に触れたのは小学6年生の頃だった。

 学校帰りに寄った友達の家で初めて聞いたビートルズだった。

 友人の中学生のお兄さんが大切にしているレコードを聞かせてくれたのだ。

 初めて聴いたのはギターのジャーンで始まる「ヘルプ」だった。

 まさに衝撃だった。スピーカーから飛び出す音に吹き飛ばされそうだった。

 その日から僕はビートルズが聴きたくて毎日のようにその友人の家に遊びに行った。

 何度か聴くうちにその歌詞を覚えるほど好きだったのが「ミッシェル」だった。

 もちろん小学6年生の僕には英語は読めないし、意味も分からなかった。

 ランドセルを背負った小学6年生の僕は、耳で覚えた「ミッシェル」を学校の行き帰りに口ずさんでいた。

 中学生になり、英語を教えてもらえるとワクワクしていた僕は授業のつまらなさに幻滅した。

 辞書を買ってもらってビートルズの歌詞を自分で翻訳したいと思い始めた。

 辞書を引き引き訳していると、歌詞カードの翻訳が間違っている事に気がついた。

 英語の教師に歌詞カードの翻訳が間違っているのでは無いかと質問すると、

 「それはね、意訳と言って、語句の一語一語に拘らず、歌詞全体の意味に重点を置いて日本語に訳しているのよ。直訳ではないの。」

 こうして僕は意訳というものを知った。

 相変わらず学校の英語の授業は退屈でつまらなかった。文法ばかりをやっているからだった。

 中学2年生に上がる頃には英語は落ちこぼれてしまい、すっかり英語嫌いになってしまった。

 ロックが大好きなのに英語が嫌いというジレンマから抜け出すために僕は学校の目の前にあった個人塾の門を叩いたのだった。中学2年生になったばかりの春だった。


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