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海辺の町、葉山で見つけた心地いい朝|TRAVEL LIGHT #10

早起きができない

昔から憧れ続けていることがある。それは“早起き“。早朝に起きて、ヨガをしてすっきり目覚めたら、読書や執筆、ベランダの植物に水をやり、ゆっくり朝食をとる。

そんな妄想をして、はや十数年。母に布団を引き剥がされていた子ども時代から変わらず、しつこく寝て、最低限の身支度でトボトボ会社に行く毎日。本当にそれでいいのか。

連休のはじまり。覚悟を決めて、アラームを設定すると眠りにつく。目を閉じて、思った。朝起きたら、好きな場所に行こう。ああ早起きしてよかったと思えるような(脳に染み込ませたい)、小さな旅を……。

日常にある透き通った海

何度目かのアラームでようやく起き上がって、向かった先は葉山町。鎌倉や逗子の少し先の、穏やかな空気が流れる場所。賑わう真夏ではなく、冬の静かな海を見に、ふらっと行ったことがある。

透明度の高さに驚く

一色や森戸海岸のビーチもいいけど、漁港のある真名瀬海岸に来るとほっとする。海水浴より磯っぽい海が好きなのかも。こういう光景は遠い旅先にしかないと思っていた私にとって、大切な場所だ。

SUPでクルージング

朝の海は、まだほとんど誰もいなくて、砂浜に座って見ているだけでも心地いい。でも、朝活をすることに決めた私は、今日、この海に漕ぎ出すのだ。

いざ、出発

この長い棒、SUPのパドルです。“Stand Up Paddleboard“、日本語だと立ち漕ぎボートかな。これも以前に趣味にしようとして、ほぼやっていなかったこと。

水面を進んでいく。早起きできたうれしさも相まって、いい気分。揺らぐ海藻も気持ちよさそう。おはよう海藻。小魚の群れがすぐ下を通り過ぎる。おはよう魚。

海底までしっかり見える

SUPや釣りで3人くらいいるだけで、ほかは誰もいないまっさらな海。初心者でも気にせず練習できる。そろそろ、立ち上がるか。

写真撮ってる場合じゃないかも(落ちる)

一気に見える世界が変わった。海底までの数メートル分、背が高くなったみたいな視界。そして、空の青さ。高いというか、もはや浮かんでいるみたい。

すごい浮遊感

富士山めがけて、まっすぐ進んでいく。もっと沖まで出ることもできるのだろうけど、湾内でぐるぐる。十分に楽しい。振り返ると、町と山が見えて安心。

けっこう遠くまで来た

今度は、山のふもとに向かって漕いでいく。一時間ほどのクルージングを終えて陸へ戻る。時刻はまだ朝。いつもならようやく起き上がる頃だ。次はモーニングでも食べに行こう。

ちょうどいい朝ごはん

マップで朝営業しているお店を探して見つけたのがこちらの“mikan屋“。

細い路地にある古民家
店内もいい雰囲気

モーニングは、トーストプレートとおにぎりセットの2種類。パンにのせる具材やジャムを選べたり、おにぎりも複数から2つ選べるのがうれしい。

ふだんは朝はパン派だけど、今の気分でおにぎりセットを注文。まずはコーヒーをゆっくりいただく。レトロな木製のラジオから流れる音を聞きながら。

そして、今日の朝食がやってきた。まずは味噌汁を一口。ほっとする味。

サケとこんぶ(とろろと塩のダブルこんぶ)

ふんわり優しく握られたおにぎりたち。口に入れるとほろほろと広がっていく幸せ。

しば漬けも好き

おにぎりって、実家を出てからあんまり食べてないなと、ふと思う。自分だとお茶碗でそのまま食べてしまうし、会社のお昼もパンばっかりだ。

母のおにぎりは、形はそんなに整ってなくて、でも鮭と大葉とか、梅カツオとか、一手間かかっていた。白飯だけで食べるのが苦手だった私が好きな具材がいっぱい入っていた。

いろいろ懐かしくなりながら、おいしいおにぎりをほおばる。

自分の家だったら、ここでずっと過ごしてそう

心の向くまま歩いてみたら

お店を出て散歩。海沿いにはリゾートっぽいカフェやレストランがあったりするけど、ここは葉山の住宅地。生活の場という感じで、とても落ち着いた雰囲気。

また気になる古民家があったのでちょっとだけ立ち寄り。

さりげないのがおしゃれ

中はいい感じのカフェ。ほかにも、すてきな日用品やアンティーク家具なども売られていた。

外の芝生が気持ちよさそう

なんとお花屋さんも。ここでお花を買って帰ったら、完璧な日になりそうだけど、花瓶も持ってないしなあ(うじうじ)と拝見するのみ。

花を買う人になりたいな
またゆっくり来ます

今日の旅のお土産をどこかで手に入れたいと思いつつ、何も買えずじまい。歩いていると、気になる看板を発見。

さりげなく置いてあった

導かれるまま歩いていき、なんと葉山でとれた“ひじき“を手に入れた。海で気持ちよさそうに揺らいでいた海藻たちの姿が浮かぶ。伊勢海老もサザエもいる、豊かな海なんだなあ。

太くて美味しそうなひじきがたっぷり入ったビニール袋。ローカル感あふれる旅が好きな自分にぴったりなお土産に行き着いたことが、なんだかおかしい。さあ帰ろう。まだ午前中だ、家でひじき料理でも作ってみよう。

早起きすればいいことがある

高台から見た景色

やりたいことがあれば、行きたいところがあれば、早く起きられる。ただ早起きしなきゃ駄目だと思うだけだから、できなかったのかもしれない。

朝の静かな海。自ら漕ぎ出していくときの晴れやかな気分。

この心地いい時間のことを日々思い出しながら、明日からもいい朝を過ごそう。そう心に決めた。


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