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読書記録15『街並みの美学』芦原義信-学術書のよみ方-

こんにちは、だるまです。

都市関連の本1冊目!

ようやく都市の本1冊目読了しました。これは、学術書なのか?
違うかもしれませんが勉強のために読んだので、まとめたいと思います。

今回読んだ本は『街並みの美学』芦原義信(1979)

日本の都市を学ぶ入門書といえます。

日本と西欧を比較して、日本の街並み、西欧の街並みそれぞれの特質に肉薄した本。イタリアやイスファハン、ル・コルビュジエの計画都市など様々な街並みを分析。

といった内容です。

学術書をよむ

本書は、学術的な関心から「街並み・景観」について引用元やエビデンス、筆者の意見をまとめた本なので、学術書と呼べそうです。

学術書は総じて「難しそう」「読み切れない」という印象がありますが、流動食のような本がたくさんある中で、噛み応えのある本を読み切るのは良い経験となります。

実際、だるまもこの本を読み終わるのに1か月かかりました。その間に様々な本が追い抜いていきました。

流動食のような本が悪いというわけではないですが、読書好きを宣言する上で難解な本で「筋トレ」する必要はありますし、自分の勉強に必要だと思っています。

難しくてもあきらめず、一旦塩漬けにしながら読み砕いていくのがよさそうです。

1979年から変わらない街並み

さて、内容に入ります。

本書は1979年に発刊され、当時の日本の街並みについて西欧と比較しながら述べています。

例えば、日本と西欧の「うち」と「そと」の概念の違い。
日本の「うち」は家の内部で、玄関で靴を脱ぐのは「うち」の意識の表れだとしています。「そと」はそれ以外で街並みに関しては無関心なことが多いそうです。
一方、西欧の「うち」は街の城壁の内部で、街全体に内部概念が広がっています。そのため、広場や路地も「うち」であるため意識が向く。

また、街並みの構成に関する違いがに現れています。
日本の庭は、内的秩序に含まれブロック塀の向こう側に囲まれています。
反対に西欧は、庭と街の境界がなく、庭は外的秩序として開かれているそうです。

最も興味深かったのは「第一次輪郭線」と「第二次輪郭線」の定義です。「第次輪郭線」とは、建物そのものの輪郭線のことです。
「第次輪郭線」とは、建物についている袖看板や、道路に出ている看板や室外機など建物以外の飛び出している輪郭線のことです。

日本は西欧に比べ、圧倒的に「第次輪郭線」が多く、それが街並みのバラバラ感につながっていると言います。確かに、写真を見比べると違いが分かります。(日本とイタリア、どちらもフリー素材)

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他にも面白い指摘が

あるのですが、内容が濃いため本編に譲ります。コルビュジエに関する考察は、「人間的でない」と批判したうえで「偉大な建築家」と称賛しており興味深かったです。
チャンディガール、行ってみたいですね。

また、1979年にして広告掲載の法改正や無電柱化を推奨しており、指摘の先駆性と現在も変わっていない現実に驚きました。

おわりに

今回は、『街並みの美学』についてまとめました。

日本の街並みはそろっていない、つまらないと言われることが多いです。

果たして、バラバラが個性なのか、西欧のようにそろえる必要があるのか。そもそもどちらを目指すのか決定のないまま、無秩序に都市開発が進んでいる印象があります。

今から西欧のような街並みになる必要はないと思いますが、なあなあに進んむことはよろしくないのではないかとだるまは考えています。

景観について、これから研究してみても面白そうです。

かしこ

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