『画像生成AI「Adobe Firefly」の新機能「カスタムモデル」を、いかに「コーチ」のバッグのデザインに活かしているか』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.4.6
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■COACHがバッグのデザイン過程で生成AI活用、「らしさ」をどう表現するか
「コーチ」「ケイト・スペード ニューヨーク」「スチュアート・ワイツマン」といった有名ファッションブランドが生成AIを活用というだけで時代を感じさせます。
アイディア出しはAI、仕上げは人間、という方法で活用されており、最終デザインを生成AIで作っているわけではありません。しかし今回明かされた「Adobe Firefly」の新機能「カスタムモデル」は、従来の生成AIでは難しかった「そのブランドらしさ」を扱えるようになっているようです。
「コーチらしさ」を生成AIで出力できるように
Fireflyに限らず他の画像生成AIでもそうですが、「ふわふわのハンドバッグ」はランダムガチャでそれっぽく生成できます。
しかし「ふわふわのハンドバッグ」をたくさん出力しても「コーチ」のハンドバッグが出るのは非常に低確率の偶然でしかありません。
生成AIに「コーチ」らしさを学習させることができるようになったというのがAdobe Fireflyの新機能「カスタムモデル」です。
「らしさ」をルイヴィトンの例で
失礼ながら「コーチ」らしさというのはちょっと伝わりにくいので「ルイヴィトン」を例に取ります。
「モノグラム」と呼ばれる、誰もが知っている柄。濃いブラウンと薄いベージュのコンビネーションカラー。ゴールドのファスナー。
など、「ルイヴィトン」といえば、のデザイン要素で満ち溢れています。これらが含まれているから「ルイヴィトンのハンドバッグ」に見えるわけです。
こういう要素をプロンプト(言葉)にして画像生成AIに命令しても、「モノグラム」の部分で正確には出力されないのが現在の画像生成AIの限界です。
限界だけでなく制限もあります。
これは正しい制限であるとは思いますが、公式に社内利用する際にもこの制約がかかるわけで、本格的なデザイン業務のシーンで生成AIを導入する妨げになっていました。
Adobe Fireflyの「カスタムモデル」では公式であればこの制約を突破できるようにしました。ブランドの「らしさ」そのものを学習させることで、本格的に生成AIを業務活用できるようになるわけです。
「らしさ」をデザイナーが理解していることが大事
しかし結局のところ、デザイナーやブランド自身が「らしさ」を言語化できること、製品デザインに「らしさ」を体現し続けてブレていないことが根本的には重要です。
「らしさ」に共通性がない製品デザインばかりアウトプットしていたり、社内でも「らしさ」の共通認識がないブランドでは、いくらAIにデザインを学習させても「らしさ」を体現したデザインは出力されないでしょう。
例えば、かつての日本車のデザインは、「トヨタらしさ」「日産らしさ」が言語化しづらいものでした。しかし最近はどのメーカーも「らしさ」の共通性が強く持たされています。
分かりやすいところではレクサスやマツダが、誰が見てもわかるデザインの共通性を持っています。車に詳しくない人だと見分けがつかないレベルです。
プロのデザインシーンで生成AIが使われる兆し
この共通性を学習させることは、これまでの生成AIではフェイク動画対策もあって不可能でした。これがAdobe Fireflyの「カスタムモデル」でできるようになったわけです。
ずっとプロの世界で使われてきたAdobeらしいアプローチとも言え、これからプロのデザイン業務に生成AIが本格的に導入される兆しであると感じます。
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