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読了メモだよ~読書たのしい~

 愛の国 中山可穂
ネタバレ注意だよ⚠️

まず読み終わってすぐ他の人の感想を見に行った。やっぱり一定数実際ありえない、現実的でない、内容詰め込み過ぎでないか?とう言う人もいた。まあ気持ちはわからなくもない。私は小説に現実的であることを求めないし、寧ろ非現実的な方が良いくらいに思っているので今回もそのような面で特に気になるところはなかったし、小説は詰め込み過ぎくらいがちょうどいいのだ。要するに中山可穂の圧倒的文章力に魅せられて細かいことは気にならないということ。

私はこの小説で1度泣きそうになり、2度泣いた。

1度目はミチルと春遠ひかりが暗闇の懲罰房で歌うするシーン。ミチルが目を覚ますと隣の懲罰房で激しく泣いてるようすのひかり。そんな時にミチルが歌い出したの「夏は来ぬ」という唱歌で、泣いていたひかりも3番から唱和する。身体も心もぼろぼろで、死と絶望のどん底みたいな闇の独房に壁を隔てて過ごす2人が、この空間とは全く反対と言える明るくて広大で無垢な自然をうたうのが、なんだか苦しくて眩しくて辛くて泣いてしまった。

2度目というのは、本当に最後の最後。静流尼が息を引き取ってから次いでミチルが息を息を引き取る場面。穏やかで安らかで暖かな周りの景色と壮絶でいつも死にきれなかったミチルと対になって、いよいよ終わりを連想させて、あなたはこうやって逝くんだなと。どこから湧き出る感情か誰に向かう感情かわからないけれど、なんだか有難くて、言葉を紡ぎきれないこの感情が不思議で不思議で疲労と達成感と労いの気持ちからか思わず涙が出た。

そして泣きそうになって泣かなかったシーンというのは、千秋楽でマチネのカーテンコールが終了して、幕の降りた舞台で。極度の緊張で一瞬気を失った久美子、2人きりにして久美子を横たわらせて膝枕するミチル、「ミチルさん..舞台が終わったら、どこかへ行っちゃうの?」「ミチルさんと芝居ができて、本当に幸せだった。ありがとうミチルさん」と久美子、ついには号泣するミチル、袖で貰い泣きをする仲間たち、緞帳の向こうの熱狂、2人だけの空間が流れる。幕の下がった舞台の上なはずなのに、客席のざわめきも、客出しの音楽もやがて無音になって、2人だけがそこにいてスポットライトを浴びているみたいに。これが本番の舞台なのではないか?と錯覚し、時空間が静止するというのはこの事を言うのではないかと思ってしまうほど。決して写真には収められない永遠の瞬間がここにある。

(ここから文章纏められなくてメモみたいになりました)

王寺ミチルの語録(特に印象深かった所)
「そんな下品な質問に答える義務はない」

「一体どんな生き方をすれば人はこれほどまでに醜い顔になれるのだろうか」

「そんなのは希望じゃない。希望のふりをしたただの絶望だよ」

「憎しみをぶつけられているはずなのに、励ませれているようにしか聞こえなかった。死ねと言いいながら生きろと言われているようだった」

お遍路に行く前庵主さんとミチルの会話で、ミチルが''同志''という言葉について「いい言葉ですね」と言うシーンがあった上で、3章終わりに差し掛かるとき、庵主さんの「この方はいいのです。我々の''同志''、王寺ミチルさんです」の一言。このような伏線的な場面も所々あった気がする。

ミチルと久美子の関係を掘り下げたい気もしたけれど、私ごときが純愛だの狂愛だの2人のことを語るにはあまりにおこがましい気がしたので、黙っておく。

この小説の概要 ファシズム政権下で同性愛が禁じられているどうこう書いてあったりしたので、これで読書感想文書こう!、人権作文の参考になるのでは!と思いながら読み始めた。しかし、読了した今とても書けそうにない。参考にならない訳じゃない、参考になるけれど、これはそのような課題作文向けではない気はする(私的には)(私の気持ち的に)

こんなに中山可穂にハマるとは思っていませんでした。私が最初に出会った彼女の作品は「白い薔薇の淵まで」だったんだけど、読んだきっかけがある日、百合小説読みたいかも〜と思ってTwitterで検索してたら、おすすめしてる人がいたっていう、それだけで….まさかこんなに刺激的だとはい思っていなかったけれど。
私は小説を読むことが元々好きだったけれど、常々思っていたのが、どうして多くの小説に必ずと言っていいほど性的描写やそのような言葉が書かれているのだろうというところ。単純に今その話入れる必要ある?って感じてしまうことが多々あった。私が幼稚だからそう感じるのかもしれないけれど。
でも中山可穂の小説って性描写多いんじゃない?って思う人いると思う。それは間違ってないです。なのに嫌悪感なく読むことができてきた。なんでだろう?不思議だと思う。理由はわからないけど。今はただ彼女の言葉、文章が好きで好みにハマってるだろうと解釈してる。そうだなあ結局何が言いたいのか言うと色んな小説があるけれど、自分の好みに合っている特別な作家、作品に出会えて良かったよということです。そしてプロフェッショナルを尊敬しています。(参考文献の量を見て驚く日々)
これこの本読んでない人向けにかけてないし、全然ダメダメだ〜今の私のレベルじゃ到底書けないので申し訳ない。反省所ですね。(書きたいことは沢山あったのに)
次はもう少し上手く書けるといいな〜
という訳で読書たのしいね〜の話でした。

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