残照小説 2024/05/11捕獲
仮題:瓦礫の下から

 瓦礫の下から覗く左腕には、見覚えがあった。
 あの腕時計は。あの服の色は。あれは。
「なんで、あんたが」
 左腕は、ぴくりともしない。
「なんで」
 問いを投げかけても、返答はない。

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