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百字小説

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100文字の小説 ※タイトルとハッシュタグは除き、本文だけで100文字 ※文字数カウントはnote執筆画面の表示を参照しています
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記事一覧

【奇形の定義】  2XXX年。核戦争後の世界で、奇形児が多く産まれるようになった。腕が3本もある子供達。  3XXX年。地球環境浄化活動が順調に進む中、何故か奇形児が多く産まれるように。腕がたった2本しかない子供達。 #百字小説

【猫吸い失敗】  普通に猫を吸ったつもりが、勢いよく吸い込みすぎたのか、猫がするりと私の口へ入り喉を流れ、そうして私は猫を飲み込んでしまった。今、猫は私のお腹でゴロゴロ言っている。体内は狭くて落ち着くのかもしれない。 #百字小説

【交通事故の防止策】  ボールを追いかけ道路に飛び出した子供が車にひかれ亡くなる、そんな悲しい事故が起きた。  再発防止策が検討され、結果、様々な物が規制された。  具体的には、ボール遊び、車の運転、そして子供の存在自体。 #百字小説

【老母の失くし物】  年老いた母が財布を失くし、探すと冷蔵庫の中にあった。常用している薬や、愛用の編み棒、家に来た郵便物も失くし探すと冷蔵庫に。今日も何か失くした様子の母に声をかけると、孫、つまり俺の子の姿を見失ったと。 #百字小説

【投票箱の中】  選挙の日一番に投票所へ行き投票箱の中を見ると、紙が一枚入っていた。紙には「祝当選」の文字。 「おめでとう貴方は人類代表に選ばれました」  選挙スタッフの拍手。投票所の建物の外に、UFOが降りてくる。 #百字小説

【お隣さんは安全な熊】  隣の家の熊谷さんは本物の熊です。でも安全な良い熊だから、差別せず仲良くしようね、と皆が言います。  隣に回覧板を届けに行った母も、転がってったボールを取りに行った弟も、帰ってこないけど、それでも皆、 #百字小説

【まな板の鯉】  まな板の鯉、という言葉があるが俺の買ってきた鯉はまるで死に抗うようにまな板でビッチビッチ跳ね続けている。なんか怖くなって寝室に逃げ、一晩放置した。まだ跳ねている。一週間放置。一ヶ月。まだ跳ねている。 #百字小説

【宇宙探査の旅の果てに】  長く苦しい宇宙探査の旅。様々なトラブルに悩まされながらも、ついに我々は宇宙人と出会った。友好的な彼らとは、きっと友達になれるだろう。  ところで我々は現在食糧難に悩んでおり、彼らはタコ型であり……。 #百字小説

【外人さん】  最近、外人さんをよく見るね。観光旅行らしいけど、こんな何もない田舎を観光して楽しいのかしら。 「トテモ面白イデス、青イ海モ空モ。地球楽シイ」  随分普通のもんを面白がるんだね、外の星から来た人って。 #百字小説

【整理整頓の得意な助手】  私は探偵。彼は助手、事務所の掃除や整理整頓が得意な働き者。  で、これは本棚。バラバラな順番で並んだ本が実はダイイングメッセージを表していた、筈だったが何者かが本の並びを整理整頓し直しちゃった本棚。 #百字小説

【生む機械】  天才博士の発明品、その名も“生む機械~うみの苦しみ~”(博士命名)。海水を注ぐだけでどんな物質も生み出せる優れもの。しかし世間に発表すると「名称が女性差別だ」と大炎上、機械が世に広まる事はなかった。 #百字小説

【幸せになる草】 「幸せになる草の種だよ」  と聞いて買った品。警察に見つからぬようひっそり育てると、それは見事なトウガラシだった。合法だった。食べた。辛い。  しかしこの模様は何だろう。トウガラシの表面、横棒が一本。 #百字小説

【乾燥機】  新しい乾燥機を購入し、いざ使ってみると全っ然服が乾かない。使い方が間違っているのか、不良品なのか。メーカーに電話するかとスマホを取り出すと、画面に表示されたネットニュース。  全世界が急激に乾燥化? #百字小説

【女生徒の霊】  生徒達が噂する。夜の理科室に、数年前行方不明になった女生徒の霊が出るという。  馬鹿らしい。デマだ。  だって、理科室に出る意味が分からない。  彼女が死んだのは体育倉庫だし、埋めたのは裏山なのに。 #百字小説