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路上日記 その㉒ ワンカップじいさん ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その㉒ ワンカップじいさん

3人組で路上ライブをしていた時に現れてしまったのが、ワンカップじいさんだ。

白いビニール袋に、ワンカップを入れ、ちびちびと呑みながら、ねちねちと絡んでくる。
歳は70歳くらいだろうか、頭髪はすでになく、腰が曲がっているせいもあってか背は低く見える。

量産型・元フォークシンガーのワンランク上の輩と言ってもいいだろう。
絡んでくるのが目的なので取り付く島もないわけだ。

そのうち、じいさんのライフライン・命の水でもある(ような気がする)お酒をギターケースにかけてくるというしょうもないこと(じいさんにとっては自殺行為?)をしてきた。
やれやれと思い、仲間の一人に最寄りの交番に相談しにいってもらった。
戻ってくると、一緒にやってきた警察官が、「また呑んでんの?」とじいさんへ言葉をかけた。
..つまり、常習犯というわけだ。酒を呑んでは目についた人に絡んでいる、とそういうわけだ。

ワンカップじいさんは交番へ連れていかれ、僕達も「もう帰れ」と言われたので仕方なく片付けをして、その場を後にした。

そして、誰もいなくなった路上には、微かに酒の残り香だけが漂っていた。

~学びあえば素晴らしいのに 力、肩書き、酒に酔うと人は悪ノリ~
(hiro’「レレレ」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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