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路上日記 その⑮ Mr.チョーカス ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その⑮ Mr.チョーカス

リリカルマダラーというオリジナルラップの中でも出てくるのがこの男、Mr.チョーカスである。
元々、路上のお客さんで、その後、別の場所でも会って、それなりに仲良くなった。

ある夜、いつものように地元駅で歌っていると、僕の知り合いの女性のお客さんがきて、その後、Mr.チョーカスが来た。
終電もなくなった頃、ライブを終え荷物を片付けていると、Mr.チョーカスの挙動不審さが目についた。
何か落ち着かない雰囲気というか、そういう空気を感じた。

片付けも終わり、真夜中だったので僕が「(女性を)送ってから帰る」というと、「俺もいく」と言ってついてくる。
家の付近までついて、またまたMr.チョーカスの挙動が不審だった。帰ろうとしないのである。
これで僕がいち早く帰って、Mr.チョーカスが何かしでかしたら、ある意味僕の責任だ。
だから、Mr.チョーカスに話しかけ、「帰るわ」となったところで僕も帰った。

その後、信じがたい話を聞いた。
Mr.チョーカスが一人で、バイト先から売れ残りのドーナツを持って、その女性の家に押しかけていたのである(一応、言っておくと、前述した路上でその二人はさほど仲良くなっていない)。
まさに、Mr.チョーカスッ!
そして、その時、家に入れてしまった女性も問題だが、その後、Mr.チョーカスがよく家におしかけてきて困っているというような事を言われたわけだ。
なんなんだ!と僕が憤ったのも当然だろう。

僕は二人とは同じくらいの仲の良さだし、Mr.チョーカスが「この前来てた娘、気に入ったんだけど..」とでも言ってくれれば、後日二人を引き合わせるくらいの事はする。
または、すでに路上で連絡先を交換するくらいまで仲良くなっているなら、その後の展開も致し方ない。

なのに、このMr.チョーカスは、僕の事をないがしろにし、犯罪スレスレの行動をしたのである。
まさに、下衆の極み!!

もし、ドーナツを持って玄関前に立つ男がいたら、それはMr.チョーカスかもしれない。

~持ってくるよ売れ残りミスタードーナツ それが口説き文句のMr.チョーカス~
(hiro’「リリカルマダラー」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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