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学校での人材育成って


「人材育成」について分解すると

本記事でベーステキストとしている,中原(2014)の定義は,人材育成について次のように述べられています.

組織が戦略を達成するため,あるいは,組織・事業を存続させるために持っていてほしい従業員のスキル,能力を獲得させることであり,そのための学習を促進すること

中原淳 著「研修開発入門」p.17

目的は2つ.
1つは「戦略を達成すること」2つは「組織・事業を存続させること」
そのための取組として,
「従業員のスキル,能力を獲得させる」ことが必要であり,
人材育成とは,
スキル,能力を獲得させるための学習を促進すること
と読み取ることができます.

「学校組織」に置き換えると

では,この定義を,学校組織として具体的に置き換えて読んでみましょう.
組 織:〇〇学校
戦 略:子供たちの資質・能力の育成,教育課程で目指す子供像の実現
事 業:教育課程における教育の諸計画
スキル:指導技術,生徒指導対応技術,マネジメントスキルなど
能 力:授業力,協調性,対応力など
例えばこのように置き換えたとします.

いかがでしょうか.具体的に人材育成の定義に沿って置き換えてみると,学校組織がもつ,事業の広域さや曖昧さが顕著になるのではないでしょうか.

無論この,広域さや曖昧さを,狭く明確なものにすることは,必ずしも正解にはりません.学校組織がそれだけ複雑で,様々な要因によって事業を進めているという認識に立つことが,人材育成のアイデアを考える上では重要だと考えます.

とはいえ,自校の実態に沿って書き出そうとすると,実は曖昧になっていた,という事実がみえてくるかもしれません.

例えば,学校の教育目標.よく体育館に立派な額にいれて飾られていますね.教育目標を,ソラで言えますか?なぜその教育目標であるか,考えたことはありますか?目標実現のために,どんな教育活動が行われているか,具体例を3つ以上いえますか?

事業設計をする上では,アウトプット(外に出ていく成果)と,アウトカム(自組織でつくられる成果)を明確にすることが大切です.何に向かって活動を組むのか,そしてその成果は,どんな指標でどのように評価するのか.
学校組織は,このような一つ一つの具体的な内容について,決まっているようで決まっていないことがあると想像します.
それは冒頭で述べた,広域さや曖昧さが関係しているかもしれません.

それならば,どんな人材育成が必要?

学校組織のもつ特性,それは決まっているようで決まっていない,文化のような,伝統のような,秘伝のタレのような,抽象的で崇高な理念のようなことが,職員集団にややばらばらに共有されている状態で活動が進んでいるという実態です.

例えば,「今日公開した授業って,教育目標とどのように結びつくの?」と問われても,なかなか即答できないという現状は,学習指導要領に則って指導することに長けていても,学校そのものの実態を掴みきれていない状態ともいえます.

では,どんな人材育成が必要か.
次回は,人材育成にはどんなシチュエーションが存在するのかを皮切りに,学校組織と結びつけて考えていこうと思います.

読んでいただきありがとうございました.

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