見出し画像

Wars of Religion 《ユグノー戦争》 ルール疑問点と明確化まとめ

先日公開した記事で、Fellowship of Simulations社「Wars of Religion, France 1562-1598」(邦題『ユグノー戦争』)の、主にルール日本語訳について問題点を以下で指摘しました。現在、この指摘を受けて、販売店で商品に添付しているルール日本語訳は改訂されたようです。

Wars of Religion 《ユグノー戦争》 ルールブック精察
https://note.com/moongamer/n/ncf7bbda294fa

その後、本作を3人でプレイする機会があり、キャンペーンシナリオを最後まで破綻なくプレイできました。以下のブログに、ゲームの紹介と簡単なプレイ感想(というか反省文)を書きました。

Wars of Religion (ユグノー戦争) / 武蔵小杉ゲーム会 (11/19)
http://moon.livedoor.biz/archives/warsofreligion.html

しかしながら、ルールの細部にはまだいくつかの疑問が残っており、プレイした後も完全に解決していません。また、ルールブックに記載されていないルールが数点あることも判明しています。

本記事は、これらの情報をまとめたものです。


■ルール疑問点まとめ

ここでは、ルールの不明点、疑問点と、筆者が実際にプレイした際にどのようにしたかについてまとめました。ただしこれらは、筆者の理解不足や勘違いが含まれていたり、すでに解決済みであったりするかもしれません。どうかご注意ください。

A.軍隊移動順の「ランク降順」の解釈

戦闘ラウンドの移動順で、同ランクの軍事リーダーは「降順」となるのか?
例1: Bランクの軍事リーダーが率いる軍隊の移動・戦闘後に、同手番で別のBランク軍事リーダー率いる軍隊を移動・戦闘させることは可能か?
例2: 活性化した州に、別々のBランク軍事リーダーが率いる軍隊2つを移動させることは可能か?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、上記いずれも可能とした。

B.軍事リーダー割り当てルールの厳密な適用

ラウンド(手番)開始のたびに割り当てルールにしたがって軍事リーダーの変更しなければならないが、それは以下のようにラウンド(手番)の途中でも厳密に適用しなければならないか?
A. 戦闘で軍事リーダーが退場した軍隊への新規軍事リーダー割り得て
B. 軍隊を分割した際に、残った軍隊への新規軍事リーダー割り当て
補足: 筆者が実際にプレイした時は、厳密に適用するのは各ラウンド(手番)開始時のみとして、ラウンド(手番)中は自由とした。

C.軍事リーダー割り当て変更のタイミング

各勢力は「ラウンドの開始時」に、ルールにしたがってリーダーの割り当てを変更しなければならない(15.5)。原文ルールの記述は以下の通りである(太字は筆者)。

Each side must change the assignment of Leaders at the start of its respective rounds to ensure that all of the above criteria are met.

この「ラウンド開始時」には、自分のラウンド(手番)開始時だけではなく、相手ラウンド(手番)開始時も含まれるのだろうか?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、自分のラウンド(手番)開始時にのみ変更するようにした。が、相手のラウンド(手番)開始時にも行った方が良かったかもしれない。

D.支援リーダー単独で残された場合

戦争ラウンドで軍事リーダーが退場した際、その軍隊に支援リーダーだけが残った場合はどのように扱うのか?(そのまま軍隊へ割り当ててしまうと、軍事リーダー割り当てルールに反してしまうことがある)。
補足: 筆者が実際にプレイした時にこの状況は発生しなかったが、もし発生したのであれば、単独で残された支援リーダーはリーダー・プールへ戻し、その上で改めてリーダー・プールから1人を割り当てる(15.5)つもりだった。

E.戦闘ラウンドで「パス」後に再活動可能か

戦争ラウンドで一方の陣営が何もせずラウンド(手番)を終了(パス)した後に相手陣営のラウンド(手番)が行われた場合、パスした陣営は同じ戦闘ラウンドで再び活動が可能か?
補足: 筆者が実際にプレイした時はこの状況は発生しなかったが、もし発生したら「出来ない」とするつもりだった。

F.「外交」で得た兵士点の扱い

宮廷アクション「外交」に成功して兵士点を得ると国外の領土に軍隊カウンターを置く(14.7『外交』)とあるが、兵士点の規定がない。
ということは、外交によって得た兵士点を「動員と配置」段階で別の軍隊に割り当てなおし、フランス国内へ配置しなおすことが可能なのか?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、これを不可とし、外交で得た兵士点(を所有する軍隊カウンター)は全て国外に置いた。

G.王党派の配置制限ルールが適用できないレアケース

(上記F.が不可能な場合)王党派が宮廷フェイズで国外の領土に兵士点を得たが、運悪く徴税レベルがゼロで、協力勢力のリーグも国外に兵士点を得られなかったとする。
すると、その後の「動員と配置」段階で王党派が動員できる兵力点はゼロとなる。
このような場合、「最大兵力の軍隊をParisに置かなければならない」ルールを無視してよいか?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、この状況は発生しなかった。確率的にも実戦的にも相当なレアケースではあるので、これを考慮せずとも支障はないと思われる。

H.フランス国外でのスタックルール例外について

「15.3 動員と配置」には「フランス王国外を除き、既に自陣営の軍隊が置かれている場所に、自分の軍隊を配置することはできません」とある。
ということは、宮廷アクションの「外交」で得た軍隊カウンターを国外の領土に配置する際、そこに自陣営の軍隊カウンターがすでにあったとしても、自分の勢力の軍隊カウンターを置けるのだろうか?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、これを「出来る」と解釈してそのように行った。ただし、そのようにするともしかしたら、その国外領土での迎撃や回避解決時や、一部戦争カードの効果適用時に問題が発生する可能性があったかもしれない(未検証)。

I.フランス国外の領土とは何か?

国外の領土を活性化してもよいか?
国外の領土で敵陣営軍隊の迎撃や野戦は可能か?
そもそも国外の領土は「州」なのか?
補足: 筆者が実際にプレイした時は、国外で戦闘(野戦)が発生しうるような状況が発生しなかった。もし発生したら「迎撃」も「州の活性化」も、フランス国内の州と同様に処理するつもりだった。

■ルール明確化まとめ

ここでは、ルールブックに記載されていないか不明瞭なルールについて、BoardGameGeekでデザイナーが言及して明確化した情報をまとめました。

  1. (日本語ルールでは追記済)ユグノーの人物カード「Huguenot Assembly(ユグノー会議)」は、宮廷フェイズのアクションにおいて、通常のリーダーと同様に、どの州でも奇襲攻撃アクションが可能です。
    論拠:以下でデザイナーが言及しています。
    https://boardgamegeek.com/thread/2914265/party-leader-and-surprise-attack

  2. (明確化)戦争フェイズの「軍事リーダーの配置」段階では、まず、自陣営で最も兵士点が高い軍隊に、自陣営のリーダー・プールで最も高いランクの軍事リーダー1人を割り当てます。
    まだ軍事リーダーを割り当ててない軍隊はあるなら、その中で最も兵士点が高い軍隊へ、リーダー・プールで最も高いランクの軍事リーダー1人を割り当てます。
    以下同様のことを、すべての軍隊へ軍事リーダーを割り当てるまでくり返します。
    論拠:以下で質問者とデザイナーが言及しています。
    https://boardgamegeek.com/thread/2895801/assigning-leaders

  3. (再掲/日本語ルールでは修正済)軍隊の移動後に支払うコストは、同意があるなら、敵陣営であっても支払えます(例えば、ユグノーが単独陣営の時、同意があれば王党派がユグノー軍隊のコストを支払うことが可能です)。
    論拠:以下でデザイナーが言及しています。
    https://boardgamegeek.com/thread/2883877/article/40272964#40272964

  4. (再掲/日本語ルールでは修正済)リーグ「Spanish Intervention(スペインの介入)」とユグノー「Willem of Nassau(ウィレム・ファン・ナッサウ)」のカードテキストにある「Flanders」とは、最北部のスペインエリア(北海に接するスペインエリア)です。
    論拠:以下でデザイナーが言及しています。
    https://boardgamegeek.com/thread/2966504/article/41125899#41125899

  5. (明確化)王党派と同盟しているプレイヤーの軍事リーダーが率いる軍隊が攻城戦で勝利した場合、その都市は王党派が支配します(15.7.7)。しかし戦争点は、率いた軍事リーダーを所有しているプレイヤーに与えられます。
    論拠:プレイブックのプレイ例にそのように記載があります。

  6. (再掲/日本語ルールには追記済)原文では「迎撃」「回避」のルールが不明瞭かつ不正確です。この件は長くなるので次の章にまとめました。

■迎撃と回避について詳細と明確化

不明瞭な「迎撃」と「回避」のルールについて、BoardGameGeekでデザイナーが明確化している一連の投稿記事が以下にあります。https://boardgamegeek.com/thread/2895794/interception-clarification
本項目は、上記の記事を原拠としてまとめました。


「迎撃」には2つのケースがあります。一つは「移動途中の迎撃」、二つ目は「移動後の迎撃」で、それぞれ解決手順が異なっています。以下、これらを個別にまとめます。


ケース1: 活動陣営の軍隊は、複数の州を経由して活性化した州へ移動する時、移動途中の州に非活動陣営の軍隊がいれば、それから迎撃を受けることがあります。

このケースの場合、非活動陣営の軍隊が迎撃を実施し、それに成功しない限り、戦闘(野戦)は起こりません。

また移動途中の活動陣営の軍隊は、自分から非活動陣営の軍隊に対して戦闘(野戦)を仕掛けることはできませんので、このケースで非活動陣営の軍隊が「回避」を行うことはありません。

移動途中の活動陣営の軍隊が迎撃を受け、その戦闘(野戦)に敗北すると、その軍隊の移動はその州で強制的に終了します。この軍隊は活性化した州へ移動できませんが、この場合でもコストは支払い、損耗の解決も行わなければなりません。


ケース2: 活動陣営の軍隊は、活性化した州へ移動した後で、そこに非活動陣営の軍隊がいれば、それから迎撃を受けることがあります。

活動陣営の軍隊が活性化した州に移動した後、その州に非活動陣営の軍隊がいたとしても「戦闘(野戦)」は任意です。

活動陣営プレイヤーは、同じ州に非活動陣営の軍隊があれば、それと戦闘(野戦)を望むか、あるいは望まないかを、非活動陣営プレイヤーに伝えます。

A. 活動陣営プレイヤーが、同じ州にいる非活動陣営の軍隊との戦闘(野戦)を望んだのであれば、非活動陣営プレイヤーは、

1. 戦闘(野戦)を行う
2. 「回避」を行う

のいずれかを選択します。

1.を選択したのであれば、そのまま戦闘(野戦)を解決します。

2.を選択し、「回避」の判定に成功すれば戦闘(野戦)は行われず、回避ルールに沿って処理します。「回避」に失敗したのであれば、戦闘(野戦)を解決します。

B. 活動陣営プレイヤーが、同じ州にいる非活動陣営の軍隊との戦闘(野戦)を望まない(すぐに攻城戦を行いたい)のであれば、非活動陣営プレイヤーは、

1.「迎撃」を行う
2. 何もしない

のいずれかを選択します。

1.を選択したのであれば、迎撃の判定を行います。迎撃が成功すれば戦闘(野戦)を解決しなければなりません。

2.を選択したか、迎撃に失敗したのであれば、戦闘(野戦)は行われません(通常は、この後に活動陣営の軍隊による攻城戦が行われるでしょう)。


なお「迎撃」は、その州に「入ってくる」活動陣営の軍隊に対してのみ行えます。その州から「出て行く」軍隊に対しては行えません。

以上です(了)。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?