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君に出逢うまでの物語 第1話 綺麗になりたい

良かった!

今日は少し痩せてる!

これで学校に行ける!

花音は体重計の数字を確認してニッコリした。

早く用意しないと間に合わないかも‥

慌てながらも、いつも通りのやり方で素早く顔を作っていく。

すっぴんで外に出かけるなんて無理だから‥

花音はちょっとコンビニへ行くにも完璧にメイクしなくてはならないのだ。

「花音!ご飯食べないの?」

母が呼んでいるけど今は無視だ。

返事する暇も惜しいのだ。

睫毛を少しでも長く見せる為に必死にマスカラを塗っているのだから!

「花音!起きてるの?」

母は少し苛立っているみたいで、声がワントーン低い‥

ヤバッ!

怒らせたら車で送ってくれないかも‥

「ごめん!今行くから」

何とかメイクを完了させてリビングに駆け込んだ。

朝から色々食べさせようとする母にお腹が痛いと訴えて食後の紅茶だけを飲んだ。

「花音?顔色悪いわよ?今日は休む。」

心配している母には悪いけど、せっかくメイクしたんだから今日は行くのだ。

「電車乗るのキツそうだから送って欲しいかも‥試験前だから休みたくないし!」

学校に頑張って行く娘を演じると母は、送ってあげるから頑張って行くのよ?と優しく花音の頭を撫でた。

そんな母に少しだけ罪悪感を覚えながらも歯を磨いてから口紅を塗り直して鏡に映る自分に満足している。

「花音?そろそろ行かないと間に合わないわよ?」

母が外から呼んでいるので慌てて靴を履いた。

今日は暑くなりそうだ。と強い日差しにうんざりしながら助手席に乗り込んだ。

車に乗ると眠気に誘われる花音だったが‥

母に起こされ寝ぼけながら学校の門をくぐった。

憂鬱な1日の始まりだ。

とりあえず速攻寝よう!

そう決めて教室へ入ると‥花音は熟睡した。

気づいたらお昼で、仲の良い亜美が起こしにきたので諦めて起きたけど‥

面倒だからまた寝てしまった。

花音の日常はいつもこんな感じに退屈なのだ。

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