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連載小説 林檎飴

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林檎飴

林檎飴

「りんご遅かったじゃないか?

もう、祭り終わっちゃったぞ」

「残業だったんだから仕方ないじゃない…

10時位までは、やってると思ってたんだけどなぁ。

8時半で店じまいなんだね…

てかさぁ、りんごって呼ぶのやめてよ!

凛子さんて呼びなさいよね。」

「7時には、来ないと間に合わないって、メッセージ回したはずだぞ?

見てなかっただろ?

仕方ないからこれ、お前にやるよ。

食べたら、共食

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林檎飴 裕介side2

林檎飴 裕介side2

休日だというのに、俺は朝から近所のカフェで営業の同期の男とモーニングをしている。

目の前にいる榎本大樹という男はさっきから俺の顔を見てやたらニヤニヤしているから、無性に苛立ってきたんだが…

「おい!大樹!

お前さっきから人の顔みてニヤニヤしやがって何か言いたい事でもあんの?

仏の裕さんと言われている俺だが、怒る時は怒るんだからな?」

「裕ちゃんったら、つれないのね。

せっかくいい情報教

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林檎飴 凛子side2

林檎飴 凛子side2

土曜の朝、凛子は比較的仲の良い同僚からの着信で起こされた。

着信音が何故か最大になっていたのだ。

あぁ゛、朝から誰?

寝起きは人格が変わる凛子。

弟の柊から言わせると寝起きの凛子は魔王らしい。

『もしもし…朝から誰?切るよ!!』

相手も見ずに出てブチ切れてるけど大丈夫でしょうか?

「凛子ちゃん、寝てたん?

今、自宅?

あっ…切らないで!!」

相手を確かめずに、スマホの電源を落と

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林檎飴 凛子side

林檎飴 凛子side

何か帰るの面倒になっちゃったなぁ。

飲みに行くにしても、お腹空いたし…

凛子は、駅に向かって歩きながら思案顔だ。

あっ…

健兄んとこ行こう!

凛子は、会社から徒歩圏内にひとり暮らしをしている兄のところへ遊びに行く事にしたようだ。

兄が帰っていなくても、合鍵を渡されているので問題ない!

凛子がよく泊まりに行くので凛子用の部屋もあるのだ。

そうと決まったらソーダとトニックウォーター。

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林檎飴 裕介side

林檎飴 裕介side

ふぅ~っ。

さっきは危なかった!

アイツが頼りなげな顔して、オレを見上げてくるからうっかり好きだって言いそうになってたよなぁ。

俺って流されやすいのかも?

林檎飴持ってたおかげでうっかり告るの防げて良かったわ…

てか…

アレを凛子が食べたら間接キスになるんだよなぁ…

わぁ…

考えただけで赤面してくるって!

ヤバい、ヤバい!!

アイツ…

制服着てると地味子だけど、私服だと可愛い

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