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女の子らしくと、言うけれど-自分らしくを考える-

「女の子の制服は、ズボンも選べます」
子どもの小学校を検討しているとき、10校ほどの学校から、パンフレットを取り寄せた。

そのときに出会ったこの言葉は、半分近くの学校のパンフレットに、目立つように記されていた。

もちろん、今は多様性の時代であるから、どの制服を身につけるかという選択肢は、多くあるべきだ。

自分という個性を大切にして、毎日の学生生活を送ってほしいと、多くの親は望んでいるだろう。
今の時代には、必ず持っているべき選択肢である。

ただわたしが気になってしまったのは、選択肢があるということを、売り文句かのように掲載していることであった。

なんだろう、この書き方ってなんだか、「女の子がズボンを選べる、すごい理解のある学校です!」みたいな主張が、すごくないか?

本来当たり前にできていて当然の選択を、わざわざでかでかと書いているところにも、なんだか違和感がないか?

こちらのひねくれた性格が、そう見せているのかもしれない。
しかし、このように違和感を感じる場面には、なかなかよく出くわす気がする。

価値観の押し付けや、自分の頭の中に刷り込まれている感覚だけを持って他人と関わって生きるのは、おそろしいことだ。

このおそろしさ、そして前述した違和感について深く考えさせられる大きなきっかけが、二度あった。

まず一度目は、わたしが幼稚園を卒園した日の謝恩会での出来事。

謝恩会では、楽しいレクリエーションや、先生による出し物などが行われ、最後にはプレゼントがもらえるクイズ大会があり、好きなものをもらうために、一生懸命参加した。

無事クイズに正解し、いよいよ楽しみにしていたプレゼント選び!
用意されていたプレゼントは、文房具だった。
当時流行っていたハムスターのキャラクターや、カードゲームアニメのものが並んでいた。

カードゲームアニメが好きだったわたしは、当たり前にそのノートを手に取った。

すると母親は、「女の子らしいものにしなさい!」と、きつい口調で言った。

よくわからなかった、というより、まったくわからなかった。
なぜこれを選んではいけないのか、女の子らしさとはなんなのか。

そして当時のわたしは、親の言うことに従い、自分の好きなものを諦め、親の思う女の子であるために、渋々ハムスターのキャラクターのノートを選ぶしかなかった。(もちろんハムスターのキャラクターはかわいくて、今でも子どもに人気です!決して否定しているわけではありません!)

二度目は、中学1年生のときのことである。
もう16、17年ほど前のことだ。

中学に入学してから半年ほど経った頃、母親と商店街を歩いていると、小学校の頃の同級生とすれ違った。

特に会話をするほどの仲の良さでもなかったけれど、お互い認知はしていたので、軽く手を振り合った。

そこからしばらく歩いていると、母が突然「女の子なのに、ズボンの制服穿いてたね」と言った。

「穿きたいもの穿けばよくない?」と返すのでいっぱいいっぱいだったけれど、母はこれ以降わたしにこういう話はしてこなくなった。

あのときの母は、どんな気持ちで言葉を発していたんだろう。
母の思う女の子らしさとは、一体なんだったのだろう?

世界各国の男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」。
2023年、日本は過去最低順位の125位に後退したらしい。

この結果は、「女の子だからこうじゃないといけない」「男の子なんだから当然こうだろう」という古い価値観を持った人が、まだまだ日本には多くいることを、よく示しているなぁと思う。

これは、その人がその人らしく生きていけるような道を、勝手に遮断する行為になり兼ねない。

これを受けて、日本国内でいろいろな制度を改正したりしている。
しかし、国民それぞれの根本的な意識を変えることができないと、いくら制度を改正したとしても、そもそも制度は広がっていかないような気がする。

意識を変えることのお手伝いなら、こんなわたしにもできるかもしれない……。

じゃあ、具体的に、今のわたしができることってなんなんだろう。

……そうか、もうすぐそこに見えているじゃないか。
我が家の4歳の息子と3歳の娘、そしてわたしの母にと一緒に、まずはその人らしさについて考えてみよう。

そして、すべての人に愛を持って接するのと同じくらいに、自分にも愛を持って、接することの重要性を、しっかりと伝えよう。

世界中のどこにいても、その人らしい生き方が当たり前にできる世界の実現。
漠然としているけれど、わたしが人生で成し遂げたいことリストの一つに入っている。

まずは自分自身を愛するところから、スタートしよう。


#ウェルビーイングのために

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