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小説を書こうと思った!

この季節にはもう外がこの時間には明るくなってきて、小さく開けた窓から、風の音が聞こえてくる。風の音、ときおり走り行く車のエンジン音、まだひとの声はしない、暗い部屋の小さなスピーカーから流れる94年にリリースされたニール・ヤングが歌う。

七連勤、うち三夜勤は確実に自分の体を侵食してくる。メンタルは豆腐だね、と笑われるけれど、体はタフだって自信があった…ちょっとだけ疲れ気味だけれど、水瓶座は5月から一年にかけて愛の季節が到来する!という占い師さんの言葉が力をくれる。単純だなぁと笑う。

数日前、いつものように、いつものバーで沖縄帰りの友人と、お土産の黒糖チョコを食べながら、音楽をかけ、恩田陸さんの新刊の話をする。「SPRING」、まだ読んではいないけれど、買ったよ、というと、2日で読むから貸してよ、と彼が言う。しばらく恩田陸さんや何人かの作家さんの話をする。

そこに4人組の女性たちが入ってきて、それでも彼と2人で話していた。周りの僕よりずっと年上の男性たちのテンションが上がっている。最近ずっと聴いているスモール・フェイセスやゼムのhere comes the night、ストーンズのdead flowersからT.REX、デヴィッド・ボウイ…ミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイのdancing in the streetをかけたところで、その女性たちの一人がロックが好きだと言って、そこからはあっという間だった。気付けば横にいて、たくさん話す。話しながらたくさんの音楽をかける。オアシスが一番好きだと言われたら、何曲かはオアシスをかけ、リバティーンズの新譜の話が出たら(!初めてリバティーンズの新譜の話をした!)リバティーンズをかけ、間にバックストリート・ボーイズやテイク・ザットを挟みながら、YUKIの新曲やミッシェル・ガン・エレファントのライブをかけ、僕が彼女にBENBEや踊ろうマチルダを教えたら、また僕の知らないミュージシャンを教わる。5時間はそうして話していただろうか?。友達の結婚式で、彼女が自作の動画を作った事、そこにベックの曲をあわせた事などを聞く。河原で、光を闇の中で幾重にも浮かび上がらせて、それをコマ撮りで撮影して、編集をした、とか。
彼女の友達が、この子は料理もこだわるよー、などと茶化す。一見、クールに見える、けど勝手に内面は熱いんだろうな、と思って、聞いてみる?何座ですか?蠍座です、らしいね、とは言わなかったけど、腑に落ちる。

それから、またね、と別れ、寝て、読書。

永井玲衣さんの文章を読む為に買ったんだけど、永井さんはもちろん、スズキナオさんの保坂和志さんについての文章が良くて、自室で「プレーンソング」を探し、なくて、取り寄せた。
それから…

取り寄せる間に、この橋本治さんの本を読む。
千木良悠子さんによる、橋本治論。
「桃尻娘」サーガは僕にとっても特別だ。
初めて、小説の中の主人公が実際に僕に話しかけてきた。
それで、「蝶のゆくえ」を少しずつ、読む。

それから自分で書いたいくつかの小説を読み返す。フレーズとして、断片的には好きなところはあるけれど、8万文字書いても、これは小説ではない、となんとなく思う。
一回だけ、物語が自分の意図していないところで勝手に動いて、どんどん先が見える経験をした。書いた一文によって、先が開かれていく。
それは変えがたい体験だった。

その時期は、小説を書くには、どこか壊れてないと書けなかった。特に仕事を休んでいた時期ではあったし。
じゃあいま、書いてみようかと思いたつ。
目標は立てたほうが良いから年内に一作品。
ページは決めない。
それが物語として、小説として成立していれば、短くても良い。
モチーフもまだない。

ワクワクしてきた!。

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