170「詩」実り
長い時間をかけ
実ったものはなんだったのだろう
熟成したものはあったのだろうか
醗酵したものはあったのだろうか
気の遠くなるくらい
同じに見える朝を繰り返し
食べ眠り同じ事を繰り返し
実ったものがあったのだろうか
確かに
時は
経ってしまった
シワとシミの
増えた手のひらが
時の流れを伝える
思い出のなかで
大切な人たちが
増えていく
ー大切な人たちは
幸せでいてー
もうじき葉を落としてしまう木々に
願いが
すずなりの
実をつける
写真:デビッド・ホックニー展にて
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