「日本人のための第一次世界大戦史」の感想②鉄道が生み出した悲劇

まずは引用から

p49
鉄道の持つ効果は移動の「速度」だけではありません。

鉄道輸送は徒歩行軍に比べて戦闘前の兵士の疲労も軽減します。

訓練の不足しがちな予備役兵を動員する場合には鉄道の効果は特に大きくなったと考えられます。

p52
ワーテルローの戦い(1815年)での動員兵力はナポレオン軍7万人、連合軍が13万人。

普仏戦争全体では、プロイセンを中心とするドイツ側の動員数は正規兵30万人に、予備役兵60万人の合計90万人に達し、
対するフランス側も現役と予備役兵が半々の80万人なので、
鉄道の発明によっていかに動員数が増大したかがわかります。

日本人のための第一次世界大戦史 より引用


鉄道の誕生と聞けば、リュミエール兄弟の映画を思い出すぐらいに牧歌的なイメージだった。

便利になり、生活が明るくなるように思われたものが、戦争の従事者を増やすことになるとはあまりに皮肉だ。

昔の人の戦争に対する感覚は正直よくわからない。
だが、やらなくて済むならやりたくなかったはずだろう。

また予備役が増えたというのも、物悲しい。
戦争で稼いでいるわけではない人間が、鉄道以前と比べて格段に戦闘に巻き込まれているのだ。

モノは使いよう。
我々を豊かにした鉄道も、戦争という悲劇の範囲を拡大させたという事実は気持ちを沈まされる。

今我々が手にしているものや、今後手に入れる技術も争いに使われるのだろうか。

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