まりりん🍀@Cancer Survivor

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迷ったけど話せる範囲で話してみる

私は今腐っています。 結構なストレスを溜めながら四ヶ月抗がん剤治療をやってきましたが結果は大して効果が無いと。 後二ヶ月同じ治療をしても身体に無理が掛かるばかりでがん自体には良くも悪くも無い。 だから私の切除した病巣(なんと術後五ヶ月も経ってるのに保存してある)から遺伝子検査をもう一回やってみて違う抗がん剤をやろうと。 私にしてみれば「は?」ですよ。 そして必然的に治療の終了時期がずれる。 当初の予定では三月の終わりに完了してたはずなのに。 私ゃまだやりたい事も有るし死にた

    • Last present③

      「お前が御大層にミドリに語った夢はどうなったよ?」 明らかに怒った顔をしながらサンタ擬きのおっさんが凄む。 え?ミドリ? なんでこのおっさんミドリを知ってる? 俺の疑問を見透かす様におっさんが続ける。 「自分のカノジョのお兄様を忘れたのか?」 え?ええ?ミドリに兄貴なんて居たのか? それで一度会ってるって? 記憶に無いよ。 「俺の事はどうでもいいよ。それよりミドリに吹いてたよなあ、陽当たり良いカフェだっけ? お前が珈琲を煎れてミドリがケーキを焼いて。 そのマスター様が

      • Last present②

        俺は恐る恐る振り返る。 それと殆ど同時におっさんが叫ぶ。 「うわぁっ!やべー!やっちまったよ!やべー!」 何が「やべー!」だよ! この状況の方がよっぽどやべー!よ。 俺は意を決しておっさんに話し掛ける。 「ちょっとあんた!他人の部屋に勝手に上がり込んでどういうつもりだよ!」 おっさんはキョトンとしたがすぐに唇の端を少し歪めてニヤリと笑った。 「わりーわりー。俺もさあ疲れてた訳よ。それに夜中に起こすのも悪いかなーって。俺の配慮じゃん。は、い、りょ。」 「説明になってないし!

        • Last present

          「ぐぉーっ!ぐぉーっ!」 何だよ?うるせえな。 静かにしてくれよ。俺昨夜もバイトで。まだ寝たばかりなんだよ。 「がーっ!ぐぉーっ!」 だから!うるせえって言ってんだろうが!……って何だ? ここは俺の部屋だよな? そして俺はもう何年も一人暮らしだ。 勢いでお持ち帰り出来る程の度胸も機会も無い。 でもこれって人間のいびきだよな? どうして一人暮らしの俺の部屋の中に俺以外の人間のいびきが聞こえる? 軽い恐怖を感じ俺は薄明るい部屋で目を凝らす。 俺のベッドの傍らの床で下着姿の

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        • Last present
          3本
        • おーい、まりりんガンだってよ。
          10本
        • まりりんの入院生活
          4本

        記事

          「がん」のリアル(前編)

          初めての有料記事です。 読んでくださってる方、誠にありがとうございます。 幾許かのお金を払って読む価値が有るのかと問われても胸を張って肯定は出来ませんが、綴ってみようと思います。

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          「がん」のリアル(前編)

          閑話休題夢語り

          病状関連の記事を読みたかったNOTE読者の方々には申し訳ありませんが今回の記事はがんに関しては何の為にもならない雑談鼻歌です。 関連も根拠も有りません。 おまけにいい歳したおばちゃんが書いてるから色気の欠片も有りません。 さて、前置きは思い付く限りしました。 それでも「読む」って言う暇で物好き…いや…その…お時間が有り余ってる方はどうぞ。 何て事は無いんですが眠りが妙に浅かったある日の明け方に夢を見ました。 微睡む前に時計を見ていて目覚めた時に再び時計を見たら実質30分

          抗がん剤治療のはなし

          一昔もしかしたら二昔よりもっと前のお涙頂戴ドラマなんかだと癌の治療中の主人公がガンガン髪が抜けたり嘔吐が激しくて飯も食えずみたいな描写が多々有ったと思うし私も恥ずかしながらそういうもんだと思ってました。 実際にはその通り、もしくはそれ以上の副作用が激し過ぎて「癌との闘い」よりも「抗がん剤の副作用との闘い」に耐えられなくて抗がん剤治療を止めてしまう患者さんも多いと聞きます。 私も抗がん剤治療をする事になった訳ですが、そんな中途半端な知識しか無い上に事前に渡された抗がん剤治療に

          抗がん剤治療のはなし

          入院生活(とある1日)午後から編

          なんだかんだで午後のリハビリが終わり自分のベッドに戻るんだけど個人的には実はここからがとってもしんどい時間になる。 それが何かと言うと他の患者さん達で自ら歩行や立位が無理な人達のリハビリをそれぞれのベッド上でしてる事。 「それが何?」と思うでしょ? これは極々個人的な事なので何でもない人には何でもない。 まずベッドから動けない人は高齢者が大半で、若い人だったとしても結構依存心の強い人だったりする。 そしてこのご時世当然面会は出来ないので日常的な話し相手はたまにやって来る医師か

          入院生活(とある1日)午後から編

          入院生活(とある1日)

          ちょっと思い出しながら書いてみる。 「21時なんで消灯しま~す。」と言い終わるか終わらないかの内に病室の照明が消される。 このナースはまだ親切な部類に入るかな。 無言でイキナリ照明消すナースも居るし。 それにナースによって時間もまちまち。 計った様に21時ジャストだったり、まだ20時50分くらいだったり、21時をかなり過ぎてからだったり。 いずれにせよ、いくら身体が弱ってるとは言え子供じゃないんだからそんな時間に眠れるもんだろうか? する事も無いし行くとこも無いから眠ると

          入院生活(とある1日)

          迂闊で許される範囲

          さて、皆さん個人情報って何処からが個人情報だと思われますか? 名前や住所等、顔写真、要は個人を特定出来たら個人情報ですかね? これ凄く線引きが難しくて例えば学校の先生が「何年も前にこういう事が有ってね。」と例え話をしたとしましょうか。 この例え話で誰の事か類推出来るでしょうか? 答えは一部の人間には出来ます。 その例え話が起きた頃にその学校に関わっていた人間には出来事、時期を重ね合わせると案外簡単に誰の事か分かってしまいます。 この先生は全く悪気無く個人情報を無関係の人間

          迂闊で許される範囲

          病院(特に看護師)に対する不平不満

          「お前生命を助けてもらっておいて何を横柄な事を言ってるんだよ!」と思われたそこのあなた。 分かりますよぉ、私も同じ事をもう数え切れないくらい考えて何度その言葉を飲み込んだか分からないくらいですから。 でもね、今までは看護師目線、介護士目線で物を捉えて「もうちょっとこちらの苦労も分かってくれ。」と思ったもんです。 そして今回ほぼ産まれて初めて『患者』って立場になって患者目線で感じた不平不満、不便、苦痛なんぞを書き連ねてみようと思います。 但しこの患者、若干とは言え医学の知識が

          病院(特に看護師)に対する不平不満

          別に順応したい訳ではないけれど病院での生活に慣れてきた頃に久々にS先生が病室に回診に来られました。 雑談交えながら色んな話をして…どうして3時間の予定の手術が7時間も掛かったのか聞いてみると穏やかな顔をしていたS先生の表情が瞬時に愚痴を言うおばちゃんみたいに変化して「もうね!大変だったんよ!こう、ぐーっとわぁーと広がりかけてさ、骨盤にびしーっと嵌ってさ!取りにくいの取りにくくないのってさ!あれ取って骨が無事だった時の達成感ったらないよ、ほんと。」 とちょっと呆れるくらい擬音

          正直な処、人間ってほんとに喉元過ぎれば熱さを忘れる生き物なんだと思います。 こうやって文章を綴るのが苦痛でなくなった今、当時の痛さ苦しさが少しずつ記憶から薄れつつあるのです、そんなに日数が経った訳でもないのに。 医師の指示は「兎に角早く離床しろ。」でした。 痛いから苦しいからと寝てばかりいると内臓も弱り筋力が落ちて本当の意味で起きられなくなるからだそうで、実際私は仕事柄色んな理由で入院し廃用症候群が進みADLが目に見えて落ち別人の様になって退院してきた高齢者を何人も見ていま

          「……さん。…さん!」 ん?誰か呼んでる? 何か寒いな…と考えながら目を開けると数人のナースが私に病衣を着せてる最中で。 「体温34℃代です!」「電気毛布!」「はい!」 へえ〜そりゃ大変だね〜なんて思いながらもう一度目を開けると「分かりますか?聞こえてますか?お身体冷えてるんで暖めますね。」 「はい…。」自分の手足が鉛みたいに重いし毛布気持ちいいなぁ。 「7時間掛かりました。よく頑張りましたね!」 いや、私は寝てただけだし。頑張ったのは先生達でしょ? あ〜でも何か言わなき

          人工肛門について

          書き忘れてた事を思い出しました。 明日は手術だと言う日の昼下りに突然S先生がちょっと年配でちょっと強面でちょっと態度のデカいナースをひとり連れて病室に来られました。 珍しく言いにくそうに発した言葉は「縁起でもないと思うかも知れないけどさ、腸を切除してその部位や範囲によっては人工肛門を造設しなきゃならないんだわ。それで…その場所を決めておきたいんだけど。」と。 そんな事を言われても拒否権なんて無いでしょう? はいはいどうぞと身を任せているとその強面ナースはテキパキと私の腹

          落ち着こうとして落ち着かない日を過ごしいよいよ2度目の入院当日となりました。 前回の強烈な下剤の後遺症(?)が未だに残りお尻が痛い絶食明けのそんな朝、旦那の運転で病院に向かいます。 病院入口で来院目的と名前を告げると検温され入口前の椅子で待つ様に促されます。 この日は9月のお彼岸前でまだとても暑く待ってる間にどんどんぐったりしてくる自分を感じていましたら、日頃つまらない事では滅多に怒らない旦那が扇風機の前で来院者の検温をしていた人物に向かって「こんな暑い場所で病人を長く待た