見出し画像

NHK-FM「ペンギン・カフェ・オーケストラ コンサート」(1982年6月10日、東京 五反田・簡易保険ホールにて収録)

NHK-FM「ペンギン・カフェ・オーケストラ コンサート」(1982年6月10日、東京 五反田・簡易保険ホールにて収録)

Penguin Café Orchestra Concert in Japan
Recorded at the Kan-i Hoken Hall, Tokyo, June 10th, 1982.

放送曲目:
1. Air à Danser
2. Yodel 1
3. Cutting Branches For A Temporary Shelter
4. Pythagora's Trousers
5. Numbers 1-4*
6. Salty Bean Fumble*
7. Paul's Dance
8. Telephone And Rubber Band
9. Kenya (White Mischief)
10. From The Colonies (For N.R.)
11. Isle Of View (Music For Helicopter Pilots)
12. The Ecstasy Of Dancing Fleas
13. Steady State
14. Walk Don't Run

* "THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" Side 2 (1, 2) (1983年発売)

演奏者:
Penguin Café Orchestra
Simon Jeffs: Guitar, Pitch Pipes, Penny Whitles etc.
Petr Veitch: Piano
Geoffrey Richardson: Viola
Marcus Beale: Violin
Braco: Shaker, Bongos etc.
Giles Leaman: Oboe
Neil Rennie: Ukelele
Kuma Harada: Bass


 ブライアン・イーノ Brian Eno 氏に録音テープを送ったことから、イーノ氏のレーベル、オブスキュアレコードから1976年にアルバム "MUSIC FROM THE PENGUIN CAFÉ" を発売したペンギン・カフェ・オーケストラ Penguin Café Orchestra は、その後の録音をまとめた第2作 "PENGUIN CAFE ORCHESTRA" を1981年に発売します。第1作に比べて、ウクレレなどアコースティック楽器をフィーチャーした、より軽やかなサウンドと(おそらくは)ベンチャーズで知られる "Walk Don't Run" のコミカルな印象のカバーにより、幅広く聞かれるようになります。このヒットにより、1982年6月に、来日コンサートが企画されました。

 1982年6月10日の東京・五反田「簡易保険ホール」でのコンサートがラジオで放送されました。放送局、放送日をメモしておらず、長らく、FM大阪(FM東京)「ゴールデン・ライヴ・ステージ」と思い込んでいましたが、この日の録音から "Numbers 1-4" と "Salty Bean Fumble" を収録したミニアルバム "THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM"(1983年発売)を改めて見てみたところ、"recorded by NHK Radio at the Kain Hoken Hall, June 10th 1982" と明記されていました("Kain" については見逃してください)。

Penguin Cafe Orchestra "THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" (1983)

 放送では、第2作 "PENGUIN CAFE ORCHESTRA" から11曲が、ほぼアルバムの収録順に演奏されています。当時から人気曲だったと思われるアルバムでは3曲目の "Telephone And Rubber Band" が中盤に演奏されているのは、後半に向けての山場としてでしょうか(推測)。シングルにもなった "Walk Don't Run" は最後に演奏されています。

 第1作 "MUSIC FROM THE PENGUIN CAFÉ" からは、"From The Colonies" が演奏されています。1983年にリリースされる次作からは2曲。ひとつは、この時点では、"Kenya" と題されていた "White Mischief"。サイモン・ジェフス Simon Jeffs さんは「アフリカ音楽から直接的な影響を受けた最初期の曲のひとつ」(one of an earliest pieces to be directly influenced by African music.)と話されています。また、スコットランドで書かれたという "Isle Of View" については「またの名を "I Love You" ともいいます。アイルオブビュー、アイロブュー、アイラブユー…わかりますか?(Wakari-masu-ka?)」と、客席を笑わせています。

 ペンギン・カフェ・オーケストラの初来日コンサートツアーは、1982年6月4日(池袋・スタジオ200)、6月5日(名古屋・愛知県勤労会館)、6月7日(大阪・サンケイホール)、6月8日~6月10日(東京・簡易保険ホール)で行われました。"THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" には、6月7日に東京で録音したとある "Piano Music" が収録されています。名古屋でのコンサートのあと、いったん東京に戻り、"Piano Music" を録音後、大阪へ向かったのでしょうか。

 1982年春には、来日にあわせて、オブスキュアレコードからの第1作 "MUSIC FROM THE PENGUIN CAFÉ" の日本盤が発売されています。阿木譲さんは、この日本盤についての「ロック・マガジン」第43号(1982年4月)の紹介記事で「オブスキュアの系統だった精神をぶったぎりにした」と批判的に書かれていますが、続けて、残りのオブスキュアレコードのアルバムも日本盤が発売されているので、呼び水になっており、批判は当たらないように思います。

 来日コンサート後も、第1作と第2作の2枚をセットにした2枚組廉価盤『クールミント・サウンド』(サイモン・ジェフスによる各曲についてのおぼえ書きが掲載されています)が1982年夏に発売されたり、NHK「みんなのうた」に「父さんのつくった歌」を提供したり(作詞・渡辺えり子、歌・市場衛、1982年12月〜1983年1月放映)と、ペンギン・カフェ・オーケストラ人気はしばらく続き、翌年1983年にも来日しています。

 4枚組の編集盤 "HISTORY" には、"recorded live in Tokyo, 10 June 1982." 
として、"The Toy"、"Numbers 1-4"、"Salty Bean Fumble"、"Yodel 2" の4曲が収録されています。迷った末に見送ったので、確認できないのですが、"The Toy" は、"THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" には、1983年3月23日に録音したと書かれているので、誤りではないかと疑っています。また、"THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" について、日本以外では発売されていないかのような記述がされているようですが、わたしが持っているのはカナダ盤ですし、各国で発売されていたと思います。"Yodel 2" は、放送には含まれていなかったので、聞きたかったと思います。

 冒頭の写真は、"THE PENGUIN CAFE ORCHESTRA MINI ALBUM" Side 2 "Penguin Cafe Orchestra in Japan" の2曲に付された来日コンサート時の写真(Mitsuru Tsubakino 氏撮影)です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?